中国の2025年を形づくる「人への投資」:生活向上と雇用の数字が示すもの
2025年の中国は「高品質な発展」への移行を進めながら、暮らしの底上げを政策の中心に据えてきました。物的投資だけでなく、人への投資を組み合わせる方向性が強まり、貧困の再発防止や雇用支援などの具体策として表れています。
「人中心」の政策が前面に:次の5カ年計画へ
中国共産党(CPC)指導部が採択した次期5カ年計画に向けた提言では、設備やインフラなどの「物」への投資に加え、教育・就業・医療など「人」への投資を重ねる考え方が示されています。2025年は、その方向性が生活指標や雇用の実績として積み上がってきた年でもあります。
貧困対策は「脱却」から「再発防止」へ——2025年は転換の最終年
中国は約40年で約8億人を貧困から救い、2020年に絶対的貧困の解消という節目に到達しました。一方で、2025年時点でも「安心して終われる課題」とは捉えず、再び困窮に戻ることを防ぐ監測(モニタリング)体制を整えているとされています。
また、2025年は、貧困削減の集中的な取り組みから、長期的な再発防止へ政策を移す「5年の移行期間」の最終年にあたるとされます。ここで重視されているのは、短期の支援ではなく、所得源や地域産業の定着です。
832県の「その後」:産業づくりと所得の伸び
中国は2014年に貧困県とされた832県のリストを公表し、2020年までにすべてがリストから外れました。2025年時点では、これらの地域で平均して1県あたり2〜3の基幹産業(柱となる産業)が育っているとされます。
加えて、これらの県の農村世帯では、2024年の第1〜第3四半期の可処分所得が前年同期比で6.5%増となり、同期間の全国農村世帯の伸びを上回ったとされています。産業づくりが「所得として残るか」が、移行期間の成否を左右する論点になりそうです。
生活インフラと医療:数字で見る2025年の到達点
2025年に示された生活関連の指標には、医療保険や水道といった基礎的サービスの広がりが含まれます。特に、貧困から脱却した人々が再び不安定な状況に戻らないためには、収入だけでなく、生活コストやリスク(病気・災害など)への耐性が重要になります。
- 貧困から脱却した人々のうち、基本医療保険の加入率は99%超
- 農村部の安全な水道水へのアクセス:2020年83% → 2025年94%
雇用の現場:2025年1〜11月で新規都市雇用1210万人
雇用は「生活の実感」に直結します。2025年は、1〜11月の時点で全国の新規都市雇用が1210万人に達し、通年目標の1200万人を前倒しで達成したとされています。さらに、この数字は前年同時期を上回ったとされ、景気の不確実性が語られる局面での底堅さを印象づけます。
輸出の逆風と行き先の分散
背景として挙げられているのが、対米輸出が2025年にワシントンの関税で大きく落ち込む一方、他の国・地域向けの出荷が増えた点です。輸出先の変化が、輸出型企業の雇用を下支えする要因になったという説明です。
政策支援と「就職活動」へのてこ入れ
同時に、税減免、補助金などの政策支援が雇用維持に寄与したとされます。さらに、過去最多とされる1220万人の大卒者の就職を後押しするターゲット型のキャンペーンも言及されており、雇用の数字が「景気」だけで決まらないことも示しています。
2025年の焦点は「守る」から「積み上げる」へ
2025年の動きは、弱い立場の人を守るだけでなく、医療・水・雇用といった土台を広げ、リスクに戻りにくい仕組みを積み上げていく流れとして描かれています。年末を迎えた今、移行期間の最終年としての評価は、目標達成の数字だけでなく、地域産業の定着や若年層の雇用の質といった点でも、引き続き注目されそうです。
Reference(s):
People-centered approach characterizes China's 2025 development
cgtn.com








