IOC次期会長に7人が名乗り アスリートと気候変動が争点
国際オリンピック委員会(IOC)の次期会長選びに向けて7人の候補者が木曜日、IOC本部「オリンピックハウス」でプレゼンテーションを行いました。アスリートの権利から気候変動、ジェンダー平等まで、世界のスポーツ界の行方を占うテーマが出そろっています。
IOC次期会長選に7人が立候補
今回のプレゼンテーションは、IOC会長選を控えた重要な節目となります。プレゼンの順番は11月に行われた抽選で決まり、トップバッターはヨルダンのプリンス・フェイサル・アル・フセイン氏。続いてUCI(国際自転車競技連合)会長のダビド・ラパルティアン氏、FIS(国際スキー・スノーボード連盟)会長のヨハン・エリアシュ氏、IOC副会長のフアン・アントニオ・サマランチ・ジュニア氏、ジンバブエの五輪競泳王者でスポーツ相のカースティ・コヴェントリ氏、WA(ワールドアスレティックス)会長のセバスチャン・コー氏、FIG(国際体操連盟)会長の渡辺守成氏が続きました。
各候補はIOC委員に対し、非公開の場で15分間のプレゼンテーションを行いました。その後、選ばれたメディアとのニュースミーティングに出席し、1人あたり約10分間の質疑応答に臨んでいます。IOC本部での対面によるこうしたやりとりは、新型コロナウイルス感染症の拡大以降では初めてとされています。
次期IOC会長は、ギリシャで3月18日から21日まで開かれる第144回IOC総会で選出される予定です。7人の候補者によるマニフェスト(公約集)は、12月にIOCが一括して公開しました。
候補者ごとの主なメッセージ
プリンス・フェイサル・アル・フセイン氏(61)
プリンス・フェイサル氏は、自身の構想を「想像力を鼓舞すること」「誠実性を確保すること」「包摂を発展させること」という三つの戦略的な柱に整理したと説明しました。五輪ムーブメントの将来像を描く上で、この三つが指針になると強調しています。
ダビド・ラパルティアン氏(51)
自転車界のトップであり、フランス国家オリンピック・スポーツ委員会の会長も務めるラパルティアン氏は、IOCが直面する課題として「世界的な不安定さ」「気候変動」「デジタル化」を挙げました。スポーツ界も例外ではない国際情勢の変化に、IOCとしてどう対応していくかが問われるとの問題意識です。
ヨハン・エリアシュ氏(62)
エリアシュ氏は、五輪のスポンサーシップのあり方や、今後数年にわたってオリンピック開催地をローテーションさせる構想に重点を置いて語りました。大会の財政基盤と開催負担をどう分かち合うかという、実務的な論点に焦点を当てています。
フアン・アントニオ・サマランチ・ジュニア氏(65)
元IOC会長フアン・アントニオ・サマランチ氏の子であるサマランチ・ジュニア氏は、「メディアは敵ではなく味方だ」と述べ、報道機関との関係改善を強調しました。情報発信の透明性や説明責任を重視する姿勢がにじみます。
カースティ・コヴェントリ氏(41)
7人の中で最年少であり、唯一の女性かつアフリカ出身の候補でもあるコヴェントリ氏は、自身の人生の歩みを振り返りながら、「性別や出身ではなく、最も優れた候補として選ばれたい」と語りました。多様性の象徴として見られがちな立場にありながら、実績と能力で評価されることを求めています。
セバスチャン・コー氏(68)
最年長の候補となるコー氏は、IOC委員の年齢上限(70歳、最大4年の延長あり)との兼ね合いが注目されています。規定どおり8年の会長任期と4年の延長を全うするには、年齢制限の見直しが前提となるためです。一方で本人は、若い世代との関わりを持ち続けていると強調しました。
渡辺守成氏(65)
渡辺氏は、オリンピックを五つの大陸で同時開催するという大胆な構想をあらためて提案しました。大会予算の削減にも意欲を示し、分散開催によって財政負担を軽減できるとの考えを示しています。
共通して浮かぶ五つの争点
候補者によって表現やアプローチは異なるものの、今回のプレゼンテーションやマニフェストからは、次のような共通テーマが浮かび上がります。
- アスリートの権利と福祉の向上
- 気候変動への対応と持続可能な大会運営
- ジェンダー平等と多様性の尊重
- ドーピング防止の徹底
- 新しい放送手法とデジタル技術の活用
五輪が世界中の人びとにどのように届けられ、どのような価値を示すべきか。次期会長選は、その方向性を決める場にもなりそうです。
バッハ会長の後任を決める選挙
新たに選ばれるIOC会長は、2013年に選出され、最長12年の任期を務めたトーマス・バッハ現会長の後任となります。バッハ氏の時代を経て、IOCは次のリーダーシップのもとでどのように変化していくのかが注目されています。
3月の第144回IOC総会まで、7人の候補者はそれぞれの構想を世界に向けて発信し続けることになります。アスリートの権利、気候変動、ジェンダー平等、そしてデジタル時代のスポーツのあり方――この会長選は、国際スポーツの未来を考えるうえでの重要な手がかりとなるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








