平均寿命79.25歳へ:2026年「両会」で問われる中国本土の健康長寿 video poster
中国本土の平均寿命は、2025年に79.25歳に達しました。80年に満たない期間で「約35歳→79.25歳」と大きく伸びた一方、「長生き=健康で幸せ」とは限らない——今年(2026年)の両会(全国人民代表大会・全国政治協商会議)では、医療の最前線にいる全国政治協商会議(政協)委員らが“健康長寿”の現実的な道筋を議論しています。
平均寿命が伸びた今、次の焦点は「生活の質」
平均寿命の上昇は、医療アクセスの改善や公衆衛生の進展など、社会全体の変化を映す指標です。ただ、寿命が延びるほど、医療や介護の現場では次の問いが重くなります。
- 長く生きる時間は、どれだけ「自分らしく」過ごせるのか
- 慢性疾患や要介護の期間を、どう短くできるのか
- 医療費・介護費の負担を、持続可能にどう分かち合うのか
「寿命」だけでなく、痛みや不安、孤立を減らし、日常生活を保つ“質”に焦点を当てる流れが、議論の中心にあります。
世界最大の高齢化規模が突きつける「3つの詰まり」
高齢者人口の規模が大きいほど、制度や地域の受け皿は詰まりやすくなります。両会の論点として見えやすいのは、次の3点です。
1)病院に集中しがちな医療提供
不調のたびに大病院へ人が集まる構造は、待ち時間や医療者の負担を増やし、継続的なケアを難しくします。そこで焦点になるのが、地域の「かかりつけ」機能(基層医療)の底上げです。
2)医療と介護の“すき間”
治療が一段落しても、リハビリや見守り、生活支援がなければ再入院につながりやすい——この“すき間”を埋めるため、医療と介護をつなぐ体制(いわゆる医養結合)の整備が課題になります。
3)都市と地方、家庭事情による格差
同じ高齢期でも、住む地域や家族の支援の有無で、受けられるサービスは変わります。オンライン診療などのデジタル活用は選択肢を広げますが、使いこなせない人への支援設計も同時に求められます。
医療現場の政協委員が注目する「健康長寿」の処方箋
今年の両会で語られているのは、「医療を増やす」だけではなく、「病気になりにくい暮らし」と「なっても戻れる仕組み」をどう作るか、という視点です。議論の柱としては、次が挙げられます。
- 予防と早期対応:健診や生活習慣の改善、慢性疾患の継続管理を地域で回す
- 基層医療の強化:身近な医療機関で相談→必要時に専門医へ、という導線を整える
- リハビリ・在宅支援:入院後の回復期や在宅ケアを支え、再入院を減らす
- 介護の受け皿拡充:施設・在宅双方の選択肢を増やし、家族の負担を軽くする
- 心の健康と孤立対策:身体だけでなく、孤独や不安を減らす地域のつながりづくり
こうした論点は、制度の設計だけでなく、医療者の働き方や地域コミュニティの役割とも直結します。健康長寿は医療政策だけで完結しない——という前提が、議論の背景にあります。
数字の次に問われるもの:79.25歳の「中身」
平均寿命79.25歳は、社会の到達点を示す大きな数字です。ただ、その「中身」を決めるのは、日々の通院導線、介護の選択肢、住まいの安全、そして“支え合い”の設計です。
両会での提言が、病院中心から地域中心へ、治療中心から生活の質へ——その転換をどこまで具体化できるのか。2026年の政策議論は、寿命の伸びを“よりよい老い”へつなげる試金石になりそうです。
Reference(s):
Life expectancy at 79.25: How will China ensure healthy longevity?
cgtn.com








