メキシコシティのフォーミュラE:EV技術を試す静かな激戦 video poster
先週末、メキシコシティで行われた国際レースシリーズ・フォーミュラEで、電気自動車(EV)だけによる静かで激しい戦いが繰り広げられました。環境負荷の少ないレースでありながら、過酷な条件のもとで最新のEV技術を試す実験場として注目を集めています。
フォーミュラEとは何か:電気だけで走るフォーミュラカーレース
フォーミュラEは、電気モーターで走るシングルシーター(1人乗り)のフォーミュラカーによるレースシリーズです。従来のガソリンエンジンを使うレースと異なり、すべてのマシンがバッテリーと電気モーターで走行します。
レースの特徴として、次のような点が挙げられます。
- 化石燃料を使わない、排出ガスゼロのモータースポーツであること
- 市街地コースで開催されることが多く、観客が都市の中心部で観戦しやすいこと
- 静粛性が高く、エンジン音ではなくモーター音とタイヤのきしむ音が主役であること
今回のメキシコシティ大会でも、多くの観客がコース沿いに集まり、環境に配慮した新しい形のレースを間近で体験しました。
メキシコシティがEVの実験場になる理由
報道によると、メキシコシティでのフォーミュラEレースは、ファンにとってはスピードと駆け引きを楽しめるエンターテインメントであると同時に、自動車メーカーや技術者にとっては、EVの性能を厳しく試せる場になっています。
メキシコシティのような大都市での市街地レースは、EVにとって次のような意味を持ちます。
- 実際の都市環境に近い条件:ストップ・アンド・ゴーの多いレイアウトは、日常の市街地走行に近い負荷をマシンに与えます。
- 気候や路面の変化への対応:路面温度や空気の薄さなど、環境条件がバッテリー性能やモーター効率に影響します。
- 観客へのアピール:環境への配慮を前面に出したレースを都市中心部で見せることで、EVへの関心を高める効果があります。
中国の国際メディアであるCGTNのフランク・コントレラス記者も、メキシコシティから、こうしたフォーミュラEとEV技術の関係を伝えています。
何が「試されている」のか:EV技術の核心
フォーミュラEは、単なるレースではなく、次世代の電気自動車技術を実戦で試す場だとされています。特に試されるのは、次のような要素です。
バッテリーとエネルギーマネジメント
レース距離を全開走行で走り切るには、バッテリーの容量だけでなく、エネルギー配分の戦略が欠かせません。
- どの区間でパワーを出し、どこで温存するか
- 回生ブレーキをどれだけ効率よく使えるか
- 高出力時の発熱をどうコントロールするか
こうしたノウハウは、将来の市販EVの省エネ性能や航続距離の向上に直結します。
モーターと制御ソフトウェア
モーターそのものの性能に加え、細かな制御を行うソフトウェアも重要です。
- コーナー進入時のトラクションコントロール(空転防止)
- 加速時の出力制御によるタイヤのグリップ確保
- 路面状況に応じた制御マップの変更
ソフトウェアによる緻密な制御は、日常の運転における安全性や乗り心地の向上にもつながると考えられます。
モータースポーツから日常のクルマへ
フォーミュラEで磨かれた技術は、数年後には一般の電気自動車にも反映されていくと見られています。過酷なレース環境で実証された技術は、量産車にとっても信頼性の裏付けになります。
具体的には、次のような形で日常のクルマに降りてくる可能性があります。
- より長く走れるバッテリーと高効率のエネルギーマネジメント
- 安全性と快適性を両立させる制御ソフトウェア
- 都市部で使いやすいコンパクトなEVプラットフォーム
メキシコシティのような大都市でのレースは、世界のさまざまな都市でのEV普及の試金石としても位置づけられています。
日本の読者への問い:次に試されるのは「私たちの選択」かもしれない
日本でも、EVやハイブリッド車はすでに身近な存在になっています。一方で、充電インフラや電気料金、バッテリーの寿命など、気になる点も少なくありません。
メキシコシティのフォーミュラEレースは、次のような問いを私たちに投げかけているようにも見えます。
- 環境負荷の少ない移動手段を、どのくらいのスピードで受け入れていくのか
- 技術の進歩を、どのように自分たちの暮らしに取り入れていくのか
- モータースポーツを、単なる娯楽ではなく技術と社会の実験場として見ることができるか
静かながら緊張感のあるEVレースは、クルマ好きの楽しみを満たすだけでなく、これからの都市とモビリティの姿を考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
Electric vehicles put to the test in Mexico City Formula E race
cgtn.com








