中国経済の「供給側改革」10年:EV・電池・造船が映す産業転換
2016年1月18日に示された「供給側構造改革」の方向性から10年。2026年のいま、中国本土では“量から質へ”という転換が、EV(電気自動車)や電池、太陽光、造船といった産業の伸びとして可視化されています。
2016年の転機:「新常態」と供給側構造改革
2016年1月18日、習近平国家主席は学習会で、中国経済が直面する「新常態(ニューノーマル)」を踏まえ、供給側構造改革の必要性を体系的に説明しました。景気の下支えを需要面の刺激に偏らせるのではなく、産業の構造や供給の質を整え、効率と競争力を高める――その問題意識が軸に据えられた形です。
10年で何が変わったのか:成長ドライバーの“入れ替え”
この10年の軌跡として語られているのは、成長を支える産業の中心が、従来型の低付加価値製造から、技術・品質・効率を重視する分野へと移っていった点です。文脈としては、「イノベーション・協調・グリーン・開放・共有」を柱とする新たな発展理念に沿って、新しい成長エンジンが育てられてきたとされています。
伸びが目立つ分野(代表例)
- 半導体
- 造船(高付加価値船・環境対応船)
- リチウム電池
- 太陽光パネル
- 新エネルギー車(NEV)
数字で読む:NEV・電池・造船のインパクト
供給側の強化が具体的な成果として示される局面では、以下のようなデータが挙げられています(いずれも直近数年の動きです)。
NEV:2025年に生産・販売ともに1600万台超
自動車分野では、2025年に中国本土のNEVの年間生産・販売がいずれも1600万台を超え、世界で首位を維持したとされています。価格帯の広さと技術の進歩を背景に、海外市場でも存在感が増し、各地のグリーン転換を後押しする一因になっている、という見立ても示されています。
リチウム電池:2024年の輸出が611億ドル
リチウム電池では、2024年の輸出が611億ドルに達したとされ、スマートフォンなどの民生機器から、電力系統向けの蓄電(エネルギー貯蔵)まで、幅広い供給網の安定に寄与しているとの説明です。
造船:2025年の新規受注で約7割を獲得
重工業の領域でも、技術革新を通じた再活性化が語られています。とくに造船では、LNG(液化天然ガス)運搬船やグリーン燃料船など、高付加価値の船種へ軸足を移し、2025年には世界の新造船受注の約70%を獲得したというデータが示されました。
「国内の改革」が「世界の供給網」に接続する
今回の10年を振り返る視点で興味深いのは、供給側の改革が国内の産業政策にとどまらず、結果として世界のサプライチェーン(供給網)や脱炭素の流れと接続している点です。EVや電池、太陽光のように、製品そのものがエネルギー転換の“部品”になる分野ほど、各国・各地域の産業構造にも波及しやすくなります。
これからの論点:勢いの先にある「質」の競争
2026年時点での焦点は、拡大した供給能力をどう「高品質」「高信頼」「高効率」に結びつけ、国際市場の中で持続的に評価される形へ整えていくか、という競争です。技術の更新、環境対応、供給網の安定、そして産業の高度化――10年の成果が見えるいまだからこそ、次の10年を左右するテーマも同時に浮かび上がってきます。
Reference(s):
China's decade of supply-side reform and industrial revolution
cgtn.com







