イーグルスがチーフスのスーパーボウル3連覇阻止 守備主導で40–22の完勝
アメリカンフットボールNFLの頂点を決めるスーパーボウルで、フィラデルフィア・イーグルスがカンザスシティ・チーフスを40–22で下し、チーフスのスーパーボウル3連覇を阻止しました。主役となったのは、Jalen Hurts(ジェイレン・ハーツ)の攻撃だけでなく、Cooper DeJean(クーパー・デジャン)やJosh Sweat(ジョシュ・スウェット)らが率いる鉄壁の守備陣でした。
守備が主役のスーパーボウル
この試合で流れを決定づけたのは、22歳の誕生日を迎えたばかりのディフェンシブバック、デジャンのインターセプト・リターンタッチダウン(いわゆるピック6)でした。Patrick Mahomes(パトリック・マホームズ)のパスを読み切ったデジャンが、そのままエンドゾーンまで走り切り、スタジアムの空気を一気にイーグルス側へ傾けました。
パスラッシュではスウェットがマホームズに襲いかかり、個人で2.5サックを記録。イーグルス守備は試合を通してマホームズに6サックを浴びせました。注目すべきは、守備を統率したVic Fangio(ビック・ファンジオ)コーディネーターが、一度もブリッツ(複数選手で一斉に突っ込む戦術)をコールしなかったことです。セオリーから外れた冷静なゲームプランで、これまでファンジオの守備に8戦全勝だったマホームズを封じ込めました。
試合後、ハーツは「ディフェンスがチャンピオンを生む」と語り、「守備陣が短い攻撃機会を何度もつくってくれたから、自分たちのやるべきことに集中できた」と、チームとしての勝利を強調しました。
HurtsがMVP、効率的な攻撃で主導権
攻撃陣を率いたハーツは、パスで2本のタッチダウンを決めたうえ、密集隊形から自ら押し込むプレー「タッシュ・プッシュ」と呼ばれるランでもタッチダウンをマークしました。パス獲得ヤードは221ヤードと派手な数字ではないものの、要所で確実にドライブを完結させ、スーパーボウルMVPに選ばれています。
Nick Sirianni(ニック・シリアニ)監督は「これは究極のチームスポーツだ。一人の偉大さだけでは勝てない。攻撃、守備、スペシャルチーム、全員が素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた」と語り、「周りがどう勝ち方を評価するかは気にしない。私たちが求めているのは勝利だけだ」と強調しました。
Barkleyは控えめな数字でもシーズン記録を更新
2024年のAP年間最優秀攻撃選手(Offensive Player of the Year)に選ばれたランニングバック、Saquon Barkley(サクオン・バークリー)は、この試合では57ヤードの獲得にとどまりました。前半終了時点では31ヤードと静かなスタートでしたが、それでもレギュラーシーズンとプレーオフを通算したシーズンのラン獲得ヤードで、Terrell Davis(テレル・デイビス)が持っていた記録を塗り替えています。
それほどまでに、この日は守備が試合のトーンを決めた一戦だったと言えます。前半だけで24–0と大量リードを奪ったことで、イーグルスはバークリーに過度な負担をかける必要がありませんでした。
「王朝」チーフスに突きつけられた現実
一方のチーフスは、ここ5回のスーパーボウルで3度優勝し、昨季まで2連覇中と「王朝」とも呼ばれる存在でした。今回勝てば、NFL史上3チーム目となる3連覇、さらにスーパーボウル時代では史上初の快挙がかかっていました。
しかしこの日は、攻撃の歯車が最後までかみ合いませんでした。エースTE(タイトエンド)のTravis Kelce(トラビス・ケルシ)が初めてパスキャッチを記録したのは第3クオーター終盤。最終的に22点を返したものの、40–22というスコア以上に差を感じさせる内容で、チーフスにとっては想定外の完敗となりました。
長年NFLで守備を指揮してきたファンジオにとって、イーグルスは「地元」のチームでもあります。そのファンジオが、かつてイーグルスを率いたこともあるAndy Reid(アンディ・リード)監督を戦術面で上回り、就任1年目でスーパーボウル制覇を達成しました。リードはこれでスーパーボウル戦績を3勝3敗としています。
Taylor Swiftも見守る中での初黒星
スタンドには、世界的ポップスターのTaylor Swift(テイラー・スウィフト)の姿もありました。今季、スウィフトがスイートルームから恋人ケルシを見守った試合で、チーフスはここまで9戦全勝。しかしこの日は、その「ジンクス」が初めて破られる形となりました。
2年前の雪辱と、ライバル関係の新たな章
イーグルスにとっては、過去2年の悔しさを晴らす一勝でもあります。2年前のアリゾナでのスーパーボウルでは、ハーツが終盤までチーフスと撃ち合いながらも、マホームズの猛追とHarrison Butker(ハリソン・バトカー)の決勝フィールドゴールにより、35–38で敗れていました。
昨季のスーパーボウルでも、マホームズはサンフランシスコとの接戦を延長戦で制し、チーフスは2連覇を達成しています。そうした流れを踏まえると、今回のイーグルスの完勝は、NFLの勢力図に変化を予感させる結果と言えるでしょう。
数字で振り返るこの一戦
- 試合結果:イーグルス 40 – 22 チーフス
- ハーツ:パス221ヤード、パスタッチダウン2本、ランタッチダウン1本(タッシュ・プッシュ)
- バークリー:ラン57ヤード(シーズントータルでテレル・デイビスの記録を更新)
- デジャン:インターセプトリターンタッチダウン1本(ピック6)
- イーグルス守備:マホームズに6サック、うちスウェットが2.5サック
「ディフェンスは時代遅れ」ではなかった
NFLでは近年、パス中心のハイオフェンスが注目を集め、「攻撃の時代」とも言われてきました。しかしこのスーパーボウルは、「やはり守備がチャンピオンを決める」という古典的なフレーズを、改めて思い出させる内容でした。
圧倒的な攻撃力とスター選手をそろえたチーフスに対し、イーグルスは組織的な守備とバランスの取れた攻撃で応戦しました。「個のスター」だけではなく、「チームとしての完成度」が最終的な差になった――そんなメッセージを、この試合から読み取ることができます。
Reference(s):
Eagles deny Chiefs a Super Bowl three-peat 40-22 with dominant defense
cgtn.com








