春節消費が「健康・体験・デジタル」へ:2026年“午年”の買い物かごの中身
2026年の春節(午年)を前に、中国本土の「年貨(正月用品)」は、モノを揃える発想から健康・体験・デジタルへと重心を移しています。春節は一年の消費を映す鏡だけに、この変化は“いまの暮らし方”を読み解くヒントになりそうです。
春節の買い物かごは、どう変わってきたのか
改革開放の初期には、小麦粉、豚肉、綿布などの生活必需品が中心で、「不足に備える」色合いが濃かったとされます。そこから、2019年に中国本土の1人当たりGDPが1万ドルを超えた局面で、家電や既製服などへとシフトし、消費の「アップグレード」が加速したとされています。
そして現在、2026年の午年の買い物リストは、さらに次の段階へ動いている、という見立てです。
2026年のキーワードは「健康・体験・デジタル」
1)贈り物は“見栄”より“健康”へ
ギフト選びでは、体裁やステータスよりも、パーソナルで健康志向が前面に出ています。ミンテルの2026年プレビューでは、健康を意識した贈り物が伸びる流れが示され、低GIの餃子や薬膳系の酒など、健康関連の年貨が勢いを増しているといいます。
2)“物”より“意味”:体験消費の広がり
春節の出費は、買うこと自体より「どう過ごすか」にも向かっています。いわゆる体験消費(所有より体験にお金を使う)として、文化遺産ツアー、午年モチーフのクリエイティブ商品、旅行パッケージなどが人気の購入対象になっているとされます。
3)デジタルが“当たり前”に:オンラインと即時配送
この消費アップグレードを可能にしているのが、ECと物流の進化です。2026年の「Online Chinese New Year Shopping Festival」の動きも背景に、オンライン購入が年貨の主流になりつつあるとされます。
さらに、即時小売(必要なものを短時間で届けるサービス)が習慣を変えています。例として、JD.comのAIを活用した配送や、美団(Meituan)などのサービスが挙げられています。
“心配ごと”が需要を作る:74%が休日の体調変化を懸念
ミンテルの調査では、中国本土の消費者の74%が、祝日期間の「食生活や睡眠の乱れ」などを心配しているとされます。特に若い世代は、春節を“心身の回復”の機会と捉える傾向が強まり、利便性への需要を押し上げています。
その具体例として、自宅に届く調理済み(プリメイド)ミールなど、手間を減らす選択肢が伸びているといいます。
何が変化を押し上げているのか:3つの要因
- 所得の上昇:エンゲルの法則(所得が上がるほど、食費など生存に必要な支出比率が下がる)に照らすと、構造転換が起きやすい条件が整ってきたとされます。中国本土では2025年に都市・農村住民のエンゲル係数が29.3%に達し、30%を下回る水準(豊かな生活の目安とされる)に入った、という指摘があります。
- 意識の変化:新しい世代ほど、所有よりも生活の質、健康、体験、幸福感を重視し、それが購買内容を直接変えているとされます。
- 供給側の革新:EC、物流、即時配送、クロスボーダーECなどが選択肢を広げ、需要の変化に“追いつく”のではなく“先回りする”形で市場を作っている、と捉えられています。
クリック一つで「地理の壁」を越える
クロスボーダーECは、居住地による制約を薄めています。例として、東南アジアの果物や欧州の乳製品が、クリック一つで家庭に入ってくる状況が挙げられています。
静かに進む“合理化”:まとめ買いから「食べる分だけ」へ
とりわけ2000年代生まれ(ポスト2000世代)では、大量に買い込むよりも、必要に応じて買う「買って食べる(buy-as-you-eat)」という合理的なスタイルが広がっているとされます。春節の年貨は、単なる季節行事の買い物から、健康管理や時間の使い方、テクノロジーの浸透度まで映し出す存在になりつつあります。
Reference(s):
New year, new consumers: Health, experience and the digital shift
cgtn.com








