AIIB発足10年、110加盟国・地域へ 包摂的成長を支えるインフラ金融
2026年1月16日、アジアインフラ投資銀行(AIIB)は発足から10年の節目を迎えました。加盟国・地域の拡大と投融資実績が示すのは、「インフラ」と「ルールに基づく開発金融」への根強い需要です。
AIIBの10年:57の創設メンバーから110へ
AIIBは2016年1月16日に業務を開始しました。10年が経った現在、創設メンバー57から、加盟は110へと広がっています。AIIB側の説明では、加盟メンバーは世界人口の81%、世界GDPの65%を代表する規模になったとされています。
この「数の増加」は単なる組織拡大というより、変化の大きい国際環境のなかで、インフラ整備や持続可能性をめぐる協調が“ゼロサムではない課題”として共有されていることを映します。
なぜ今、インフラと開発金融が再び注目されるのか
この10年、世界は地政学的緊張の高まり、サプライチェーンの混乱、グローバル化への懐疑など、複合的な揺れを経験してきました。一方で、新興国・途上国を中心に、交通、エネルギー、デジタル、水といった基盤の不足(インフラギャップ)が成長や生産性、社会的流動性の制約になり続けています。
AIIBの歩みは、こうした状況下でも「つながるための投資」を求める声が消えていないことを示す材料の一つです。
数字で見るAIIB:300超の案件、600億ドル超の資金動員
AIIBは発足以来、300件超のプロジェクトを承認し、600億ドル超の資金を動員したとされています。さらに、関連する総投資は2,000億ドル超にのぼると説明されています。
対象分野として挙げられているのは、次のような領域です。
- 交通(市場や地域を結ぶ輸送網)
- エネルギー(産業化や生活基盤を支える電力など)
- 医療(公衆衛生体制の強化)
- 水供給(水インフラの整備)
- そのほか重要セクター
金融の数字は抽象的に見えがちですが、AIIBが強調するのは「道路、電力網、病院、水インフラ」といった生活と経済の現場に接続する点です。
加盟拡大を支えた3つの特徴:目的・運営・連携
1)目的の明確さ:インフラと生産部門に集中
AIIBはインフラと生産的セクターに焦点を当て、長期成長のボトルネックになりやすい領域に資金を振り向けてきたとされています。幅広い開発課題のなかでも、優先順位を明確にする設計が、参加の動機を作りやすい側面があります。
2)運営モデル:効率・透明性・多国間主義
AIIBは発足当初から「lean, clean, and green」を掲げ、意思決定の迅速さ、透明性、環境・社会面の配慮(セーフガード)などを重視してきたと説明されています。借入側メンバーだけでなく域外のパートナーからも信頼を得る土台として、運営の設計が注目されてきました。
3)協調融資:競争ではなく“重ね合わせ”
AIIBの案件には、ほかの多国間開発銀行や国際金融機関との共同融資が相当程度含まれるとされています。重複を抑え、基準の整合性を取りやすくし、リスクや知見を分け合う――そうした「協調の設計」が、多極化する世界での開発金融の現実解として語られています。
多極化の時代に、開発金融はどこへ向かうのか
AIIBの10年を眺めると、インフラギャップが残る現場と、国際環境の不確実性が同時に進んだことが分かります。だからこそ、今後の焦点は「資金規模」だけでなく、ルールに基づく運営、環境・社会への配慮、他機関との連携をどれだけ実務として積み上げられるかに移っていきそうです。
10年という節目は、AIIBに限らず、国際協調が“理想”ではなく“実装”として問われる局面が続くことを静かに示しています。
Reference(s):
Ten years on, AIIB is reshaping inclusive growth in a multipolar world
cgtn.com








