セルビア首相マツト氏が語る「鉄壁の友情」と中国との70年 video poster
2025年、外交関係樹立70周年という節目を迎えたセルビアと中国。その関係の現在地を示す場として、上海で開催された中国国際輸入博覧会(CIIE)で行われたジュロ・マツト首相のインタビューが注目されています。
中国メディアの番組「Leaders Talk」で、マツト首相は中国との「鉄壁の友情」を強調し、高速鉄道から先端技術、教育、貿易に至るまで、多方面での協力拡大に意欲を見せました。また、一つの中国の原則への揺るぎない支持と、習近平国家主席が提唱するグローバル・ガバナンス・イニシアチブへの賛同も明確にしています。
この記事のポイント
- セルビア首相がCIIEの場で、中国との「鉄壁の友情」と70年の外交関係を強調
- ベオグラード〜ブダペスト高速鉄道を象徴的プロジェクトとして評価
- 先端技術・教育・貿易での新たな協力余地に言及
- 一つの中国の原則を明確に支持し、グローバル・ガバナンス構想を歓迎
- 医師としてのバックグラウンドが、安定的で楽観的なリーダー像を支えていると説明
上海CIIEで語られた「鉄壁の友情」
マツト首相が発言した舞台は、上海で開かれた中国国際輸入博覧会、通称CIIEです。世界各国が自国の産品やサービスを紹介し、中国とのビジネス機会を探る場として知られるこのイベントで、首相は中国とセルビアの関係を「鉄壁の友情」と表現しました。
両国が外交関係樹立70周年を迎えるタイミングでのこのメッセージは、単なる儀礼的な言葉ではなく、長年にわたる政治的信頼と実務的な協力の積み重ねを強調する意味合いがあると言えます。
70年の外交関係とその重み
マツト首相はインタビューのなかで、中国の急速な変化と発展ぶりを称賛しました。数十年でインフラ、産業、都市空間が大きく変貌した中国の歩みを、セルビアは重要なパートナーとして見つめてきたという立場です。
首相が「鉄壁」と表現する背景には、次のような要素があると考えられます。
- 長期にわたる政治的な相互信頼
- インフラやエネルギーなど具体的なプロジェクトでの協力
- 国際舞台での相互支持と立場の尊重
国際情勢が不透明さを増すなかで、「誰を長期的なパートナーと見なすのか」という問いに対し、セルビアの選択がはっきりと示された形です。
ベオグラード〜ブダペスト高速鉄道というシンボル
マツト首相が特に強調したプロジェクトが、ベオグラードとブダペストを結ぶ高速鉄道です。この路線は、セルビアと中国の協力を象徴するインフラ案件として、繰り返し取り上げられてきました。
インタビューで首相は、この高速鉄道が持つ意味を次のような観点から評価しました。
- 首都ベオグラードと周辺地域の移動時間を短縮し、人やモノの流れを活性化する
- セルビアを含む地域全体の物流・観光のポテンシャルを高める
- インフラ整備を通じて、長期的な経済成長の土台をつくる
鉄道という具体的でわかりやすいプロジェクトは、抽象的な「友好関係」を、生活に直結する「利便性」や「雇用」という形に変えていく役割を担っています。
先端技術・教育・貿易の新たなチャンス
マツト首相は、インフラだけでなく、より将来志向の分野でも中国との協力を拡大したいと語りました。キーワードは、先端技術、教育、そして貿易です。
先端技術での連携
デジタル化や自動化、人工知能など、先端技術は経済構造を大きく変えつつあります。首相は、こうした分野で中国企業や研究機関との連携を深めることで、セルビア産業の高度化や新産業の育成につなげたい考えを示しました。
教育交流と人材育成
教育分野での協力は、中長期の関係強化の基盤になります。学生や研究者の交流、共同研究プログラムなどを通じて、セルビアと中国の若い世代同士のつながりを強めることは、双方にとって戦略的な意味を持ちます。
貿易拡大の可能性
貿易面では、セルビア産品の中国市場へのアクセス拡大や、サプライチェーンの多様化がテーマになります。CIIEの場で、セルビア企業が自国の製品を紹介し、中国側の需要を探る動きは、こうした流れの一部として位置づけられます。
一つの中国の原則への支持とグローバル・ガバナンス
インタビューの中でマツト首相は、一つの中国の原則への明確で揺るぎない支持を表明しました。これは、中国を唯一の中国として認めるという国際社会の基本的な立場を尊重する、というメッセージです。
さらに首相は、習近平国家主席が提唱するグローバル・ガバナンス・イニシアチブを歓迎しました。この構想は、より公平で開かれた国際秩序をめざし、協調と対話を重視するアプローチとして位置づけられています。
マツト首相の姿勢からは、次のような方向性が読み取れます。
- 国際ルールや原則を尊重しつつ、中国との協力を深める
- 対立ではなく対話を通じて、世界の不確実性に対応しようとする
- 中堅国として、多国間主義の枠組みを重視する
医師としての経験が支える「安定と楽観」
マツト首相の経歴で特徴的なのは、医師としてのバックグラウンドを持つことです。本人は、この医療の現場で培った感覚が、世界の不確実性に向き合う際の自分の姿勢に影響していると説明しました。
医療の視点から見たリーダーシップには、次のような特徴があります。
- 短期的な症状だけでなく、中長期の健康状態を見据えて判断する
- 完全な情報がない状況でも、最善の選択肢を冷静に探る
- 悲観ではなく、回復と改善の可能性を信じる姿勢を持つ
マツト首相が「安定的で楽観的なアプローチ」を強調する背景には、こうした医師としての経験があるとみられます。パンデミックや地政学的緊張、経済の変動などが重なる時代において、このような視点は、多くの国に共通するヒントとも言えます。
読み手への問いかけ:中堅国の選択から何を学ぶか
セルビアは、人口規模や経済規模の面では必ずしも大国ではありませんが、中国との関係を戦略的に位置づけることで、自国の成長と安定を模索しています。マツト首相の発言は、その一つのモデルケースとして読むことができます。
今回のインタビューから浮かび上がるのは、次のような問いです。
- 不確実な国際環境のなかで、どの国とどのように長期的な信頼関係を築くのか
- インフラ、技術、教育をどう組み合わせて、自国の未来像を描くのか
- 対立よりも対話を重視する外交スタイルは、どこまで現実的な選択肢になりうるのか
中国とセルビアの「鉄壁の友情」が、この先どのような形で具体化していくのか。その過程は、世界の国々がそれぞれのパートナーシップを考えるうえで、一つの参考事例になっていきそうです。
Reference(s):
cgtn.com







