中国の2025年:5%成長とハイテク加速、国際不確実性下で「安定の軸」へ
2025年の中国は、弱い世界景気と地政学的緊張が続く環境の中でも成長を下支えしつつ、ハイテクを軸に「高品質発展」への転換を進め、国際秩序の不確実性の中で安定要因としての存在感を強めた一年となりました。
習近平氏「総合国力が新たな水準に」—年末のメッセージ
中国国家主席の習近平氏は、2026年の新年あいさつで「経済力、科学技術力、国防力、総合国力がいずれも新たな水準に達した」と述べました。2025年を振り返るこの言葉は、数字の成長だけでなく、産業構造や成長の質を重視する方向性を印象づけます。
数字で見る2025:中国経済は「約5%」達成ペース
公式発表として、2025年1〜9月(第1〜第3四半期)のGDP成長率は5.2%。通年の成長目標「約5%」の達成に向け、堅調な軌道にあるとされます。総生産は約140兆元(約19.87兆米ドル)に達する見通しで、世界第2位の経済規模を維持する形です。
伸びたのは「どこ」か:内需とサービスが存在感
今回のポイントは、拡大の度合い以上に「成長の中身」にあります。逆風の中で、内需がより大きく成長を支え、消費がGDPの牽引役として存在感を増したとされています。
- 社会消費品小売総額:最初の11カ月で前年同期比+4%
- サービス消費:文化・スポーツ、電気通信・情報サービスなどで2桁の伸び
「モノ」だけでなく「サービス」へと重心が移る動きは、景気対策という短期の話にとどまらず、生活のデジタル化や余暇・体験への支出拡大といった、社会の変化も映します。
2025年の質的変化:AI・新エネルギー車・グリーン投資がエンジンに
2025年により鮮明になったのは、高度化する製造業と「新質生産力(新しい質の生産力)」の伸長です。人工知能(AI)、新エネルギー車、先進機械、グリーンエネルギー関連インフラが拡大の原動力になったとされています。
象徴的な例として、AIモデル「DeepSeek」が今年、比較的少ない計算資源で世界の先行モデルに匹敵、あるいは上回る能力を示したとされ、技術競争の焦点が「計算量」だけでなく「効率」や「実装力」にも広がっていることを示唆します。
また、中国は2025年にグローバル・イノベーション・インデックス(Global Innovation Index)でトップ10入りしたとされ、過去10年の上昇トレンドを裏付ける材料として語られています。
五カ年計画の節目:第14次の到達点と、第15次(2026〜2030)の優先順位
習近平氏は、第14次五カ年計画(14th Five-Year Plan)の目標達成と、中国式現代化に向けた前進にも言及しました。
そして、来年(2026年)から始まる第15次五カ年計画(2026〜2030)でにじむ優先事項として、次の「三点セット」が示されています。
- 実体経済を軸にした現代産業体系の構築
- 科学技術の自立自強(自前化)の加速
- 内需拡大
生産性(成長)と安全保障(供給網・技術)を同時に追い、そこに社会的な公正も重ねる——政策の物語を一本化しようとする意図が読み取れます。
「開放」は続くが形は変わる:海南自由貿易港の動き
「対外開放は続く」とのメッセージも強調されました。具体例として、12月には海南自由貿易港(FTP)で、全域を対象とする特別な税関運用が始まったとされています。輸入手続きの円滑化、ゼロ関税政策の拡充、ビジネス環境改善策の導入などを通じて、高水準の開放を進める節目と位置づけられています。
不確実な世界での「安定の軸」—デカップリング回避がもたらすもの
2025年の国際環境は、保護主義の強まり、産業政策の衝突、大国間競争の常態化など、決して穏やかではありません。そうした中で、中国が安定成長を維持し、デカップリング(切り離し)を選ばない姿勢を示すことが、資源輸出国やサプライチェーンに組み込まれた製造拠点にとって需要の下支えになっている、という見立ても示されています。
同時に、世界の側にとっては「中国の需要に支えられる」ことが安心にも依存にもなり得る、という二面性も残ります。2026年以降、中国の成長の“質”がどこまで広い地域の安定に接続していくのか。年末の数字とメッセージは、その問いを静かに投げかけています。
メタディスクリプション(参考): 2025年の中国はGDP成長5.2%(1〜9月)を背景に通年約5%達成ペース。内需とサービス、AIなどハイテクが伸び、海南自由貿易港の新措置も。2026年からの第15次五カ年計画に注目。
Reference(s):
China in 2025: Advancing at home, anchoring stability abroad
cgtn.com








