タイガー・ウッズ、PGAツアーとLIV交渉の行方と自らの未来を語る
タイガー・ウッズ、選手としての将来に明言できず
PGAツアーとLIVゴルフをめぐる交渉の行方、そして自身のケガと復帰時期――男子ゴルフ界のスター、タイガー・ウッズがその両方について語りましたが、選手としての未来についてはなお明確なタイムラインを示していません。
「まだトーナメントに出る準備ができていない」
ウッズは、バハマのアルバニー・ゴルフクラブで開かれるヒーロー・ワールド・チャレンジで大会ホストを務めています。しかし彼の役割はホストのみで、2019年以降、このホリデー大会に実際に出場したのは一度だけです。現在は腰の6度目の手術からの回復途中にあります。
自身のプレーについてウッズは「まだトーナメントで戦える状態にはなっていない。ここにいるのは世界トップクラスの20人だが、今の自分はこのレベルで戦う鋭さが足りない。自分がこのレベルでプレーする準備ができたと感じた時に、初めて戻る」と語り、復帰を急がない姿勢を強調しました。
PGAツアーとサウジPIF交渉の現状
ウッズの時間の多くは、いまPGAツアーのビジネス面に割かれています。彼は1年前に任期の定めがない形でPGAツアーの政策ボードメンバーに就任したほか、商業部門であるPGAツアー・エンタープライゼズのボードにも名を連ねています。
交渉の焦点の一つは、サウジアラビアの公共投資ファンド(Public Investment Fund=PIF)がPGAツアー・エンタープライゼズの少数株主として出資するかどうかです。ツアー側はすでに、戦略スポーツグループ(Strategic Sports Group)から15億ドル規模の投資を受けており、選手への持株制度も導入しています。PGAツアーのジェイ・モナハンコミッショナーは、欧州ツアーのダンヒル・リンクス選手権で、PIF総裁のヤシル・アルルマイヤン氏と同組でプレーしました。
ウッズは「このプロセスに関わってきた誰もが、もっと早く話が進むと考えていたと思う」としつつ、どのような合意であれ米司法省の承認が必要になるとの見方を示しました。そのうえで「状況は非常に流動的で、日々動いている。政策ボードの観点から見ても、エンタープライズの観点から見ても、前向きに進んでいる」と説明し、交渉は遅れているものの建設的だと強調しました。
交渉に関わる主なプレーヤー
- PGAツアー:男子ゴルフの主要ツアー
- PGAツアー・エンタープライゼズ:商業部門。外部資本の受け皿
- 公共投資ファンド(PIF):サウジアラビアの政府系ファンド。LIVゴルフを支援
- LIVゴルフ:PIFが支える新興ツアー
- 戦略スポーツグループ(SSG):すでにPGAツアー・エンタープライゼズへ出資
欧州ツアーとLIVゴルフ、「共通スケジュール」案も
こうした動きと並行して、ブルームバーグは先週、欧州ツアーがPIFと個別に協議を行っていると報じました。報道によれば、欧州ツアーとLIVゴルフの選手が互いのツアーに出場できるような「共有スケジュール」案が話し合われている可能性があるとされています。
もし欧州ツアーとLIVゴルフの間でスケジュールの共有や行き来が実現すれば、選手にとっては出場機会が広がる一方で、ファンにとっては各ツアーの位置づけや序列がさらに複雑になる可能性もあります。PGAツアーとPIFの交渉とあわせ、男子ゴルフのツアー構造を大きく組み替える議論が続いている形です。
ウッズが望む「分断の終わり」と「平和」
ツアー間の対立や交渉が長期化する中で、ウッズが繰り返し強調したのは「最終的にはファンと選手にとってより良い形にしたい」という点でした。
彼は「誰もがこの状況を乗り越えたいと思っている。ツアーにとってベストなことをしようとすれば、いくつかの卵は割れてしまうし、時には困難な局面もあるだろう」と表現しました。そのうえで「最終的には関わるすべてのファンと選手にとって、より良いプロダクトを生み出し、この競技が心から必要としている『平和』を取り戻したい」と語り、ツアー分裂状態の収束を願う姿勢をにじませました。
2024年は「失われた一年」 腰痛に苦しんだシーズン
自らのプレーについて問われると、ウッズは2024年シーズンを「失われた一年」と振り返りました。シーズンが進むにつれて腰の状態は悪化し、痙攣を起こすようになったことが大きな理由だとしています。
腰の故障と6度目の手術は、スイングだけではなく日常生活の負担にもつながります。ウッズは、トーナメントで4日間歩き通す体力や、世界トップレベルの選手たちと戦うための競技勘がまだ戻っていないと認めています。
PNCチャンピオンシップと今後の復帰の場
ウッズは、家族で出場する36ホールのPNCチャンピオンシップについては、この場では具体的に言及しませんでした。記者からも出場予定に関する質問は出ず、例年通り出場するのかどうかは明らかになっていません。
この大会はPGAツアー・チャンピオンズ(シニアツアー)がホストを務め、カートの使用が認められています。ウッズは過去4年連続で、息子のチャーリーとともにこの大会に出場してきましたが、今年については判断が伏せられた形です。
ファンと読者が注目したいポイント
今回の発言から見えてくる、今後の男子ゴルフ界とウッズ自身をめぐる注目ポイントを整理すると、次のようになります。
- PIFがPGAツアー・エンタープライゼズへの少数出資で合意に達するかどうか
- 欧州ツアーとLIVゴルフの「共有スケジュール」案が具体化するか
- PGAツアー、欧州ツアー、LIVゴルフの関係がファンにとって分かりやすい形に収れんしていくのか
- ウッズが「十分に準備ができた」と感じ、再びトップレベルのトーナメントに復帰すると決断するタイミング
ウッズ自身がいつ再びクラブを手にし、どの大会を復帰の舞台に選ぶのか。そして、PGAツアーとLIVゴルフをめぐる分断がどのような形で収束していくのか。どちらについても、はっきりとした答えはまだ見えていません。
ただ一つ確かなのは、ウッズが選手としてだけでなく、PGAツアーの意思決定に関わる存在として、この変化の時代のゴルフ界に強い影響力を持ち続けていることです。ファンとしては、その言葉と決断の一つ一つを見守ることになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








