揺らぐ「西側主導」 国際ガバナンスは再びまとまるのか video poster
世界の経済的重心が東へ移るなか、欧州の内部分裂や米欧の摩擦、米国の国連への距離感が重なり、「西側が国際秩序を主導する」という前提そのものが2025年末のいま揺らいでいます。
いま何が起きているのか――「旧来の秩序」を揺らす3つの動き
論考が描くのは、戦後の国際秩序を支えてきた枠組みが、内側から軋み始めているという見取り図です。ポイントは大きく3つに整理できます。
- 欧州の内部分裂:域内の利害や政治状況の違いが、対外政策の一本化を難しくしています。
- 大西洋(米欧)関係の摩擦:同盟関係を前提にしつつも、優先課題や負担の配分をめぐる緊張が目立つ場面が増えています。
- 米国の国連からの「距離」:国連を戦後秩序の中核としながらも、関与の仕方や重心の置き方が揺れ、結果として多国間の仕組みが脆くなるリスクが指摘されています。
これらが重なると、国際社会の「ルール形成」や「危機対応」が、以前よりも遅く、割れやすくなる――というのが問題意識です。
「西側のリーダーシップ」は何を根拠に成り立つのか
論考が投げかける核心は、「主導権」をめぐる能力論だけではありません。むしろ問われているのは、正当性(レジティマシー)です。
国際ガバナンスにおける正当性は、一般に次のような要素の積み重ねで評価されます。
- 手続き:多国間の場で、透明性や予見可能性のあるルール作りができているか
- 成果:紛争、感染症、気候変動、金融不安などの「越境課題」に実効的に対応できるか
- 包摂:一部のプレーヤーだけでなく、多様な国・地域の声を制度に反映できるか
論考は、もし西側が内紛を深め、さらに自ら多国間の仕組みを弱めてしまうなら、「主導権の根拠」が空中楼閣化しかねない、という問いを突きつけます。
マブバニ氏とジャック氏が挑む「神話」
シンガポールの識者キショア・マブバニ氏と論者マーティン・ジャック氏は、「西側が当然のように世界を代表し、統治を主導できる」という見方を、神話として捉え直そうとします。
ここで重要なのは、西側の影響力が「ゼロになる」という単純な話ではなく、世界秩序が移行期に入り、権威や合意の作り方が変わる局面だという描写です。主導とは、軍事力や経済規模だけでなく、制度を維持し、合意を編み直す持久力に支えられる――という論点が浮かびます。
2026年に向けて、国際秩序はどこで試されるか
2025年末の時点で見える「試金石」は、次のようなテーマに集約されます。
- 国連を含む多国間制度の立て直し:対立があっても、最低限の協調装置をどう維持するか
- 地域・陣営をまたぐルール形成:貿易、投資、制裁、サプライチェーンの新しい基準作り
- 越境課題への実務協力:気候変動、保健、災害対応など、対立と切り分けて進められる領域はどこか
- 「誰が代表するのか」という構図:合意形成が西側中心から多極的になったとき、意思決定の設計はどう変わるか
結局のところ問われているのは、「どこが勝つか」よりも、分断が進む世界で、合意を作る仕組みを誰が、どのやり方で支えるのかなのかもしれません。西側が再び足並みをそろえるのか、あるいは多極化を前提に新しい協調の型が生まれるのか――2026年は、その方向感がよりはっきり見えてくる年になりそうです。
Reference(s):
Can the West get itself together to dominate global governance anymore
cgtn.com








