世界スヌーカー選手権:レイ・ペイファンが王者ウィルソン撃破、劇的10−9
世界スヌーカー選手権の開幕戦で、大会連覇を狙ったディフェンディングチャンピオンのカイレン・ウィルソンが、中国のデビュー選手レイ・ペイファンに10−9で敗れる番狂わせが起きました。聖地クルーシブル・シアター(英国シェフィールド)で生まれた劇的決着は、2025年の国際スポーツニュースの中でも語り継がれそうな一戦です。
6−3リードから一転、10−9の大逆転劇
世界ランキング2位のウィルソンは、33歳のベテラン。オープニングマッチとなったこの1回戦で、午前のセッションを終えた時点では6−3とリードし、順当に勝ち上がるかに見えました。
ところが、夜のセッション開始直後から流れが一変します。21歳のレイ・ペイファンは、予選上がりとは思えない集中力で6フレーム連取。スコアは一気に9−6と逆転し、王者を追い込む展開になりました。
土壇場で意地を見せたのはウィルソンです。世界トップの意地をかけて3フレームを連取し、9−9のイーブン。勝負は最終第19フレームの「ディサイダー(決勝フレーム)」にもつれ込みました。
最後に笑ったのはレイでした。決定的なブレークを組み立て、80−14でこのフレームを制して10−9。クルーシブル・デビュー戦で、いきなりディフェンディングチャンピオンを退ける大金星です。
レイ・ペイファンとは?21歳の新星が歩んできた道
レイ・ペイファンは現在21歳で、世界ランキングは39位。まだトップ選手の中では「新顔」ですが、着実に存在感を高めてきました。
昨年のスコティッシュ・オープンで初タイトル
レイは昨年12月のスコティッシュ・オープンで自身初のランキングタイトル(世界ランキングに反映される主要大会の優勝)を獲得しています。
本人は試合後、クルーシブルでの勝利について、スコティッシュ・オープン制覇と並ぶ特別な瞬間だと振り返り、プロとしてのキャリアが大きく動き始めていることを強く実感している様子でした。
クルーシブル・デビュー戦で見せた「メンタルの強さ」
スヌーカーはミスが目立ちやすい競技で、特に世界選手権の舞台は独特のプレッシャーがあります。その中で、6−9と追い込まれた王者ではなく、初出場の若手が冷静さを保ち、最後のフレームまで落ち着いたショットを続けたことは注目に値します。
集中力の維持、スコアに動じないメンタル、丁寧なセーフティショット(守備的な配置)など、レイのプレーは21歳とは思えない成熟ぶりを感じさせました。
敗れたウィルソンの視点:長いシーズンの成果と悔しさ
敗れたカイレン・ウィルソンにとって、この結果は受け入れがたいものでした。本人も試合後、ショックの大きさを認めています。
一方で、今シーズンを通じて積み重ねてきた結果や、自身のパフォーマンス全体については誇りを持っているとも語りました。1シーズンを通して世界トップレベルを維持し続けることの難しさと、その中でつかんできた成果を冷静に評価していると言えます。
スポーツは、どれだけ実績を積んだ選手でも、一試合で予想外の結果になることがあります。今回の敗戦は苦いものですが、ウィルソンが次にどう立て直してくるのかにも注目が集まりそうです。
レイの次戦:趙心童かジャック・ジョーンズか
今回の勝利により、レイ・ペイファンは次戦で、中国の趙心童とウェールズのジャック・ジョーンズの勝者と対戦します。
趙心童は攻撃的なスタイルで知られる人気選手で、ブレークビルディング(連続得点)に長けています。一方、ジャック・ジョーンズは粘り強い試合運びが持ち味の選手です。どちらが勝ち上がってきても、レイにとっては新たな試練であり、今回の勢いを持続できるかが問われます。
日本の読者にとってのポイント:スヌーカーで見る「新旧交代」とメンタル
日本では、スヌーカーはまだそれほどメジャーな競技ではありませんが、「世界で今起きていること」を知るという意味で、今回のニュースは複数の視点から興味深い要素を持っています。
1. 新旧交代の一場面として
タイトルホルダーであるベテランと、ランキング30位台の若手。数字だけを見れば、結果は逆だったとしても不思議ではありません。それでも、実際に王者が初出場の若手に土壇場で競り負けるとき、そこには競技の世代交代の空気が漂います。
サッカーやテニス、卓球など、他の競技でも見られる「若手台頭」の流れが、スヌーカーでも進んでいることを示す一例とも言えます。
2. メンタルスポーツとしての面白さ
スヌーカーは、
- 1球のミスがフレーム全体を左右する
- 試合時間が長く、集中力の維持が難しい
- 攻めと守り(セーフティ)のバランスが重要
といった特徴を持つ、極めてメンタル要素の強いスポーツです。
今回の試合は、
- 大きくリードしていた側が追い上げられるプレッシャー
- 追う立場だった若手がリードに転じた後の心の揺れ
- 最終フレーム一本にすべてがかかる状況での決断力
といった、人間の心理がそのままスコアに現れたような展開でした。ビジネスや勉強、受験など、プレッシャーの中で力を出す場面が多い現代の生活にも通じる部分があるかもしれません。
これから世界スヌーカーを見るための小さなヒント
今回のニュースをきっかけに、世界スヌーカー選手権や国際大会を少し追いかけてみたいという方に向けて、観戦のポイントを簡単に整理します。
- スコアだけでなく、選手の表情や仕草、息づかいにも注目してみる
- 1フレームごとの流れの変化(攻めるか、守るか)を意識して見る
- 若手とベテランで、プレースタイルや間の取り方がどう違うか比べてみる
ハイライト映像だけでも、今回のような逆転劇の「空気感」は十分に伝わってきます。スヌーカーは静かなスポーツですが、そこに潜むドラマは非常に濃密です。
おわりに:静かなテーブルから聞こえる、世界の変化
レイ・ペイファンによるカイレン・ウィルソン撃破は、単なる一試合の番狂わせにとどまらず、若手の台頭、メンタルの強さ、そして国際スポーツの多様化を象徴する出来事でもあります。
日本語で世界の動きを知りたい読者にとって、サッカーや野球だけでなく、こうした「静かな競技」のニュースも、世界の今を映す一枚の鏡として楽しめるのではないでしょうか。
Reference(s):
Lei Peifan knocks out Kyren Wilson at World Snooker Championship
cgtn.com








