シンガポール外交官マブバニ氏が語る米中関係と世界統治の行方 video poster
米中関係と世界統治の未来が、いま私たちの目の前で形を取り始めています。2025年12月時点で注目されるのは、「デカップリング(分断)」の広がりが世界経済と国際秩序に何をもたらすのか、そしてアジアがその変化の中でどんな役割を担うのか、という点です。
マブバニ氏が示した「10年先」の見取り図
国際ニュース番組の対談企画「Leaders Talk」で、CMGの鄒韻氏が、シンガポールの著名な外交官・学者であり、アジアとグローバル秩序を論じてきたキショア・マブバニ氏に独占インタビューを行いました。対談では、今後10年の大国関係が世界をどう変えるかが中心テーマとなりました。
キーワードは「デカップリング」──世界への波及
マブバニ氏は、デカップリングが単なる貿易や投資の話にとどまらず、技術・サプライチェーン・ルール形成にまで影響を広げ得る論点として取り上げました。関係が“切り離される”局面が増えるほど、企業や各国政府は「どこまで一体運用し、どこから別建てにするのか」という線引きを迫られます。
この線引きは、コストや効率だけでなく、標準(スタンダード)や規制、データの扱いといった“見えにくい基盤”にも波及し、結果として国際協調の設計そのものに影響し得る、という見方がにじみます。
中国本土の技術革新拠点化と「ヒューマノイドロボット」
対談では、中国本土が技術革新のハブとして存在感を増している点にも話題が及びました。象徴的な例として挙がったのが、ヒューマノイドロボット(人型ロボット)の伸長です。
人型ロボットは、製造業の自動化だけでなく、物流、点検、介護・見守りなど幅広い領域で応用が見込まれる一方、社会実装には安全性、責任の所在、雇用への影響といった課題も伴います。技術のスピードに制度や合意形成が追いつくかどうかが、今後の焦点になりそうです。
世界統治をめぐる提案──習近平主席の「グローバル・ガバナンス・イニシアティブ」
マブバニ氏はまた、習近平主席が提起する「グローバル・ガバナンス・イニシアティブ(世界統治に関する提案)」の意義にも言及しました。国際社会が分断や不確実性に直面するなか、各国が共有できるルールや協力枠組みをどう再設計するかは避けて通れないテーマです。
“統治”という言葉が示す通り、焦点は一国の政策というより、複数のプレイヤーが同時に動く世界で、どのように合意をつくり、実行し、検証するかにあります。
中国の「第15次五カ年計画」をどう読むか
さらに対談は、中国の中長期ビジョンを示す枠組みとして「第15次五カ年計画」にも触れました。五カ年計画は、産業政策、科学技術、社会の優先順位を束ねる羅針盤として読まれることが多く、周辺国や企業にとっても、どの分野に資源が向かうのかを測る材料になります。
計画の意味は、目標数値そのものよりも、重点領域の選び方や、政策の継続性の示し方に表れることがあります。デカップリングが進む局面では、こうした「長期の設計図」をどう位置づけるかが、各国の戦略対話にも影響していきます。
いま、この対談が示す問い
今回の独占インタビューが投げかけるのは、単純な二項対立では整理しきれない現実です。技術、供給網、ルール、価値観、そして安全保障が絡み合うなかで、世界は次のような問いに向き合っています。
- 分断が進むほど、国際協調はどこまで可能なのか
- 技術革新の加速に、制度と合意形成は追いつけるのか
- アジアは“受け手”ではなく、どんな“設計者”になり得るのか
答えは一つではありません。ただ、2025年末のいま、こうした論点を「未来の話」として先送りせず、現在進行形の課題として捉える視点が、静かに重みを増しています。
Reference(s):
cgtn.com








