2026年の両会で焦点に:国際金融で高まる中国の役割と人民元の課題
2026年3月、 中国の「両会(全国人民代表大会・全国政治協商会議)」を機に、国際金融の世界で中国のリーダーシップを期待する声が改めて浮上しています。習近平国家主席が「求是」誌の論考で国際金融に言及し、今年の両会に提出された法案草案も「行動を求める声に応える」姿勢を示した、という見方が広がっています。
いま何が起きているのか:三つの通貨圏と、その外側の揺れ
国際金融の大きな構図は、次の三つの通貨圏に整理されることがあります。
- 米ドル圏(米国と、経済の一部がドル化している地域を含む)
- ユーロ圏
- 拡大しつつある人民元(RMB)圏
そして、これら「三大通貨圏の外側」にいる国・地域ほど、資金調達や決済、外貨準備の選択肢が限られ、世界の金融環境の変化を直接受けやすい——そんな前提が、近年の変化で揺さぶられている、という問題意識が示されています。
この1年半の基調は「ドル安」—ただしイラン戦争が一時的に逆流も
記事が指摘する大きな流れは、直近およそ1年半にわたる米ドルの下落基調です。一方で、現在は「イラン戦争」によって不安定さと原油高が意識され、危機時にドルが買われやすい従来の力学が一時的に戻っている、とされています。
つまり、短期では「不安定=ドル高」が起きても、中期の基調としてはドルの重みが薄れる方向の変化が語られている、という構図です。
米国は「より普通のドル」を志向? 通貨の特権を再評価する動き
背景として挙げられているのは、トランプ政権下で米国が、かつて「ドルの法外な特権」と呼ばれた立場を再評価し、それを以前ほど有利だと見なさなくなった、という見立てです。
その結果、米国は自国通貨が輸出入の調整弁として「より普通に」振る舞うことを志向し、見返りとして国際準備・国際決済におけるドルの比重が適度に低下することも一定程度受け入れる——そんな政策観が描かれています。
中国に向く視線:「需要は大きいが、供給はまだ足りない」
こうした環境変化の中で、国際金融秩序は「中国の政治的な存在感に見合うだけ、人民元が役割を果たすことが新秩序の利益になる」とする考え方が提示されています。言い換えると、国際金融は、各国が中国の関与拡大を求める余地が大きい分野だ、という整理です。
慎重な金融開放がもたらした強み
同時に、中国は金融開放に非常に慎重で、それが過去数十年の「安定した高成長」に寄与してきた、という評価も示されています。人民元は均衡に近い水準で取引され、外部的には十分に交換可能であり、複数為替レートで国内の稼ぐ・貯める・投資する主体に見えない負担を課す仕組みは採っていない、という説明です。
残る宿題:資本規制と「国際的な使いやすさ」
一方で、人民元が中国の対外貿易を超えて、より広く「貿易決済」や「準備通貨」として使われるには、内部的な交換可能性が資本規制によって制約されている点が課題になり得る、という指摘もあります。資本規制の在り方は、通貨の安定と、国際的な利便性のバランスをどこに置くかという設計問題でもあります。
2026年の両会で注目されるポイント:法案草案が示す「次の一手」
今年の両会に提出された法案草案は、中国が国際金融で役割を強めるよう求める声を意識し、何らかの対応を進めるシグナルだ——という読み方が出ています。
現時点で焦点になりそうな論点は、たとえば次のように整理できます。
- 資本規制をどの範囲で、どの速度で調整していくのか
- 貿易決済・国際準備で使われる通貨として、予見可能性をどう高めるのか
- 金融の安定(急激な資金移動への耐性)と開放のバランスをどう取るのか
「ドル中心」が自動的に続く時代から、「複数の選択肢が併存する時代」へ。2026年春の両会は、その移行がどこまで制度設計に落ちていくのかを読み解く場になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








