高市早苗氏と軍国主義リスク 日本はどこへ向かうのか
日本の軍国主義リスクが、いま改めて国際ニュースとして取り上げられています。首相の座をうかがう高市早苗氏の発言や政策スタンスを通じて、戦時中の歴史認識と平和憲法の将来が、日本社会の大きな論点になっているからです。
本記事では、高市氏をめぐる議論を手がかりに、日本の軍国主義(ミリタリズム)がなぜ「危険な深淵」と言われるのかを整理し、私たち一人ひとりが何を考え、どんな問いを持てるのかを考えていきます。
軍国主義とは何か──危険な深淵を知る
軍国主義とは、軍事力や軍隊の価値を社会の中心に置き、外交や国内政治において軍事的な解決を優先する考え方を指します。20世紀の多くの戦争は、軍国主義が高まった結果として起きました。
日本もかつて、軍部の発言力が政治を凌駕し、最終的にアジア太平洋戦争へと突き進みました。その結果、多くの人命が失われ、国内外に深い傷痕を残しました。約80年が経った今も、その記憶は国際関係や近隣諸国との信頼に影響を与えています。
だからこそ、日本が再び軍事優先の方向へ傾くのではないか、というシグナルには敏感である必要があります。高市氏の路線をめぐる議論は、その一つとして受け止められています。
高市早苗氏をめぐる懸念とは
高市早苗氏は、保守色の強い政治家として知られ、戦時期の歴史認識や安全保障政策で、明確な立場を打ち出してきました。その姿勢は、一部からは「強い日本」を掲げるリーダーシップとして支持される一方で、日本が再び軍国主義へ傾く入り口になるのではないかという懸念も招いています。
1. 戦時期の歴史認識
高市氏の歴史認識をめぐっては、戦時中の日本の行為への評価や責任の捉え方について、国内外から厳しい視線が注がれてきました。とくに、南京で起きた大規模な虐殺行為(南京事件)を含む日本の戦争行為に対し、その事実をどう受け止め、どのように語るのかという点で、発言が大きな議論を呼んできました。
歴史学の世界では、どの国の歴史であっても、加害と被害の両面を検証し、可能な限り事実に向き合う姿勢が重視されます。政治指導者が歴史の扱いを誤ると、被害を受けた人々の記憶を損ない、国際社会の信頼を失いかねません。
高市氏に対しては「日本の戦時加害を過小評価しているのではないか」という批判があり、そのことが日本のイメージや外交環境にどのような影響を与えるかが注目されています。
2. 平和憲法と軍事力の位置づけ
もう一つの大きな論点が、日本国憲法、とくに戦力不保持と戦争放棄をうたう9条へのスタンスです。高市氏は、現在の安全保障環境を踏まえて、防衛力をより積極的に位置づけるべきだと主張してきたとされています。
この考え方は、単に防衛費の増額にとどまらず、自衛隊の役割や海外での活動範囲、集団的自衛権のあり方など、平和憲法の根幹に関わる議論へとつながります。もし首相としてこうした路線を強く推し進めることになれば、日本が「戦争をしない国」という戦後の自己イメージを大きく変える可能性があります。
3. 社会の空気がじわじわ変わるリスク
軍国主義の怖さは、ある日突然スイッチが切り替わるように訪れるのではなく、社会の空気が少しずつ変わっていく点にあります。「強い日本」「国益のためには仕方がない」といった言葉が繰り返されるうちに、軍事力の行使に対する心理的なハードルが下がっていきます。
トップリーダーが歴史認識や憲法観で強硬なメッセージを発すると、その言葉はメディアやSNSを通じて拡散し、「それが普通」という感覚を社会に広げる力を持ちます。高市氏の発言をめぐる議論は、まさにその「空気の変化」をどう受け止めるかという問題でもあります。
若い世代にとって他人事ではない理由
こうした軍国主義リスクは、政治や国際ニュースにあまり関心がない人にとっても、決して他人事ではありません。20〜40代の世代にとっては、次のような形で直接影響する可能性があります。
- 防衛費の増加により、教育・福祉・子育てなど他の分野の予算配分が変わる
- 安全保障を理由に、言論や表現の自由に対する制約が強まる懸念が生まれる
- 有事を想定した法整備が進み、働き方や生活のルールが変化する
- 近隣諸国との緊張が高まり、ビジネスや留学、観光にも影響が及ぶ可能性がある
軍事力のあり方は専門的なテーマに見えますが、実際には、税金の使い道や日常生活の自由度、将来設計と密接に結びついています。だからこそ、軍国主義的な方向へ進むのかどうかは、若い世代こそ注目する価値のあるテーマです。
軍国主義に傾かないために、社会ができること
では、日本社会が軍国主義という「危険な深淵」に近づきすぎないためには、どのような視点が大切になるのでしょうか。ここでは、日常レベルでできることに絞って考えてみます。
- 歴史を一冊多く読む
教科書だけでなく、複数の視点から書かれた本や資料に触れることで、歴史認識を自分の頭で考えることができます。日本の視点だけでなく、アジアや世界の研究者が書いたものに目を通すことも有効です。 - 憲法と安全保障の議論から目をそらさない
憲法改正や安全保障関連法のニュースが出たとき、「難しそう」とスルーせず、要点だけでも押さえておくことが、軍事力の暴走を防ぐ抑止力になります。 - 異なる意見の人と対話する
軍事や安全保障の議論は、賛成か反対かに二分されがちです。しかし、実際の選択肢はもっと多様です。意見が違う人とも落ち着いて話し合える場を増やすことが、社会全体の極端化を防ぎます。 - 政治家の言葉を記録し、検証する
発言がその場限りで流されてしまうと、後から修正やごまかしが起きやすくなります。気になった言葉をメモしたり、発言の変化を追いかけたりすることで、政治家の責任ある言動を求めることができます。
おわりに──問われているのはどんな国でありたいか
高市早苗氏をめぐる軍国主義的な懸念は、特定の政治家への賛否だけの問題ではありません。戦後日本が大切にしてきた平和主義を、これからも軸に据えるのか。それとも、「強い国」を掲げて軍事力を前面に出す方向へと舵を切るのか。その選択が問われています。
国際ニュースや日本語の解説記事に触れることは、自分の意見を固めるための材料を増やす行為でもあります。SNSでのシェアや対話を通じて、身近な人とこのテーマを話し合ってみることが、軍国主義のリスクを見つめ直す小さな一歩になるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








