IOCがeスポーツ・オリンピック構想 Bach会長が語る競技の未来
2024年は、eスポーツが国際ニュースの中心に躍り出た年でした。国際オリンピック委員会(IOC)がeスポーツ・オリンピック大会の構想を打ち出し、上海ではアジア規模の新リーグがお披露目されました。オリンピックのトップであるトーマス・バッハ会長も、その未来を正面から語り始めています。
2024年、eスポーツがオリンピックの議題に
昨年2024年、eスポーツはこれまで以上にスポーツ界の本流に近づきました。IOCが7月に初の「Esports Olympic Games(eスポーツ・オリンピック・ゲームズ)」を提案し、9月には上海で「Esports Asian Champions League(eスポーツ・アジア・チャンピオンズリーグ)」が発表されたことが、その象徴と言えます。
- 2024年7月:IOCが初のeスポーツ・オリンピック大会構想を提案
- 2024年9月:上海でeスポーツ・アジア・チャンピオンズリーグが発表
一つは世界の頂点を目指すオリンピック構想、もう一つはアジアの地域リーグ。両方が同じ年に動き出したことは、eスポーツが単発のイベントではなく、長期的な競技システムとして組み込まれ始めていることを示しています。
パリ大会で語られた「eスポーツの未来」
IOCのトーマス・バッハ会長は、パリ大会の場でスポーツ番組のアンカーであるグレッグ・ラファーディ氏の取材に応じ、eスポーツの位置づけについてこう語りました。
バッハ会長によると、eスポーツの未来は「何年にもわたって行きつ戻りつ議論されてきた」テーマでした。議論の中心にあったのは、ある種のバーチャルなスポーツが、伝統的なスポーツの一つの種目として認められるのかどうか、という点だとしています。
ここから見えてくるのは、IOCがeスポーツを単なる娯楽やイベントとしてではなく、「伝統的なスポーツとの関係性」という視点から慎重に検討しているという姿勢です。どこまでがスポーツで、どこからがゲームなのか。その線引きが、今まさに問われていると言えます。
eスポーツ・オリンピック構想が意味する3つのポイント
IOCがeスポーツ・オリンピック大会を提案したことは、単なる新イベントの追加以上の意味を持ちます。大きく見ると、次の3つの論点が浮かび上がります。
- 若い世代とオリンピックの接点づくり
eスポーツは、デジタルネイティブ世代にとって最も身近な競技の一つです。オリンピックの枠組みにeスポーツを取り込むことは、若い視聴者や新しいファン層とつながるための重要な試みと見ることができます。
- 競技性とルール作り
「伝統的なスポーツの一つの種目として成立するのか」というバッハ会長の問題提起は、競技としての公平性やルールの透明性をどう確保するかという課題と直結します。どのタイトルを採用し、どのような形式で競うのか。ここには、スポーツとしての一貫性が求められます。
- 国際大会としてのフォーマット設計
オリンピック大会として行う以上、国や地域をまたいだ参加の在り方、予選の仕組み、大会期間中の運営など、従来のスポーツと同じレベルでの設計が必要になります。これは、既存のeスポーツ大会とは異なる視点での調整を意味します。
上海で発表されたアジア・チャンピオンズリーグ
2024年9月、上海で「Esports Asian Champions League」が発表されたことも見逃せません。アジア地域を冠したこのリーグ構想は、eスポーツが地域ごとの競技カレンダーを持ち、継続的な対戦の場として整備されつつあることを象徴しています。
オリンピック構想が「世界の頂点」を目指すものであるのに対し、アジアのチャンピオンズリーグ構想は、地域内での実戦経験やライバル関係を生み出す土台になり得ます。こうした地域リーグと世界大会の組み合わせは、従来のサッカーやバスケットボールなどでも見られる構図であり、eスポーツも同じ段階に差しかかりつつあると考えられます。
2025年以降の焦点:スポーツか、ゲームか、その中間か
現在(2025年)、eスポーツ・オリンピック大会やアジア・チャンピオンズリーグの具体的な中身は、これからさらに詰められていく段階にあります。そのプロセスで、次のような問いが浮かび続けるでしょう。
- どのような種目が「スポーツ」としてふさわしいとされるのか
- ゲームタイトルの変更やアップデートに、競技としてどう対応するのか
- 選手の育成や健康管理を、他のスポーツと同じ水準でどう支えるのか
バッハ会長が語ったように、eスポーツの未来はこれまでも「行きつ戻りつ」議論されてきました。しかし、2024年の一連の動きで、その議論は明らかに新しいフェーズに入っています。
これから数年の間に、eスポーツは「伝統的なスポーツの一種」として位置づけられていくのか、それとも独自の枠組みを保ちながらオリンピックと関わっていくのか。私たちが画面の前で観ている試合は、いつの間にかオリンピックの一場面になっているかもしれません。
日々のニュースを追いながら、自分ならどのようなeスポーツ大会を望むのか、一度考えてみることが、これからの国際スポーツのかたちを読み解くヒントになるはずです。
Reference(s):
cgtn.com








