IOC初の女性・アフリカ出身会長にコヴェントリー 130年の歴史を変える選出
国際オリンピック委員会(IOC)で、創設130年の歴史を塗り替えるトップ人事が決まりました。ジンバブエ出身の元競泳スター、キルスティ・コヴェントリーが、初の女性かつアフリカ出身のIOC会長に選出されました。
世界のスポーツ界で最も影響力のあるポストの一つとされるIOC会長に、女性とアフリカ出身者が初めて選ばれたことは、2025年の国際ニュースの中でも象徴的な出来事と言えます。
IOCに初の女性・アフリカ出身会長が誕生
現地時間の木曜日、ギリシャ南西部ペロポネソス半島の海辺のリゾートで開かれたIOC総会で、キルスティ・コヴェントリーが会長に選出されました。創設からおよそ130年となるIOCの歴史の中で、女性がトップに就くのは初めてであり、アフリカ出身者としても初の快挙です。
ジンバブエの競泳界を代表する存在として知られるコヴェントリーは、長年オリンピックの舞台で活躍してきました。現在はジンバブエのスポーツ相も務めており、競技経験と政治・行政の両方を知るリーダーとして国際スポーツ界で存在感を高めてきました。
一回目の投票で過半数、圧勝の選挙結果
今回の国際ニュースでも注目されたのは、その圧倒的な勝ち方です。コヴェントリーは、トーマス・バッハ現会長の後任を選ぶ無記名投票で、わずか1回目の投票で当選に必要な過半数を獲得しました。
- キルスティ・コヴェントリー:49票(全97票中)
- フアン・アントニオ・サマランチ・ジュニア(IOC副会長):28票
- セバスチャン・コー(ワールドアスレティクス会長):8票
- 残る数票:フランスのデビッド・ラパルティアン氏、ヨルダンのフェイサル・アル・フセイン王子、スウェーデン生まれの英国籍ヨハン・エリアシュ氏、日本の渡辺守成氏らに分散
有力候補と見られていたセバスチャン・コーが8票にとどまった一方で、コヴェントリーは即座に過半数に達し、「大本命」としての支持の広さを印象づけました。
コヴェントリーが語る「強いシグナル」
当選後、コヴェントリーは満面の笑みを浮かべながら、今回の結果を次のように受け止めました。
「本当に強いシグナルだと思います。私たちが真にグローバルで、多様性に開かれた組織へと進化していることを示しています。これからもその方向に進み続けます」と述べ、IOCが世界中の声をより幅広く取り込んでいく決意を示しました。
さらに「これは大きな名誉であると同時に、皆さん一人ひとりへの約束の再確認でもあります。私は誇りを持ってこの組織を率い、皆さんに誇りと安心感を持ってもらえるよう全力を尽くします」と、IOCメンバーに向けて感謝の言葉を伝えました。
バッハ会長からの引き継ぎと「全候補のアイデア」を束ねる役割
コヴェントリーは今後数カ月かけてトーマス・バッハ会長と引き継ぎ作業を行う予定だとした上で、「他の候補者たちとも必ず向き合いたい」と強調しました。
「バッハ会長とじっくり話し合いながら引き継ぎを進めます。同時に、この半年間の選挙戦で出てきた多くの良いアイデアや議論を、全ての候補者と一緒に整理したいと考えています」と述べ、選挙が「勝者総取り」ではなく、「アイデアを持ち寄るプロセス」だったことを示しました。
また、「IOCとオリンピック・ムーブメント、そして『オリンピック・ファミリー』全体を見渡しながら、これからどう前に進んでいくのかを決めたい。就任後最初の半年間で何に集中するのか、私自身の考えもありますが、メンバーの声を聞きながら、一緒に進みたい」と語り、対話重視の姿勢を打ち出しています。
なぜこの人事が「2025年の分岐点」なのか
今回の会長選出は、国際ニュースとしてだけでなく、スポーツと社会の関係を考える上でも大きな意味を持ちます。特に次の3つの点で象徴的だといえます。
- ジェンダー平等の加速:長く男性中心だったスポーツガバナンスの世界で、IOCトップに女性が就くことは、各国競技団体や大会運営にも影響を与える可能性があります。
- グローバル・サウスの存在感:アフリカ出身のリーダーが世界スポーツの頂点に立つことで、これまで十分に反映されてこなかった地域の声や課題が、議論の中心に近づくことが期待されます。
- 多様性と包摂のメッセージ:コヴェントリー自身が「多様性に開かれた組織への進化」と繰り返し語っているように、IOCがどこまで開かれた組織へ変わるのかは、今後のオリンピックの信頼性にも直結します。
日本とアジアにとっての意味は
今回の選挙には、日本の渡辺守成氏も名を連ねました。票数としては限られたものにとどまったものの、日本やアジアの関係者がIOCの最高意思決定プロセスに深く関わっていることをあらためて印象づけました。
今後、アジアでのオリンピック招致や、若い世代に向けたスポーツの普及、デジタル観戦体験の強化などをめぐり、新会長体制の下でどのような議論が進むのかは、日本のスポーツ界やビジネス界にとっても重要なテーマとなりそうです。
読み手への問いかけ:オリンピックの「これから」をどう見るか
東京大会などを経験し、オリンピックのあり方自体が世界中で問われ続けています。大会の規模や費用負担、環境への配慮、eスポーツとの関係など、テーマは多岐にわたります。
その舵取りを担うIOC会長が代わる今、「どんなオリンピックなら応援したいのか」「スポーツにどんな役割を期待するのか」を考え直すタイミングに来ているのかもしれません。
コヴェントリー新会長が掲げる「対話」と「多様性」が、これからのオリンピック・ムーブメントをどう変えていくのか。ニュースを追いながら、自分なりの視点もアップデートしていきたいところです。
Reference(s):
Kirsty Coventry elected as first woman and first African IOC President
cgtn.com








