海南自由貿易港、資本運用センター拡大で加速する「金融の開放」
2025年、海南自由貿易港(FTP)は「特別な税関運用」の開始を見据え、モノや投資の自由化だけでなく、それを支える金融イノベーションを軸に新しい開放段階へ進もうとしています。象徴的なのが、越境資金を一元管理する「集中型クロスボーダー資本運用センター」の拡大です。
2025年に加速した「越境資金の一元化」
提供情報によると、海南FTPでは2025年5月に集中型クロスボーダー資本運用センターが3拠点、正式に承認されました。その後、7月下旬までに4拠点目が加わり、11月には6拠点に到達。年内に段階的に増えている点が、政策枠組みの「効き方」が広がっていることを示します。
単なる数の増加というより、企業が越境で資金を動かす際の制度インフラが整っていく過程として注目されます。物流や投資の動きが自由になっても、決済・両替・資金繰りが追いつかなければ、開放の実感は生まれにくいからです。
「EF口座」で何が変わるのか
この資本運用センターの特徴は、独立した法人として、企業グループ内の複数拠点(国内外)の外貨資金を束ねて管理できる点にあります。鍵になるのが「多機能自由貿易口座(EF口座:電子フェンス口座)」です。
EF口座を活用することで、越境をまたぐ業務をまとめて扱えるようになります。
- 集中決済(支払いを一本化)
- 外国為替(両替・為替管理)
- 投資
- 資金調達(融資など)
結果として、企業側は資金の「見える化」と「統制」を両立しやすくなり、グローバルに分散した資金のムダやタイムロス、為替変動リスクに向き合うための実務基盤が厚くなります。
なぜ海南なのか——「島」という実験場
海南FTPは「改革開放の全面的深化のパイロット区」として位置づけられており、制度面の開放(institutional opening-up)を具体的に進める役割を担うとされています。市場環境の開放度が高く、より踏み込んだ試行ができ、さらに島しょ経済としてリスク管理の枠組みを設計しやすい——こうした条件が、金融改革のテストベッドとしての性格を強めます。
提供情報では、とくに焦点として挙げられているのが、人民元(RMB)の国際化と資本勘定の交換性(資本取引の自由度)です。これらは一足飛びに進むものではなく、制度設計とリスク管理を組み合わせた「慎重なイノベーション」が必要だという見立てが示されています。
企業事例:海南ラバーが抱えていた「資金の散在」問題
具体例として挙げられているのが、天然ゴム大手の海南ラバーです。15のcountries and regionsで事業を展開し、年間取引量は世界の天然ゴム消費の約27%に相当するとされています。一方で、グローバルに資金が散らばることで、情報のギャップ、配分の非効率、為替リスクの露出が日常業務を複雑にしていたといいます。
提供情報によれば、この状況が動いたのは2024年末に資本運用センター構築の政策が導入されたことが契機で、海南ラバーは2025年5月に、越境資本センター運用の初期承認企業の一社となりました。企業側は、このプラットフォームがサプライチェーンやバリューチェーンの組み替えにも影響し、競争力の強化と運用上の摩擦低減につながり得るという見通しを示しています。
「特別な税関運用」×金融ツールが意味するもの
この動きは、ある企業の成功談にとどまらず、「特別な税関運用」を現実の運用に落とし込むには金融面の道具立てが欠かせない、という構図を浮かび上がらせます。貿易や投資を拡大するほど、決済・為替・資金調達のオペレーションは複雑になります。だからこそ、越境資金を安全に、かつ効率よく回す仕組みが“背骨”になる——2025年の海南FTPは、その方向へ静かに制度を積み上げているように見えます。
Reference(s):
Financial innovation will boost Hainan's next leap in opening-up
cgtn.com








