IOC新会長コベントリー氏、若者とオリンピックをつなぐAI戦略と中国訪問 video poster
IOC新会長コベントリー氏、若者とオリンピックをつなぐ視点
国際オリンピック委員会(IOC)の新会長クリスティ・コベントリー氏が、就任直後のオンライン記者会見で、eスポーツやTikTok、AIアジェンダを活用しながら若い世代とオリンピック・ムーブメント(オリンピック運動)をつなぐ方針を語りました。あわせて、中国本土や香港特別行政区、マカオ特別行政区を訪問する計画にも触れています。
オンライン会見で示した「若い世代に寄り添う」姿勢
IOCは木曜日、オンライン形式で理事会後の記者会見を開きました。月曜日に会長に就任したばかりのコベントリー氏は、議題の説明とともに、自身が重視するテーマとして「若い世代とのエンゲージメント(関わり方)」を挙げました。
中国のメディアであるCGTNのスポーツ番組「Sports Scene」の朱曼丹記者の質問に答えるなかで、コベントリー氏は、いまの若い世代が魅力を感じている環境を理解することの重要性を強調しました。その例として、eスポーツやTikTokといったデジタル空間を挙げています。
さらに、姪とのやりとりを引き合いに出し、若い家族や友人とのメッセージを「暗号を解読するように理解しなければならない」と笑いを交えて語り、世代間の感覚のずれを自覚しながら歩み寄る姿勢を示しました。
キーワードは eスポーツ・TikTok・AIアジェンダ
コベントリー氏は、オリンピック・ムーブメントが若い世代とつながり続けるためには、新しい発想が欠かせないと強調しました。
- eスポーツなどの新しい競技・コンテンツ
- TikTokのようなショート動画プラットフォーム
- IOCが掲げるAIアジェンダ
同氏は「私たちは新しく、革新的な方法を見つけなければならない」と述べ、その具体的な柱のひとつとしてAIアジェンダに言及しました。AIアジェンダは昨年打ち出された取り組みで、若い世代との関わり方や、その姿を世界各地でどう具体化するかについて、多くのアイデアが盛り込まれていると説明しました。
また、世界のさまざまな地域でオリンピック・ムーブメントを広げていくうえで「普遍性(ユニバーサリティ)」が重要だと指摘し、誰に対しても届くメッセージや体験をつくる必要があると強調しました。デジタル技術やAIを活用することで、地域ごとの文化や言語に配慮しつつ、多様な若者にオリンピックの価値を伝えていくことを目指しているといえます。
中国本土・香港・マカオ訪問で現場の声も
コベントリー氏は、今後のスケジュールとして、中国本土を訪問する計画にも触れました。広東省、香港特別行政区(Hong Kong Special Administrative Region)、マカオ特別行政区(Macao Special Administrative Region)で開催される第15回全国運動会の期間中に、中国を訪れる予定だとしています。
第15回全国運動会は、中国本土と香港特別行政区、マカオ特別行政区が協力して行う大型の総合スポーツ大会であり、若いアスリートが多数参加する舞台でもあります。コベントリー氏の訪問は、アジアの現場の空気に触れながら、若い世代や地域の関係者と直接対話する機会になるとみられます。
IOCトップが実際に競技会場や地域を訪れることで、デジタル上だけでは見えにくい課題や、現場の創意工夫にふれることができ、今後のAIアジェンダや若者向け戦略にフィードバックされる可能性もあります。
日本のデジタル世代にとっての意味
今回の発言は、日本でオリンピックや国際スポーツを追いかける若い世代にとっても、いくつかの示唆を与えています。
- オリンピックの情報発信は、テレビやニュースだけでなく、ショート動画やSNSにさらに広がっていく可能性がある
- eスポーツやデジタルプラットフォームが、オリンピック・ムーブメントとの新たな接点になりうる
- AIの活用により、言語や地域を越えたコミュニケーションが一層重視される
日本のデジタルネイティブ世代にとって、オリンピックは「4年に一度テレビで見るもの」から、自分のスマートフォンやSNSを通じて日常的につながる存在へと変わっていくかもしれません。
IOCのトップ自らが、家族とのコミュニケーションの戸惑いを率直に語りつつ、若い世代の世界に歩み寄ろうとしていることは、組織としての姿勢の変化を象徴しているとも言えます。今後、AIアジェンダや中国本土・香港・マカオでの取り組みがどのような形で具体化し、日本のファンやアスリートにも届いていくのか。オリンピックと若者の距離がどう変わるのかを、引き続き注視していきたいところです。
Reference(s):
IOC President Coventry on how Olympic Movement can engage with youth
cgtn.com








