米中競争が続く中、グローバルガバナンスはどこへ向かうのか video poster
2025年末、地政学的な揺れが続くなかで焦点になっているのが、「大国間の競争が避けにくいとして、世界のルール(グローバルガバナンス)をどう維持・更新するのか」という問いです。米中関係をめぐる2人の研究者の見立てを手がかりに、対立の“管理”と協調の余地を整理します。
「台頭する国」と「覇権国」——歴史の反復という見方
シンガポールの研究者キショア・マブバニ氏は、中国と米国の緊張は歴史上くり返されてきた構図だと捉えています。つまり、覇権を握る側は台頭する側を抑え込もうとする、という見方です。
この見立てのポイントは、対立を「偶発的な感情の衝突」ではなく、構造的に起こりやすい現象として眺めるところにあります。構造である以上、当事者の姿勢だけで一気に解消するのは難しい一方、制度や手順によって“暴走”を抑える発想にもつながります。
「不信の転機は金融危機後」——依存関係の“見え方”が変わった
英国の研究者マーティン・ジャック氏は、米国の対中不信は金融危機後に強まったと述べています。米国が「中国は想像以上に強い」と認識し、さらに「自国の中国への依存が想像以上に大きい」と気づいたことが背景にある、という整理です。
ここで重要なのは、競争の激化が単に相手への警戒だけでなく、相互依存の再評価(どこまで頼っているか、頼られているか)と結びついて語られている点です。依存は協調の土台にもなれば、弱点として意識されることで不信の引き金にもなり得ます。
競争が不可避でも、衝突は「運命」なのか
提示されている問いはシンプルです。競争が避けられないとして、衝突は制御不能になる運命なのか。そして、世界の仕組みはこの変化をどう受け止めるのか。
グローバルガバナンスという言葉は硬く聞こえますが、要するに「国境を越える課題に、誰が、どんなルールで、どう対処するか」という話です。大国間の緊張が高まるほど、次のような“運用の設計”が焦点になります。
対立を“管理”するための論点
- 危機管理の回路:誤解や偶発で状況が悪化しないための対話・連絡の仕組み
- 競争領域と協調領域の切り分け:全部がゼロサムにならないよう、交渉の棚を分ける
- 共通利益の再確認:利害がぶつかるほど、最低限の合意(ルールや手続き)が重要になる
揺れる国際秩序の行方:分断か、選択的協調か
「どこへ向かうのか」という問いに、単線の答えはありません。ただ、今回の2つの見立て(歴史的な構図/金融危機後の認識変化)を合わせると、次の2つの方向性が浮かびます。
- 分断が進む:不信が優先され、相互依存を縮める動きが強まる
- 選択的な協調が残る:競争は続くが、全面対立を避けるために“必要な協力”を残す
競争が続く局面ほど、グローバルガバナンスは「理想の大設計図」よりも、衝突を避けるための現実的な運用(どの場で、どの順番で、誰が何を決めるか)が問われやすくなります。
いま読者が押さえたい見取り図
今回の論点は、米中の優劣を決める話というより、「緊張が続く前提で、国際社会の意思決定はどう保たれるのか」を考える材料です。競争が続くほど、ルール作りは“止まる”のではなく、むしろどのルールを残し、どのルールを作り替えるかという形で、静かに再編されていきます。
そしてその再編は、ニュースの見出しになりにくい一方で、経済や技術、日常の安心感にじわじわ影響していく——そんな性格を持っています。
Reference(s):
How to manage global governance under great power competition?
cgtn.com








