アジア最速男・蘇炳添、2025年ナショナル・ゲームズ後に引退意向
中国本土のスター短距離走者で、男子100メートルのアジア記録保持者である蘇炳添(スー・ビンティエン)選手が、2025年11月に予定されていた第15回ナショナル・ゲームズ(全国運動会)を最後に現役を退く意向を示しました。東京五輪でアジアに衝撃を与えたスプリンターのキャリアが、大きな節目を迎えようとしています。
第15回ナショナル・ゲームズを「ラストレース」に
蘇炳添選手は、2025年11月に広東省、香港、マカオが共同開催した第15回ナショナル・ゲームズを、現役生活の締めくくりと位置づけています。35歳となった現在もコンディションは良好で、すでに本格的なトレーニングを再開しているといいます。
地元開催となるこの大会を、自身の集大成の舞台とすることで、これまで支えてきてくれた人々や地域に感謝を伝えたい考えです。蘇選手は、故郷とされる広東省中山市、そして広東・香港・マカオ大湾区に貢献したいという思いを繰り返し口にしており、その象徴的な場としてナショナル・ゲームズを選んだ形です。
地元と広東・香港・マカオ大湾区への思い
蘇選手は、広東省中山市出身のベテランスプリンターです。自身のラストシーズンを地元に近い場所で走ることについて、「故郷と広東・香港・マカオ大湾区に恩返しをしたい」という強い思いがにじみます。
広東・香港・マカオ大湾区は、その名の通り広東省、香港、マカオにまたがる地域です。そこで開かれるビッグイベントで、有終の美を飾ろうとする姿は、地域の若いアスリートたちにとっても大きな刺激となりそうです。
東京五輪で刻んだ9.83秒の衝撃
蘇炳添選手の名前を世界に知らしめたのは、2020年の東京五輪でした。男子100メートルで準決勝を9秒83のアジア新記録で走り抜け、中国人として初めてオリンピックの男子100メートル決勝に進出しました。
決勝では6位に終わったものの、その走りは「アジア人スプリンターでも世界の頂点争いができる」というイメージを、多くのファンや競技関係者に与えました。また、東京大会では男子4×100メートルリレーでも銅メダルを獲得し、中国チームとして初めてオリンピックの短距離種目で表彰台に上がる歴史的な結果を残しています。
パリ五輪欠場とベテランの決断
一方で、蘇選手は2024年のパリ五輪をけがのために欠場しました。トップレベルで長く戦ってきたベテランにとって、この欠場はキャリアを見つめ直す大きなきっかけになったとみられます。
それでも「まだ走れる」という手応えを感じているからこそ、地元に近い舞台で自らの区切りをつけることを選んだとも言えます。十分な準備期間を取り、心身ともに整えたうえで、納得のいくラストレースに臨もうとしている姿が浮かびます。
アジア短距離界に残るレガシー
蘇炳添選手の引退は、単に一人のスター選手の退場にとどまりません。アジア、そして中国本土の短距離界にとって、大きな転換点となる出来事でもあります。
これまでの歩みから見える蘇選手のレガシーを、いくつかのポイントに整理してみます。
- アジア記録となる9秒83で、世界のトップスプリンターと肩を並べたこと
- 中国チームとして初のオリンピック短距離種目のメダル獲得に貢献したこと
- 30代半ばまで第一線で戦い続ける姿を示し、若い選手たちの目標となったこと
今後、蘇選手がトラックを離れたあとも、その経験や知見がどのような形で次世代に伝わっていくのかに注目が集まりそうです。アジアの短距離界を切り開いてきたランナーの新たな挑戦は、競技の枠を超えて、多くの人に影響を与え続けるはずです。
Reference(s):
China's sprinter Su Bingtian to retire after 2025 National Games
cgtn.com








