長江経済ベルト10年:成長の鍵は「技術革新」とグリーン競争力
2026年1月、長江経済ベルト(YREB)が国家戦略として位置づけられてから10年を迎え、焦点は「より速く」から「より良く」へ。技術革新とグリーン化を新しい成長エンジンとして、次の段階に入ろうとしています。
10年で何が変わったのか:規模から“質”へ
長江経済ベルトは、11の省級地域にまたがり、中国の人口と経済生産の4割超を占めるとされています。2016年1月に重慶で開かれた高レベルの会合で中長期の中核戦略に格上げされて以降、地域のキーワードは次第に明確になってきました。
- 地域の協調発展(連携による成長)
- 生態系保護を前提にした開発
- イノベーション主導の産業づくり
特に2025年以降は、より的を絞った実務的な施策により、分断よりも連携を軸にした「現代的な産業システム」づくりが加速している、という整理です。
次の成長エンジン①:技術革新を“点”から“網”へ
長江経済ベルトには、長江デルタ、武漢の都市圏、成都—重慶の経済圏といった、活力のあるイノベーションクラスターが集まっています。次の課題は、これらを一体的なイノベーションネットワークとして機能させることだとされています。
統合のカギは「人・研究・政策」のつなぎ方
提示されている方向性は、派手な新規プロジェクトよりも、土台の整備に重心があります。
- 基礎研究での広域連携の強化
- 科学技術人材の移動・交流の円滑化
- 産業政策のすり合わせによる、重複投資や非効率な競争の回避
第15次五カ年計画期に向け、技術革新と産業高度化をより深く結びつける「実験場」としての役割が期待されています。具体的な分野として、先端製造、人工知能、バイオ医薬、新材料が挙げられています。
研究成果を生産性へ:技術移転の仕組みが焦点に
大学・研究機関・企業の連携を強め、技術移転(研究成果を事業や製品につなげる仕組み)を整えることで、科学的な成果を実際の生産性向上へ変えていく——。その積み重ねが、グローバルなバリューチェーン(価値の連鎖)のより高い領域での競争力につながる、という見取り図です。
次の成長エンジン②:グリーン化を“制約”から“競争力”へ
長江経済ベルトは当初から、生態系保護を重要な原則として掲げてきました。「共同で保護し、大規模な開発は行わない」という考え方は、各地の成長観そのものを調整してきたとされています。
この10年で、大気・水質などの汚染対策、生態系の修復、エネルギー効率の改善が進み、環境保護と経済発展が必ずしも両立不可能ではないことを示してきた、という評価です。
次は「低炭素産業」「再生可能エネルギー」「グリーン金融」
今後は、グリーン開発が“守り”ではなく優位性を生む源泉になっていくと位置づけられています。方向性としては、以下が柱です。
- 低炭素産業への転換の加速
- 再生可能エネルギー導入の拡大
- グリーン金融の活用(環境配慮型の投融資)
川沿いに集積する鉄鋼、化学、海運などの伝統産業も、よりクリーンな技術や循環型(サーキュラー)モデルの導入が進む一方、環境分野の新産業が新たな雇用と成長機会を生み出す構図が描かれています。
つながり直す経済圏へ:国内外の連結性が次の論点
今回の10年の節目は、単なる総括というより、「より良い成長」に向けた再設計のタイミングでもあります。技術とグリーン化という二つのエンジンを回すには、地域間での連携を前提に、産業・人材・研究成果が行き来しやすい“つながり”をどう磨くかが、静かな焦点になりそうです。
Reference(s):
Yangtze River Economic Belt at 10: Unlocking new growth engines
cgtn.com








