2025年タクラマカン・ラリー 最終盤を支えるクルーたちの素顔 video poster
中国・新疆ウイグル自治区で開催中の2025年タクラマカン・ラリーは、マクティ県での最終休息日を経て決戦ステージへ向かっています。砂漠の過酷な環境で限界に挑むのはドライバーだけではありません。マシンとデータを操るクルーたちの働きが、勝負を左右する鍵になっています。
タクラマカン・ラリー2025、決戦前夜の舞台裏
今年のタクラマカン・ラリーは、中国・新疆ウイグル自治区カシュガル地区マクティ県を舞台に、最後のスプリントステージへ突入しようとしています。広大な砂丘地帯を走り抜ける長距離ラリーは、マシンにも人間にも極限の負荷をかける「耐久レース」です。
スポーツ番組「Sports Scene」の袁蕊(Yuan Rui)氏は、最終盤を前に各チームのキーマンたちにインタビューし、ドライバーとクルーがどのように連携し、この難関ラリーに挑んでいるのかを聞きました。
家族で挑むブギーラ・レーシング マルティン・コロツの視点
チェコ出身で欧州トラックレース選手権を2度制したマルティン・コロツ氏は、ブギーラ・レーシングの代表として、そして今大会がラリーデビューとなる娘アリヤ・コロツ選手のテクニカルアドバイザーとして、二重の役割を担っています。
コロツ氏は、自身の役割を次のように語ります。「チームのオーナーとして技術面を担当し、アリヤのためにマシンをテストし、最終的な責任を負っています。専任のスタッフはいますが、最終責任は私にあります」。
さらに印象的なのは、その「家族チーム」ぶりです。アリヤ選手の双子の姉妹がパフォーマンスエンジニアを務めており、コロツ氏は「私たちは家族のように動いています。娘のドライビングスタイルを理解しているので、それに合わせてマシンのセットアップを細かく調整できます。彼女は毎日成長しており、私たちも一緒に前進しています」と語ります。
ドライバーの感覚と父親の経験、そして姉妹によるデータ分析。この三つが結びつくことで、一台のラリーマシンが「家族プロジェクト」として完成していく様子が見えてきます。
データで勝負を支えるエンジニアたち
タクラマカン・ラリーのような長距離競技では、ドライバーの技量だけでなく、膨大な走行データをどう読み解くかも勝敗を左右します。シャーンシー允翔クラブと烏海スピードラッシュクラブで働く2人のエンジニアは、その最前線に立っています。
コンナー・ジョーンズ:走行データを「武器」に変える
シャーンシー允翔クラブのエンジニア、コンナー・ジョーンズ氏の任務は、ステージごとにマシンの挙動を細かく解析し、次の区間に向けた最適な調整を行うことです。
ジョーンズ氏は「私の役割は、各ステージ後にデータを分析し、マシンが常にベストパフォーマンスを発揮できるようにすることです」と説明します。その上で、ドライバーの劉彦貴選手について「彼はマシンのポテンシャルを最大限に引き出す優れたドライバーです。クルマの状態はとても良く、彼はまさに限界まで攻めてくれています。それこそが私たちの狙いです」と高く評価します。
ドライバーが「限界まで攻められる」背景には、エンジニアによる綿密なチェックと調整があります。マシンを信じられるからこそ、ドライバーは砂丘の向こう側に迷いなく踏み込めるのです。
イアン・デイビーズ:2024年と2025年をつなぐ「比較データ」の強み
烏海スピードラッシュクラブのエンジニアリングディレクターを務めるイアン・デイビーズ氏は、タクラマカン・ラリー参戦2年目。昨年の経験とデータを武器に、2025年大会に臨んでいます。
「エンジニアリングディレクター兼レースエンジニアとして、私はパフォーマンスの最適化に重きを置いています」とデイビーズ氏。「複数のマシンとドライバーがいることで、データを相互に参照し、理想的なセットアップを作り上げることができます。同じ場所に戻ってきたことで、2024年と2025年のデータを比較できるようになり、非常に有益でした」と話します。
同じ区間を走った前年とのデータ比較は、路面の変化やセッティングの違いを浮かび上がらせます。数字の裏側にある小さな差を見逃さないことが、過酷なラリーでの信頼性と速さにつながっているといえます。
ドライバーとクルーが共に挑む「究極の耐久テスト」
ラリーが広大な砂丘地帯での最終スプリントステージに入るなか、表舞台に立つのはドライバーですが、その背後にはマシンとデータに向き合う多くのクルーがいます。
- ドライバーの感覚を理解し、セットアップに反映させる家族チーム
- ステージごとの走行データから、次の一手を導き出すエンジニア
- 複数年・複数台のデータを比較し、理想に近づけていく技術スタッフ
こうした「影の主役」たちの積み重ねがあってこそ、ドライバーはマシンを信じて全開で走ることができます。2025年タクラマカン・ラリーは、砂漠のレースであると同時に、チームワークと技術、そして家族の物語でもあります。
画面越しにレースを追う私たちにとっても、「誰が運転しているか」だけでなく、「誰がその走りを支えているのか」に目を向けることで、モータースポーツの見え方が少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








