ISUショートトラック新ワールドツアー 北京で開幕 チーム戦の新機軸とは video poster
国際スケート連盟(ISU)の新シリーズ「ショートトラック・ワールドツアー」が北京で本格始動しました。初のアジア出身会長となるキム・ジェヨル氏が独占インタビューで語ったのは、新設されたチームタイトル「チーム・クリスタルグローブ」と、中国・北京の開催力です。
チームにも栄冠を──新設「チーム・クリスタルグローブ」とは
ショートトラックの国際ニュースとして、今季もっとも大きなトピックの一つが「チーム・クリスタルグローブ」です。これまでISUでは、シーズンを通じて個人のポイントを集計し、もっとも成績の良かった選手に「クリスタルグローブ」を授与してきました。
キム会長はインタビューで、従来の仕組みをこう振り返ります。
「これまでは、シーズンを通じて個々のスケーターが獲得したポイントを合算し、もっとも多くのポイントを獲得した選手にクリスタルグローブを授与してきました。この仕組みは多くのスケーターのモチベーションになってきました。」
そのうえで今季は、新たにチーム単位のポイント制度を導入したと強調しました。
「今シーズンからは、チーム・クリスタルグローブのポイントを導入しました。これは、スケーターのモチベーションをさらに高めるだけでなく、チーム同士の結束や一体感も強めています。」
個人タイトルに加えてチームタイトルがかかることで、各国・各地域の代表チームは、戦術やメンバー起用をこれまで以上にチーム全体の最適化という視点で考える必要が出てきます。観る側にとっても、「このチームが今季どこまでポイントを伸ばせるか」という長期のストーリーが追いやすくなりそうです。
新デザインのレーシングスーツとマスコットがもたらす変化
今回のISUショートトラック・ワールドツアーでは、フォーマットだけでなくビジュアル面でも大きな刷新が行われています。各チームには新しいチームアイデンティティが与えられ、レーシングスーツには独自のマスコットが描かれています。
これらのマスコットは、それぞれのチームが代表する国や地域のシンボルや競技への情熱を反映したデザインになっているといいます。観客は、色やマスコットを見るだけでどのチームかが直感的に分かるようになり、SNSでの拡散やファンコミュニティの盛り上がりにもつながりやすくなります。
スマートフォンで観戦するファンや、ハイライト動画を中心に追いかける視聴スタイルにとっても、チームごとの視覚的な特徴がはっきりしたことは大きなプラスです。
北京・首都体育館での開幕と「舞台裏ツアー」
今季の新ワールドツアー開幕の舞台となったのは、北京の首都体育館です。ISUは今回、ツアーのスタートを記念して、通常は選手や大会関係者しか入れないエリアを公開する特別な「バックステージツアー」を実施しました。
リンクへ続く導線や、選手がウォームアップするスペース、運営スタッフが作業するエリアなど、普段は見ることができない裏側をメディアに公開したことで、ショートトラックという競技がどのような準備と支えによって成り立っているのかを伝える狙いがあります。
こうした舞台裏の開示は、競技をより身近に感じてもらううえで重要です。ファンは氷上での数十秒のレースだけでなく、その前後にある緊張やチームのやり取りも含めて物語として楽しむことができます。
キム会長が評価する「北京の五輪レガシー」
キム会長は、中国が冬季五輪のレガシー(遺産)を有効に活用している点を繰り返し称賛しました。
「中国はオリンピックのレガシーを非常に効果的に活用しています。たとえば、今週末は首都体育館でショートトラックのワールドツアーが行われ、先週末には『アイスリボン』でスピードスケートのワールドカップが開催されました。どちらの大会も非常にうまく運営されました。」
キム会長によれば、スピードスケートの会場となった「アイスリボン」ではトラックレコード(リンク記録)が2つ更新され、20名の選手が自己ベストを更新するなど、ハイレベルな結果が相次ぎました。
「これは氷の質の高さを示す素晴らしい証拠です。首都体育館でも混合リレーで世界記録が生まれました。会場そのものが素晴らしいだけでなく、運営、スタッフ、ボランティアを含めて大会全体が非常にスムーズに進行しました。私たちはいつも、中国で大会を開催できることをうれしく思っています。」
五輪会場を短期間のイベントで終わらせるのではなく、継続的に国際大会の舞台として活用し続けることは、多くの国際スポーツにとって共通の課題です。北京では、ショートトラックやスピードスケートが、まさにその「好例」として位置づけられつつあると言えます。
世界選手権と2026年冬季五輪へ向けて
今回のワールドツアーには、世界トップレベルのショートトラック選手が多数参加しています。選手たちは、3月14日から16日にかけて北京で行われる世界選手権に向けて調整を続けながら、その先に控える2026年冬季オリンピックも視野に入れています。
ワールドツアーでの対戦を通じて、同じ顔ぶれが何度もぶつかり合い、シーズンを通してライバル関係が育っていく構図は、2026年に向けた「長編ドラマ」の序章とも言えます。チーム・クリスタルグローブの導入によって、
- 個人だけでなくチームとしての戦い方が問われる
- レースごとにポイントの意味合いが明確になる
- ファンがシーズン全体のストーリーを追いやすくなる
といった変化が生まれています。
ショートトラックは、数センチ単位の駆け引きと一瞬の判断が勝敗を分けるスピード競技です。新しいワールドツアーとチームタイトルが、2026年へ向けてどのようなスターと名勝負を生み出していくのか。今後の展開に注目が集まります。
忙しい人のための3つのポイント
- 新シリーズ始動:ISUショートトラック・ワールドツアーが北京で本格スタートし、新たなチームタイトル「チーム・クリスタルグローブ」が導入された。
- 視覚的な刷新:各チームに新マスコットとレーシングスーツが導入され、国・地域のシンボルと競技のスピリットを表現。国際ニュースとしてもファン参加型の流れが強まっている。
- 北京の開催力:首都体育館と「アイスリボン」で世界記録やトラックレコード、自己ベスト更新が相次ぎ、キム会長は会場と運営体制を高く評価。世界選手権と2026年冬季五輪に向けた重要なステージになっている。
デジタルネイティブ世代や国際ニュースに関心の高い読者にとって、今季のショートトラックは「結果」だけでなく、「シリーズ全体の物語」と「チームとしての戦い方」をどう楽しむかが、新しい視点になりそうです。
Reference(s):
Exclusive: ISU President Kim celebrates World Tour launch in Beijing
cgtn.com








