中国の両会、政府活動報告で2026年の成長目標提示 15次五カ年の助走に
中国の「両会」(全国人民代表大会=全人代と中国人民政治協商会議=政協)が示す経済メッセージは、その年の景気だけでなく、次の五カ年の“空気”を決めます。2026年3月5日に全人代開幕会議で公表された政府活動報告は、第15次五カ年計画(2026〜2030年)のスタート年として、政策の優先順位をにじませました。
「両会」とは何か:政策の優先順位が見える季節
両会は毎年春に開かれる重要日程で、政府活動報告(Government Work Report)が政策方針をまとめて示します。第15次五カ年計画そのものは、現時点で正式な全容が公表されていない一方、今回の報告は今後の計画期を見通すガイド文書として、主要目標の輪郭を提示する役割を担います。
2025年の実績:GDP 140.19兆元、成長率は約5%
政府活動報告によると、2025年の国内総生産(GDP)は140.19兆元で、前年比で約5%成長しました。統計は国家統計局が取りまとめたもので、厳しい国際環境の中でも「安定成長を維持した」という評価につながります。
2026年の目標:4.5〜5%成長、雇用と物価の安定を重視
2026年の経済運営は、勢いの誇示というより、安定と改革の両立を意識した設計です。政府活動報告が掲げた主な数値目標は次の通りです。
- GDP成長率:4.5〜5%
- 新規都市雇用:1200万人超
- 調査失業率(都市部):約5.5%
- 消費者物価指数(CPI):約2%上昇
国務院の説明として、これらの水準は「安定成長」と同時に、構造改革の深化やリスク管理も進める必要性を反映するとされています。雇用目標が大きく打ち出されている点は、景気の体感や家計の安心感を左右する領域に、政策の軸足があることを示唆します。
財政政策:赤字比率は約4%、需要下支えへ“積極姿勢”
今回の報告では、財政面のテコ入れも明確です。2026年の財政運営として、
- 財政赤字対GDP比:約4%
- 政府赤字:約5.89兆元
- 一般公共予算の支出:30兆元超見込み
といった見通しが示されました。支出の規模感は、景気の下振れを避けつつ、必要な分野に資源を振り向ける「より積極的な財政スタンス」を印象づけます。
キーワードは「内需」:消費が成長の過半を占めたというデータ
成長のエンジンをどこに置くか。そこに、今回の報告の読みどころがあります。国家統計局のデータとして、2025年は最終消費支出が経済成長への寄与で過半を占めたとされ、消費主導型への移行が進んでいることが示されました。
かつては投資と輸出が成長を牽引してきましたが、現在は国内需要の拡大、家計所得の改善、サービス業の発展へと重点が移りつつあります。第15次五カ年計画の「助走」として、政策の言葉が“どの需要を厚くするのか”に向いている点は、今後の具体策を追う上でも重要な手がかりになります。
今回の両会が示す方向感:強靭性・イノベーション・高品質
現段階で強く打ち出されているのは、強靭性(レジリエンス)、イノベーション、そして高品質な発展という軸です。数値目標は分かりやすい一方で、五カ年の“体温”は、雇用や物価、内需の強化策がどのように組み合わされるかで見えてきます。
第15次五カ年計画(2026〜2030年)の全体像が正式に示されるまで、政府活動報告に書き込まれた優先順位は、政策の次の一手を読むためのベースラインになりそうです。
Reference(s):
China's Two Sessions sets economic tone for a new five-year journey
cgtn.com








