WTAファイナルズで波乱 前年女王シフィオンテクがまさかの敗退
女子テニスのシーズン最終戦となるWTAファイナルズで、前年女王イガ・シフィオンテク(世界ランク2位)がまさかのグループ敗退となりました。国際ニュースとしても注目されるこの大会で、シフィオンテクの運命を左右したのは、自分の試合ではなく、バルボラ・クレイチコバとココ・ガウフの一戦でした。
前年女王シフィオンテク、完勝しながら他力で敗退
シフィオンテクは、同じ日に行われたダリア・カサトキナ戦で圧巻のプレーを見せていました。左膝の負傷で途中棄権したジェシカ・ペグラの代役として出場したカサトキナ(世界ランク9位)を、6-1、6-0のストレートで一蹴。試合時間はわずか51分で、WTAファイナルズで過去8年間でも最速となるスピード決着でした。
この試合でシフィオンテクは、
- サービスでのポイント獲得率は72%
- ウィナー(決定打)は15本
- カサトキナとの対戦成績を6勝1敗と大きくリード
- 大会での6-0セット勝利は通算5セットとなり、セリーナ・ウィリアムズの記録に並ぶ
と、数字だけ見れば圧倒的な内容でした。WTAファイナルズにおける6-0セット勝利数では、マルチナ・ナブラチロワ(12セット)、クリス・エバート、シュテフィ・グラフ(ともに7セット)に次ぐ位置につけています。
しかしラウンドロビン形式(総当たり戦)の大会では、自分の勝利だけでは準決勝進出が保証されません。シフィオンテクはカサトキナに完勝したうえで、最後はガウフがクレイチコバに勝つことを祈る立場になっていました。
クレイチコバがガウフ撃破 グループの力学が一変
現地時間木曜日に行われたガウフ対クレイチコバ戦は、グループ突破の行方を左右する一戦でした。すでに準決勝進出を決めていた全米オープン優勝経験者のココ・ガウフに対し、世界ランク13位で第8シードのバルボラ・クレイチコバは、この試合に勝たなければ自らの道が途絶える状況でした。
第1セットは互いにサービスキープが続く緊張感の高い展開に。クレイチコバは4度のブレークポイントをしのぎ、54分に及ぶ接戦を7-5で先取しました。最後はバックハンドの強烈なダウン・ザ・ラインが決まり、この日最初の大きな山場を乗り切りました。
それまで今大会で一度もセットを落としていなかったガウフでしたが、この試合ではアンフォーストエラー(自分のミス)が響きます。第1セットだけで23本ものミスを重ね、主導権を握りきれませんでした。
第2セットも僅差の攻防になりましたが、今季のウィンブルドン女王であるクレイチコバが要所で崩れず、結局7-5、6-4のストレートで勝利。試合時間は1時間42分でした。
27歳のクレイチコバは試合後、「私にとって本当に大きな勝利です。自分のプレーにとても満足していますし、すごく良い試合でした。内容は簡単ではなく、アップダウンもありました。ウィンブルドン優勝は、これまでのキャリアで最も高い地点ですが、この大会で準決勝に進めたことも想像を超える出来事です。自分自身を誇りに思いますし、これからの新しいチャレンジが楽しみです」と語り、喜びと手応えを口にしました。
世界ランク13位のクレイチコバは、WTAファイナルズで準決勝に進んだ選手としては、2001年に当時14位だったサンドリーヌ・テストゥ以来となる最も低いランキングからの躍進です。波乱を起こしつつも、着実に自らの存在感を高めています。
一方で、この結果により、前年王者シフィオンテクのグループ敗退が決定しました。勝ってもなお準決勝に届かないという、ラウンドロビン特有の残酷さが浮き彫りになりました。
準決勝カード:ガウフ対サバレンカ、クレイチコバ対鄭欽文
準決勝では、すでに突破を決めていたガウフが、世界ランク1位のアリーナ・サバレンカと対戦します。若きスターとランキングトップの対決という、注目度の高いカードです。
もう一つの準決勝では、クレイチコバが中国のオリンピック金メダリスト、鄭欽文と顔を合わせます。ランキングや実績だけでは測れない、スタイルの違いがぶつかる一戦となりそうです。
クレイチコバはグループ最終戦での勝負強さをそのまま持ち込めるか。鄭欽文は、安定感と爆発力をどうバランスさせるのか。どちらも、今後の女子ツアーの勢力図を占ううえで重要な意味を持つ試合になりそうです。
数字が物語るシフィオンテクの支配力と、テニスの不確実性
今大会でのシフィオンテクは、カサトキナ戦に象徴されるように、数字の上ではまさに別次元の強さを示していました。
- 大会最速となる51分でのストレート勝利
- サービスゲームのポイント獲得率72%
- ウィナー15本に対し、失点の少ない安定した内容
- WTAファイナルズでの6-0セット勝利数は5セットで、セリーナ・ウィリアムズに並ぶ歴代上位の記録
それでも、最終的に彼女は準決勝に届きませんでした。この事実は、テニスというスポーツが、単に「強い選手が必ず勝ち上がる」とは言い切れない不確実性を内包していることを改めて示しています。
ラウンドロビン方式の大会では、
- 自分の試合でベストを尽くすこと
- 他選手同士の結果を受け入れること
- 一戦ごとの流れとメンタルの揺れをコントロールすること
といった複雑な要素が絡み合います。シフィオンテクのように、内容では他を圧倒しながらも、わずかな差と組み合わせの妙でタイトル争いから外れることもあるのです。
スポーツの世界では、どれだけ完璧に近いパフォーマンスをしても、結果が必ず報われるとは限りません。その理不尽さや偶然性も含めて、今回のWTAファイナルズは、勝負の面白さと厳しさを私たちに見せてくれています。準決勝、そして決勝に向けて、選手たちがどのように気持ちを立て直し、コートで表現していくのかに注目したいところです。
Reference(s):
Swiatek knocked out of WTA Finals after Krejcikova beats Gauff
cgtn.com








