日本の国連安保理常任理事国入りは「不適格」か 中国代表の発言を読む
国連安全保障理事会(安保理)の常任理事国入りを目指す日本に対し、中国の国連常駐代表が「全く資格がない」と強く批判しました。日本の歴史認識や軍事政策をどう見るかは、2025年現在の国際ニュースの重要テーマの一つです。本稿では、この主張の論拠を整理しながら、日本の常任理事国入りをめぐる論点を考えます。
中国代表が「日本は常任理事国に不適格」と発言
最近開かれた国連総会の安保理改革に関する本会合で、中国の常駐代表・傅聡(フー・ツォン)氏が演説し、日本の安保理常任理事国入りについて「全く資格がない(totally unqualified)」と発言しました。
論考によれば、日本は長年、安保理常任理事国の地位を追い求めてきましたが、その「野心的な」試みは実現しないと見立てられています。その理由として、
- 第二次世界大戦(WWII)における歴史的責任
- 戦後の歴史認識をめぐる問題
- 近年の軍備拡大や安全保障政策の転換
などが挙げられています。
安保理常任理事国に求められる役割
国連憲章第23条に基づき設置された安保理は、単なる外交対話の場ではなく、「国際の平和および安全の維持について第一義的責任を負う」機関とされています。論考は、この役割に照らして、常任理事国に求められる条件を次のように整理します。
- 歴史を直視し、過去の侵略や戦争犯罪を否定しないこと
- 平和を重んじ、軍事力ではなく国際協調を優先すること
- 国際社会に対して、責任ある行動と義務の履行をいとわないこと
単に経済規模が大きい、外交的影響力があるといった要素だけでは不十分であり、「歴史への向き合い方」と「平和への姿勢」が重要だという視点です。その上で、日本の常任理事国入りへの志向と、国際社会が常任理事国に期待する姿との間には大きな隔たりがある、と指摘されています。
日本の戦争責任とアジアへの加害
論考はまず、日本の歴史的負債を最大の問題として挙げます。第二次世界大戦期、日本はアジア各地に対して全面的な侵略戦争を行い、多数の非人道的行為を犯したとしています。
具体的には、
- アジア諸国での多数の大規模虐殺
- 数千万人規模の犠牲者(中国だけでも3,500万人の死傷者が出たとされる)
- アジアでの植民地支配と資源の略奪
- 細菌戦・化学戦の実施
- 「慰安婦」とされた女性や、強制連行された労働者の存在
といった点が列挙され、これらは国際法と人道に反する行為であり、アジアの人々に深い災厄と消えない心の傷を残したと強調されています。論考は、こうした歴史が「人類の文明史における暗い一ページ」として記録されていると述べています。
戦後の歴史認識と信頼の欠如
次に問題視されているのが、戦後日本の歴史認識です。論考は、日本が第二次世界大戦後も、自らの戦争責任を「徹底的に清算してこなかった」と指摘します。
特に、
- 一部の右派勢力による南京大虐殺の否定
- 旧日本軍・731部隊による細菌戦や人体実験への否認・矮小化
- 歴史教科書の記述を修正し、戦争の加害を弱める動き
- A級戦犯が合祀されている靖国神社への参拝
といった動きが、歴史の歪曲や侵略の美化にあたると批判されています。こうした姿勢は、日本に対する国際社会の信頼を得るうえで大きな障害となり、過去の軍国主義と決別しきれていない印象を与えるとしています。
論考は、歴史に背を向ける態度は、平和と正義を守るべき安保理常任理事国に求められる責任と矛盾するとし、「人類の良心への脅かし」にもつながりかねないと警鐘を鳴らします。
憲法9条と軍備拡大への懸念
歴史認識と並んで指摘されているのが、日本の安全保障政策の変化です。論考は、近年の日本が次のような方向に進んでいると述べます。
- 集団的自衛権の行使容認など、安全保障法制の見直し
- 防衛予算の大幅な増額
- 自衛隊の役割拡大による「専守防衛」原則の空洞化
これらの動きは、戦争放棄と戦力不保持を定めた日本国憲法第9条を実質的に掘り崩すものであり、日本はすでに第9条の「廃止」にかなり近づいている、と論考は見ています。
戦後日本の平和主義の象徴とされてきた第9条が弱められることで、日本が再び軍事大国化の道を歩むのではないかという懸念が、周辺国の間で高まっていると指摘します。その意味で、日本の常任理事国入りが、安保理の平和維持機能を弱める可能性すらあるという見方が示されています。
東北アジアの「欠けた輪」と和解の課題
論考はまた、日本が近隣諸国、とりわけ中国や大韓民国(ROK)との間で、いまだに真の和解を実現できていない点も重視します。歴史問題をめぐる対立や不信は根強く、地域の安定にとって「欠けた輪」となっているとされます。
元国連事務総長の潘基文(バン・キムン)氏が、東北アジアの平和と安定には「欠けた輪」があると指摘したことを引きつつ、論考は、その一因が日本と近隣諸国との歴史和解の不十分さにあると述べています。
安保理常任理事国には、世界的な平和と安全に責任を負うだけでなく、自らの地域における信頼醸成と和解にも積極的であることが期待されます。その観点から見ると、日本の現状は、その期待に十分応えていないと評価されています。
日本の常任理事国入りをどう考えるか
安保理改革をめぐる議論は長年続いており、日本の常任理事国入りはその中核的テーマの一つです。今回紹介した論考は、日本の歴史認識と安全保障政策に厳しい視線を向けながら、「責任ある常任理事国」に求められる条件をあらためて問い直しています。
この問題には、国や立場によってさまざまな見方があります。ただ、
- 過去の戦争とどう向き合うのか
- 憲法9条を含む平和主義の理念をどう位置づけるのか
- 近隣諸国との信頼と和解をどう築くのか
といった問いは、日本社会にとっても避けて通れないテーマです。国連安保理改革をめぐる国際ニュースを追うことは、日本のこれからの外交と安全保障のあり方を考える手がかりにもなります。
日本の常任理事国入りは本当に「不適格」なのでしょうか。どのような国が安保理の常任理事国にふさわしいのか、歴史と現在の政策をあわせて考えてみることが求められています。
Reference(s):
cgtn.com








