IOC会長選挙、サマランチ副会長が「本命視」を否定 コー氏・コベントリー氏と三つ巴
国際オリンピック委員会(IOC)の次期会長を決める選挙を翌日に控え、最有力候補の一人と目されるフアン・アントニオ・サマランチ副会長が、自身が「本命」と見られていることを控えめに否定しました。現代のIOC史でも屈指の「行方が読めない」会長選の行方に、世界の関心が集まっています。
IOC会長選挙、異例の「本命不在」ムード
今回のIOC会長選挙には7人が立候補しており、その中でもサマランチ副会長と、二度の五輪金メダルを持つセバスチャン・コー氏、カースティ・コベントリー氏の3人が有力視されています。近年では珍しく「誰が勝つか読みにくい」とされる構図で、IOC内部の力学にも変化が起きていることをうかがわせます。
サマランチ副会長「結果は本当に分からない」
投票前日の水曜日、サマランチ副会長は記者団に対し、世論やメディアが自分を有力候補とみなしているとの見方を問われると、冷静にこう応じました。
「皆さんの結果を予測する力にはいつも感心しています。ただ、私自身はどうなるか本当に分からないのです」と話し、自身が本命視されているとの見方をやんわりと否定しました。
サマランチ氏は、投票権を持つIOC委員の役割についても言及し、「票は貴重であり、秘密にされるべきものだ」と強調。委員たちは外部からの圧力や推薦、さらにはアイデンティティ(出自や属性)をめぐる政治的な思惑を「忘れて」、自分が正しいと感じる候補に投票すべきだと呼びかけました。
史上初の女性・アフリカ出身会長なるか
カースティ・コベントリー氏の「変化」を求めるメッセージ
一方、ジンバブエのスポーツ担当大臣を務める41歳のカースティ・コベントリー氏が会長に選ばれれば、IOC131年の歴史で初の女性会長、かつ初のアフリカ出身の会長が誕生することになります。
コベントリー氏は水曜日、女性会長の誕生のタイミングかどうかを問われ、「私は少しバイアスがあるので、もちろん『今こそその時だ』と言います」と笑いを交えて答えました。その上で、「変化を起こしましょう。それを実現させましょう」と述べ、組織の多様性と刷新を前面に掲げています。
セバスチャン・コー氏は実績で勝負
セバスチャン・コー氏は、二度の五輪金メダルを獲得した元陸上選手であり、イギリスの元国会議員として政治の世界も経験してきました。さらに、2012年ロンドン五輪の大会組織を取り仕切った実績を持ち、現在は陸上競技の国際統括団体ワールドアスレティックスの会長を務めています。
IOC年次総会の初日、候補者たちが報道陣の前を通る短い時間に、コー氏は多くを語りませんでしたが、「調子はいいですよ。ただ、まだ昼食前ですからね」と68歳とは思えない軽妙さでコメントしました。自らの経歴や手腕はすでに広く知られている、という自信ものぞかせます。
109人のIOC委員が選ぶ次のリーダー
秘密投票と「オープンな」選挙
投票権を持つのは、現在109人いるIOC委員たちです。全員が国際スポーツ界の中でも限られた「クラブ」の一員であり、その1票は極めて重いものです。
今回の会長選は、「近代IOC史で最もオープンな選挙」と評され、特定の候補に序盤から支持が集中するこれまでのパターンとは異なる展開になっています。サマランチ氏が呼びかけたように、委員一人ひとりが圧力や思惑を離れ、自らの価値観にもとづいて票を投じられるかどうかが、選挙の質を左右しそうです。
6月23日に新会長が就任へ
今回選ばれる新たなIOC会長は、バッハIOC会長の任期が規定の最長である12年に達する6月23日に正式に就任する予定です。この日に、IOCのトップが交代します。
スポーツのリーダー選びから何を考えるか
IOC会長選挙は、一見するとスポーツ界の内部政治に見えますが、その影響は私たちの暮らしにも間接的に及びます。五輪の開催地選び、競技種目の追加や削減、アスリートの権利やジェンダー平等の推進など、多くの重要な決定がIOC会長のリーダーシップのもとで進められるからです。
- 実績と「変化」のどちらをより重視するのか
- 多様性をどう確保しつつ、アイデンティティ政治から距離を取るのか
- 閉じた「クラブ」とも言われるIOCが、どこまで透明性を高められるのか
サマランチ氏、コベントリー氏、コー氏という三者三様の候補者像は、スポーツ組織のガバナンスのあり方について、私たちにさまざまな問いを投げかけています。次のIOC会長が誰になるのかはもちろん、その選ばれ方自体も、これからの五輪と国際スポーツの方向性を占う試金石となりそうです。
Reference(s):
IOC VP Samaranch downplays being favorite to win presidential bid
cgtn.com








