IOC新会長にコヴェントリー氏就任 初の女性・アフリカ出身トップが示す転換点
2025年12月現在、国際オリンピック委員会(IOC)ではトップが交代し、新たなリーダーシップ体制がスタートしています。ジンバブエ出身の元競泳選手、キルスティ・コヴェントリー氏が新たなIOC会長に就任し、130年に及ぶIOCの歴史で初めての女性、かつアフリカ出身のリーダーとなりました。
IOC初の女性・アフリカ出身会長が誕生
コヴェントリー氏は、月曜日にIOC会長として正式に職務を開始し、8年の任期に入りました。世界的なスポーツ組織であるIOCのトップに、女性、そしてアフリカ出身者が就くのは初めてであり、オリンピック・ムーブメントにとって象徴的な節目といえます。
1983年にジンバブエの首都ハラレで生まれた同氏は、競泳選手として世界の舞台で活躍してきました。五輪では、2004年アテネ大会と2008年北京大会の女子200メートル背泳ぎで金メダルを獲得。通算5大会で7個のメダルを手にし、ジンバブエを代表するスターアスリートとして名を残しています。
アスリートからスポーツ行政へ、二つのキャリア
2016年に現役を退いたコヴェントリー氏は、その後、スポーツ界と政治の両方で存在感を高めてきました。2019年からはジンバブエでスポーツ・レクリエーション・芸術・文化担当相を務め、国家レベルでスポーツ政策や文化政策に関わってきました。
IOC内部でも、同氏は早くから意思決定の場に加わってきました。
- 2012年:IOCアスリート委員に選出
- 2023年:IOC理事会(エグゼクティブ・ボード)メンバーに就任
- ダカール2026ユース五輪とブリスベン2032五輪の調整委員会委員長を務める
競技者としての経験と、政府での実務経験、さらにIOC内部での調整役という三つの視点を持つことが、新会長としての強みになりそうです。
バッハ時代の12年に幕 五輪改革のレガシー
今回の就任に伴い、2013年からIOCを率いてきたトーマス・バッハ氏は12年の任期を終え、会長職を退きました。バッハ氏も元オリンピアンであり、フェンシング選手としての競技経験を持つ人物です。
在任中には、オリンピック改革の方向性を示す「オリンピック・アジェンダ2020」や、開催地の負担軽減を目指した招致プロセスの見直し、開催都市への財政支援と自律性の強化など、幅広い改革を推し進めました。
12年間のリーダーシップが評価され、同氏にはIOCから終身名誉会長の肩書きが授与されています。トップが交代しても、バッハ氏の進めた改革とその影響は、今後もしばらくIOCに残り続けるとみられます。
なぜこの人事が注目されるのか
今回の会長交代が国際ニュースとして大きく取り上げられる背景には、次のようなポイントがあります。
- 女性として初、アフリカ出身として初という象徴性
- オリンピック金メダリスト、閣僚、IOC理事という多様な経歴
- ユース五輪と将来の夏季五輪で調整役を担ってきた実務経験
オリンピックは多様性やジェンダー平等を掲げてきましたが、その運営を担う側のトップが多様化することは、理念と実態を近づける一歩とも言えます。アフリカや世界各地の若いアスリートにとっても、「自分たちの代表が世界のスポーツを動かしている」というメッセージになりそうです。
これからの8年、IOCに突きつけられる課題
コヴェントリー新会長の8年の任期中、IOCとオリンピックにはさまざまな課題が続くと考えられます。
- 開催都市の負担を抑えつつ、大会の魅力と持続可能性をどう両立させるか
- 若い世代にとってのオリンピックの価値をどのように高めていくか
- デジタル配信やSNS時代にふさわしい大会の見せ方をどう設計するか
- 国際情勢が緊張する中で、スポーツと政治の距離感をどう保つか
こうしたテーマに、五輪金メダリストとしての体験と、政策立案の現場を知る視点をどう生かすのか。2025年に始まった新体制の動きは、今後の夏季・冬季オリンピックのあり方を左右する可能性があります。
読者にとってのポイント
国際スポーツのニュースは、私たちの日常からは少し遠く感じられるかもしれません。しかし、IOC会長の交代は次のような形で私たちの関心とつながってきます。
- これからのオリンピックが「どんな競技」「どんな形」で行われるのか
- 開催都市に立候補する国や都市が今後どう変わっていくのか
- スポーツを通じて、世界の政治や社会問題がどう映し出されるのか
スポーツのトップ人事は、単なる「人が入れ替わった」というニュースではなく、世界の動きと価値観の変化を映す鏡でもあります。新たなIOC会長の下で、オリンピックと国際スポーツがどのような方向に進むのか。これからの8年間を追いかけることで、私たち自身のものの見方も少しずつアップデートされていくかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








