鄭欽文が全仏オープン準々決勝進出 オリンピック女王が見せる「今」に集中する強さ
オリンピック女王・鄭欽文が全仏オープン準々決勝へ
テニスの四大大会の一つ、全仏オープン(ローラン・ギャロス)で、中国の第8シード、鄭欽文(ジェン・チンウェン)が女子シングルス準々決勝進出を決めました。相手は第19シードのリュドミラ・サムソノワ(ロシア)。3セットにもつれ込む接戦を制し、スコアは7-6(5)、1-6、6-3でした。
昨夏、同じローラン・ギャロスの会場で開催されたオリンピックで金メダルを獲得した鄭は、これでこの会場での連勝を10に伸ばしています。一方で本人は「ディフェンディング・チャンピオン」という意識をあえて持たず、「今この瞬間」に集中する姿勢を強調しました。
鄭は次戦で世界ランキング1位のアリーナ・サバレンカと対戦します。初のグランドスラム制覇に向け、大きな山場を迎えます。
3セットの激闘 タイブレークから立て直し
日曜日の試合は、スコアが示す通り、簡単には流れをつかめない内容でした。
- 第1セット:タイブレークにもつれ込み、7-6(5)で鄭が先取。
- 第2セット:1-6と大きく落とし、主導権をサムソノワに渡します。
- 第3セット:6-3で取り返し、勝負所で集中力を高めた鄭が試合を締めくくりました。
第2セットを大差で落としたあとに、最終セットで立て直せるかどうかは、トップ選手でも難しい場面です。それでも鄭は、ショックを引きずらずに気持ちを切り替え、勝利を手にしました。ここには、昨夏のオリンピックを含む大舞台での経験が確かに生きているように見えます。
ローラン・ギャロスで10連勝 それでも「守るタイトル」はない
鄭は、この勝利でローラン・ギャロスでの連勝を10に伸ばしました。昨夏のオリンピックで金メダルを獲得してから、同じクレーコート(赤土コート)の会場で負け知らずということになります。
しかし本人は、数字や肩書にとらわれすぎないよう、自分を意識的にコントロールしているようです。鄭は、オリンピックの金メダルと今回の全仏オープンをこう切り分けています。
グランドスラムでは7試合に勝たなければ優勝できません。一方、オリンピックでは金メダルまで6試合です。この違いに触れながら、鄭は「自分を『ディフェンディング・チャンピオン』とは考えていない」と語っています。
彼女の言葉を要約すると、次のようになります。
- オリンピックとグランドスラムは大会の構造も意味合いも違う。
- たとえ準々決勝にいても、道のりはまだ長いと感じている。
- 「昨年何があったか」を意識するより、「今この瞬間に戦うこと」に集中したい。
過去の実績や周囲の期待より、目の前の1試合、1ポイントにフォーカスする。この姿勢は、若いトップ選手らしい、バランスのとれたメンタルの持ち方と言えそうです。
「昨年のことは忘れて、今のローラン・ギャロスで戦う」
鄭は試合後、「昨年のことは忘れて、このローラン・ギャロスでの今この瞬間だけに集中したい」といった趣旨のコメントをしています。
ここで印象的なのは、オリンピック金メダルという大きな肩書を、自ら「下ろそう」としている点です。
- 金メダルの実績を、次の大会での「義務」や「重圧」にしない。
- グランドスラムはオリンピックとは別物と整理することで、自分のペースを保つ。
- 「守るタイトル」ではなく、「新しく取りにいくタイトル」と考える。
多くのトップ選手が「過去の栄光」に縛られて苦しむ中で、鄭は比較的早いキャリアの段階から、結果との距離の取り方を学んでいるように見えます。
次戦は世界1位サバレンカ 初グランドスラム制覇への最大の壁
鄭の準々決勝の相手は、世界ランキング1位のアリーナ・サバレンカです。サバレンカは、アマンダ・アニシモワを下してベスト8に進出しており、今回の全仏オープンでも優勝候補の一人と見られています。
ランキング1位との対戦は、鄭にとって大きな挑戦であり、同時に自分の現在地を測る絶好の機会にもなります。
このカードで注目したいポイントは、例えば次のような点です。
- メンタルの安定:第2セットで崩れても立て直したように、試合中のアップダウンをどうコントロールできるか。
- 連戦の中でのコンディション:グランドスラム7試合という長い道のりの中で、どこまで集中を保てるか。
- ビッグマッチでの経験値:オリンピック金メダルという経験が、「世界1位との対戦」でどう生きるか。
勝てば、初のグランドスラム制覇に向けて一気に現実味が増してきます。一方で、たとえ敗れても、世界1位相手にどんなプレーを見せるかは、今後を占う重要な材料になりそうです。
「読みやすいのに考えさせられる」視点:結果よりもプロセスに光を当てる
今回の鄭のコメントからは、トップアスリートとしての「結果へのこだわり」と同時に、「結果から距離を取る冷静さ」も見えてきます。
- オリンピック金メダルという過去の成功を引きずらない。
- 「ディフェンディング」という言葉より、「チャレンジする立場」であり続ける。
- プレッシャーを力に変えるために、「今ここ」に意識を集中させる。
これは、スポーツに限らず、日々の仕事や学びにも通じる考え方です。過去の成功や失敗にとらわれすぎず、次の一歩に集中する。そのシンプルさを、高いレベルのスポーツの現場で体現しているのが、いまの鄭欽文と言えるかもしれません。
全仏オープンという大舞台で、オリンピック女王がどこまで勝ち進むのか。世界1位サバレンカとの一戦は、テニスファンだけでなく、メンタルやマインドセットに関心のある人にとっても、注目に値する試合になりそうです。
Reference(s):
Olympic champion Zheng Qinwen battles into French Open quarterfinals
cgtn.com








