全豪オープン男子、シナーがデミノー圧倒 地元Vは49年持ち越し
テニスの四大大会(グランドスラム)のひとつ、全豪オープン男子シングルスで、イタリアのディフェンディングチャンピオン、ヤニック・シナーが地元のエース、アレックス・デミノーをストレートで退け、準決勝進出を決めました。スコアは6-3、6-2、6-1。これにより、オーストラリアの男子シングルス優勝への49年ぶりの期待は、またしても持ち越しとなっています。
守る王者から、攻める王者へ
シナーは前回のメルボルン大会で四大大会初優勝を果たし、9月の全米オープンも制した、いま最も勢いのある23歳です。今大会には第1シードとして臨み、この試合の時点で通算3つ目のメジャータイトルを視野に入れていました。
デミノーとの一戦は、海外メディアがSublime Sinnerと表現したように、ほぼ完璧に近い内容でした。強烈なベースラインの打ち合いの中でも、主導権を握っていたのは終始シナー。相手のボールに押される場面でも、一段ギアを上げるようにしてラリーを支配していきました。
試合の鍵は、各セットでの早いブレーク
試合序盤は、両者が激しく打ち合うピンボールのような展開となりましたが、先に均衡を破ったのはシナーでした。第1セットで3-1とリードするブレークに成功すると、そのままペースをつかみセットを先取します。
第2セットでも、シナーは立ち上がりからサービスゲームをしっかりキープしつつ早めのブレークに成功。象徴的だったのは、鋭いクロスへのフォアハンドウィナーを叩き込んだポイントで、デミノーの表情にはわずかな失望と戸惑いが浮かびました。
第3セットに入ると、流れは完全にシナーのもの。最初の3ゲームを一気に連取し、そのまま最後のサービスブレークまで駆け抜けました。サービスゲームではほとんど隙を見せず、危ない場面も最小限に抑えています。
唯一の反撃のチャンスは、デミノーが第2セットでつかんだブレークポイントでした。しかしここでも第1シードのシナーが落ち着いて対応し、チャンスの芽をすぐさま摘み取っています。
体調不良明けでも揺るがないコンディション管理
シナーは前のラウンドで体調不良に苦しんだとされていますが、この日はその影響をほとんど感じさせませんでした。試合後には、前日はコーチ陣と30〜40分ほど軽く練習しただけで、あとは休養に充てていたことを明かしています。
彼は、若さゆえの回復力と十分な睡眠がコンディションを戻す鍵になったと語りました。トップ選手がタイトな日程の中でいかに自分の体をマネジメントするか。その一端が垣間見えるコメントでもあります。
地元デミノーの挑戦と、続く49年ぶり優勝への渇望
一方のデミノーにとって、この試合はまさに高い壁への挑戦でした。25歳の彼は、これがシナーとの10度目の対戦であり、過去9戦で一度も勝てていませんでした。この日勝てば、自身初の全豪オープン準決勝進出に加え、地元男子としてはレイトン・ヒューイット以来約20年ぶりのベスト4進出という快挙になる状況でした。
さらに、その先には1976年にマーク・エドモンドソンが優勝して以来、長く続く男子シングルス優勝からの遠ざかりを終わらせる可能性もありました。1976年から数えると49年。オーストラリアのテニスファンにとって、自国選手の全豪優勝は、まさに世代をまたぐ悲願と言えます。
結果として夢は叶いませんでしたが、地元ファンで埋め尽くされたロッド・レーバー・アリーナは、健闘を称えるスタンディングオベーションでデミノーを送り出しました。スコア以上に、プレッシャーのかかる舞台で戦い抜いた姿が強く印象に残る試合でもありました。
次の相手はシェルトン テニス新世代の対決へ
この勝利でシナーは、準決勝でアメリカの第21シード、ベン・シェルトンと対戦することになりました。すでに四大大会2タイトルを持つ23歳と、勢いのある若いアメリカ人シード選手。全豪オープン男子シングルスは、新しい世代同士の戦いが主役になりつつあります。
若い第21シードとの準決勝は、シナーにとって3つ目の四大大会タイトルへの重要なステップとなります。新世代同士の対戦が増える中で、どの選手が長期的に頂点に立ち続けるのか。男子テニスの勢力図を占ううえでも注目の一戦でした。
この試合から見えるもの ホームの重圧と安定感の価値
今回の一戦は、単なるストレート勝ち以上の意味を持つように見えます。そこから見えてくるポイントを、いくつか挙げてみます。
- ホームで戦う選手は、大声援と同時に大きなプレッシャーも背負う。デミノーはその両方を受け止めながら、最後まで自分のテニスを貫こうとしました。
- シナーのように、各セットの序盤でブレークを重ねられる選手は、試合全体のリズムを自分のものにしやすい。安定感のあるサービスとリターンが、その土台になっています。
- 体調が万全でない中でも、練習量を調整し、睡眠や休養を優先する判断ができるかどうか。トップレベルでは、プレーそのものだけでなくセルフマネジメント能力も勝敗を分ける要素になっています。
日本から見ると、こうした海外の試合はどこか遠い出来事に感じられるかもしれません。しかし、プレッシャーとの向き合い方や、自分の強みをどのように試合の中で発揮するかといったテーマは、スポーツに限らず私たちの日常にも通じる部分があります。
全豪オープン男子シングルスの49年越しの物語は、まだ続きます。その物語の次の一章を誰が書くのか。シナーやデミノー、そして新しい世代の選手たちの戦いから、今後も目が離せません。
Reference(s):
Sublime Sinner stops De Minaur and reaches Australian Open semifinals
cgtn.com








