南アフリカ初のG20首脳会議:低成長時代の世界経済とグローバルサウス
南アフリカは2025年11月22〜23日、ヨハネスブルクで初めてとなるG20(主要20カ国・地域)首脳会議を開催しました。アフリカの国が議長国となり、G20サミットがアフリカ大陸で開かれたのは今回が初めてで、国際ニュースとして世界の注目を集めました。世界経済の減速と「ポリクライシス(複合危機)」が続く中、このG20は何を世界にもたらし得るのでしょうか。
Ubuntu哲学が下支えするG20議長国・南アフリカ
今回のG20議長国を務める南アフリカは、自国の議長テーマとして「連帯・公平・持続可能性(Solidarity, Equality, Sustainability)」を掲げました。その背景には、アフリカの哲学とされるUbuntu(ウブントゥ)の考え方があります。Ubuntuは直訳すれば『I am because we are(私は、私たちがいるからこそ私である)』という意味で、人と人、社会、環境、精神性までを含む広いつながりを重視する価値観です。南アフリカはこのUbuntuを基調に、世界経済や金融の課題に「共に向き合う」姿勢を打ち出しています。
世界経済に広がる「低成長」の影
今回のG20が開かれた背景には、世界銀行が指摘する世界経済の減速があります。世界銀行のデータによると、明確な景気後退期を除けば、世界の経済成長は過去17年で最も弱い水準にとどまると見込まれています。2020年代の世界の実質GDP成長率は、2027年までの平均で2.5%程度にとどまり、1960年代以降で最も低い伸びになると予測されています。
こうした低成長は、単なる景気循環ではなく、リスクの複雑さが増し、世界経済の土台そのものが弱くなっている「ポリクライシス(複合危機)」の表れでもあります。複数の危機が同時並行で進むことで、各国が個別に対応するだけでは追いつかない状況になりつつあります。
G20経済も中長期の成長力は鈍い
G20諸国も、世界経済の減速とは無縁ではありません。国際通貨基金(IMF)がまとめたG20に関する最近の報告書によれば、短期的な成長率は当面安定すると見込まれる一方で、中期的な見通しは依然として力強さを欠いています。多くのG20経済では、今後5年間の予想成長率が新型コロナウイルス感染症の流行前の平均を下回ると見込まれているのです。
とくに新興国や開発途上国にとって、中長期的な成長鈍化は、開発目標の達成能力を脅かします。教育やインフラ、医療などへの投資が思うように進まなければ、人々の生活水準を大きく引き上げるチャンスが失われかねません。
極度の貧困は減少したが、そのペースは落ちている
一方で、過去35年あまりを振り返ると、世界の極度の貧困層は大きく減少してきました。世界銀行のデータによると、極度の貧困状態にある人々の数は、1990年のおよそ23億人から、2025年には約8億3,100万人まで減ったとされています。その背景には、東アジアや南アジアを中心とした力強く幅広い経済成長があります。
しかし、この貧困削減の勢いはここ10年ほどで明らかに鈍化しています。世界銀行は、世界的な貧困削減のペースが大きく落ち込んでいると指摘しています。背景には、世界経済の低成長に加え、新型コロナウイルス感染症のパンデミック、各地で続く紛争、気候変動によるショック、そして多くの国で膨らむ債務水準など、互いに絡み合う複数の危機があります。
グローバルサウスにとっての成長の意味
世界各国、とりわけいわゆるグローバルサウスの国々にとって、持続的な経済成長は、貧困を克服し生活水準を向上させる最も有効な手段の一つです。成長が鈍化すれば、教育や雇用、社会保障を拡充するための財源も限られ、貧困削減の成果が逆戻りするリスクが高まります。
だからこそ、低成長が「ニューノーマル」となりつつある今、国内政策だけでなく、国際的な政策協調がこれまで以上に重要になっています。G20は世界の主要経済が一堂に会する場として、成長の減速を反転させ、その果実をより広く分かち合うための道筋を示すことが期待されます。
南アフリカ議長のG20に求められるもの
「連帯・公平・持続可能性」という南アフリカの議長テーマは、こうした現実に正面から向き合うメッセージでもあります。Ubuntuの思想に立てば、各国の成長や安定は相互につながっており、一国だけで問題を解決することはできません。債務負担の重い国々への支援、気候変動対策と成長戦略の両立、より公正な国際金融システムづくりなど、G20が議論できる課題は多岐にわたります。
2025年11月のヨハネスブルク・サミットは、アフリカ大陸から世界に向けて、こうした議題をどこまで具体的な行動につなげられるかを試す場となりました。低成長とポリクライシスの時代に、G20がどこまで「連帯」と「公平」を実現し、持続可能な成長のビジョンを示せるのか。その答えを探るプロセスは、これからも続いていきます。
Reference(s):
cgtn.com








