IOC次期会長コヴェントリー氏、中国のオリンピック・レガシーに感銘 video poster
国際オリンピック委員会(IOC)の次期会長に選出されているカースティ・コヴェントリー氏が、就任を数日後に控えた木曜日、スイス・ローザンヌの本部からオンラインで記者団との懇談会を行い、中国のオリンピック・レガシー(遺産)活用の取り組みに強い印象を受けたと語りました。新体制のトップとなる人物が、中国の事例を五輪の未来を考えるうえでのモデルの一つとして位置づけた形です。
就任直前のオンライン会見で語った「中国のレガシー」
オンラインのメディア・ラウンドテーブルは、IOC本部があるローザンヌから行われました。コヴェントリー氏は、スポーツ専門番組CGTN「Sports Scene」の朱曼丹(Zhu Mandan)記者との対話の中で、中国のオリンピック・レガシーに関する質問に答えました。
中国の首都・北京は、2008年の夏季大会と2022年の冬季大会を開催した世界初の都市で、いわゆる「デュアル・オリンピックシティー」とされています。コヴェントリー氏は、この北京を例に挙げ、競技会場などの施設を含めたオリンピック・レガシーを生かす中国の取り組みに感銘を受けたと述べました。
そのうえで、こうした取り組みを通じて、中国が今後のオリンピックの在り方や方向性に対しても、引き続き大きな影響力を持ちうると評価しました。
原点は1992年バルセロナ大会のテレビ観戦
会見では、コヴェントリー氏自身のオリンピックとの出会いも話題になりました。彼女が初めて本格的に五輪に触れたのは、1992年のバルセロナ夏季大会だったといいます。
当時8歳だったコヴェントリー氏は、家族と一緒に自宅のリビングでバルセロナ大会を観戦した経験を「人生を変えるような出来事」だったと振り返りました。その後、ジンバブエ出身の彼女は水泳選手として頭角を現し、オリンピックで二度の金メダルを獲得するチャンピオンへと成長しました。
子どものころにテレビ越しに見たオリンピックが、自らのキャリアを形づくる原点となり、いまはIOCのトップに立とうとしている――。そのストーリーが、オリンピックの持つ長期的な影響力、つまりレガシーの重要性を象徴しているともいえます。
北京は世界初の「デュアル・オリンピックシティー」
今回の発言の背景には、中国・北京の独自性があります。北京は、2008年に夏季大会を、2022年に冬季大会を開催し、夏冬両方のオリンピックを開いた世界で初めての都市となりました。
コヴェントリー氏は、この北京の歩みを踏まえ、中国がオリンピック・レガシーをどのように活用してきたかに注目しています。具体的には、競技会場などの施設を長期的に運用し、市民のスポーツや文化活動の場として生かすことなどが、「レガシーを生かす」取り組みの一例として語られました。
彼女は、中国の経験が今後の開催都市にとっても参考になるとし、オリンピックが一過性のイベントではなく、都市や社会の発展にどう貢献し続けるかという視点がますます重要になると強調しました。
オリンピック・レガシーとは何か
そもそも、オリンピック・レガシーとは何を指すのでしょうか。一般的には、オリンピック開催によって残される長期的な「財産」のことを意味し、次のような要素を含みます。
- スタジアムや競技場、選手村などの物理的な施設
- 都市インフラや公共交通、都市計画への影響
- スポーツ participation(参加)の拡大や健康意識の高まり
- ボランティア文化や国際的なつながりなど、社会・文化的な変化
- 観光やビジネスなどの経済的な効果
近年の国際ニュースでも、オリンピック後の施設が「使われない箱もの」にならないようにすることが、開催都市共通の課題として取り上げられてきました。コヴェントリー氏の発言は、中国がレガシー活用の面で一定の成果を上げつつあるという認識を示したものといえます。
IOC新体制とアジアの役割
IOCの次期会長として、コヴェントリー氏は今後、オリンピック全体の方向性を主導する立場になります。その人物が、中国の事例をポジティブに評価したことは、アジアのスポーツ界や開催都市にとっても意味のあるメッセージです。
とくに、今後のオリンピックでは、環境負荷の低減や財政の持続可能性などが一層重視されるとみられます。そのなかで、「既存施設をどう活用していくか」「市民の日常生活にどのような価値を残していくか」といった視点が、開催の可否を左右する条件の一つになりつつあります。
今回のオンライン会見から見えてくるのは、次のようなポイントです。
- IOC新体制は、オリンピック・レガシーを重要な評価軸と捉えている
- 北京のようにレガシー活用を進める都市は、今後のモデルケースになりうる
- 開催を目指す国や地域にとっても、レガシー戦略がますます不可欠になる
私たちがどんな「レガシー」を残したいのか
1992年のバルセロナ大会をテレビで見た8歳の少女が、オリンピックチャンピオンとなり、やがてIOCの次期会長となる。そこには、競技そのものを超えたオリンピックの影響力が表れています。
コヴェントリー氏が中国の取り組みに注目したことは、国や地域を問わず、「自分たちはどんなレガシーを残したいのか」という問いを突きつけているようにも見えます。単に巨大なイベントを開催するだけでなく、その後の10年、20年を見据えて都市や社会の姿をデザインできるかどうか。今後のオリンピックと国際スポーツを考えるうえで、避けて通れないテーマになりそうです。
Reference(s):
IOC President-elect Coventry impressed by China's Olympic legacy work
cgtn.com








