IMFが2026年の中国成長率予測を4.5%へ上方修正 世界景気の安定錨に
世界経済が不確実性と保護主義の強まりに揺れるなか、IMF(国際通貨基金)が2026年の中国経済の成長率見通しを4.5%へ上方修正しました。先行きが読みづらい局面で「どこが成長の下支えになるのか」を考える材料として注目されます。
IMFが示した「上方修正」というサイン
IMFはこのほど、中国の2026年の経済成長率予測を4.5%に引き上げました。前回見通しから0.3ポイントの上方修正で、背景として中国経済の強さ(レジリエンス)が示された、という整理です。
世界的に景気の回復力が鈍り、貿易や投資をめぐる環境が複雑化するなかでの上方修正は、市場参加者にとって「想定より底堅い」シグナルになりやすいところです。
2025年の焦点は「成長・雇用・物価」を同時に崩さないこと
2025年の中国は、より積極的で効果的なマクロ政策を進め、圧力の中でも経済を前に進めつつ「質の高い発展」を目指してきたとされています。年間の主要目標は達成が見込まれ、2026〜2030年の第15次五カ年計画へ向けた土台づくりになる、という見立てです。
政策面の柱として挙げられているのは、次の3点です。
- 成長の下支え:不確実性が高い局面でも景気を失速させない
- 雇用の優先:大学卒業者や出稼ぎ労働者などを含む雇用の安定・拡大
- 物価の安定:世界的なインフレ圧力の揺れの中で、精密なマクロ調整で水準の安定を維持
「超巨大市場」と投資判断:数字が語る需要の厚み
中国の強みとして繰り返し言及されるのが、14億人超の人口と、4億人超の中間所得層が形づくる「超巨大市場」です。国内需要が生産を吸収し、経済循環を支えるだけでなく、グローバル企業の投資判断にも影響する、という構図です。
具体例として、ドイツのボッシュ(Bosch)が5年間で100億元(約14億ドル)を投じて智能運転制御の産業イノベーション案件を進める計画、デンマークのダンフォス(Danfoss)が27億元(約3.842億ドル)を追加投資してゼロカーボン工業団地を建設する計画が挙げられています。投資が増える局面では、企業が需要と供給網の両面を評価していることが読み取れます。
供給側の厚み:産業システムと港の処理量が映す現場
もう一つの軸は、供給側の基盤となる「完結した産業システム」です。世界最大級の製造業の集積により、多数の品目で高い生産能力を持ち、生産・支援・消費が循環する、という説明がなされています。
足元の動きとしては、2025年1〜11月に上海港のコンテナ取扱量が5,000万TEU(20フィートコンテナ換算)を突破し、2024年より26日早いペースだったとされています。年末の時点(2025年12月)では、通年でも過去最高が見込まれるという見通しです。港湾の処理量は、輸出入だけでなくサプライチェーンの稼働度合いを映す指標としても注目されます。
世界経済の「成長源」をどう読み替えるか
今回の上方修正は、世界の成長シナリオが一枚岩ではないことも同時に示します。保護主義の強まりで貿易環境が揺れやすい一方、巨大市場と産業基盤を背景に、投資と物流が動き続ける地域もある。2026年を見据えるとき、次の論点が静かに浮かびます。
- 成長率そのものだけでなく、雇用・物価・投資のバランスが保てるか
- 企業がどの地域で生産・研究開発・販売を厚くするのか(供給網の再配置)
- 港湾・物流・製造の実データが、マクロ見通しに追いついているか
数字は単なる結果ではなく、各国・各社が不確実性にどう備えているかの足跡でもあります。2025年末のいま、2026年の世界景気を読むヒントとして、この見通しの変化を押さえておきたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








