鄭欽文、クイーンズ準決勝でつかんだ自信 2025年ウィンブルドンへの手応え
2025年シーズンの女子テニスを振り返ると、芝コートで存在感を高めた選手の一人が中国の鄭欽文(ジェン・チンウェン)です。今季のクイーンズ・クラブ選手権での準決勝進出は、ウィンブルドンへ向けた自信を大きく押し上げる転機となりました。
ウィンブルドン第5シード、その裏にある課題
今年のテニスシーズン第3の四大大会となったウィンブルドン選手権では、鄭欽文は女子シングルス第5シードとして臨みました。現役のオリンピック金メダリストとして注目を集め、初戦では世界ランキング74位のカテリナ・シニアコバ(チェコ)と対戦する組み合わせでした。
一方で、ロンドンのオールイングランド・クラブでは、2022年以降ウィンブルドン本戦の1回戦を突破できていないという課題も抱えていました。ランキングや実績に見合った成績を芝コートで残せていないことは、本人にとってもチームにとっても大きなテーマだったといえます。
クイーンズ・クラブ準決勝が変えた芝コートへの感覚
その流れを変えるきっかけとなったのが、ウィンブルドン前に行われたクイーンズ・クラブ選手権です。鄭欽文はこの大会で、自身初となる芝コートのツアー大会準決勝に進出し、芝への苦手意識を和らげる手応えをつかみました。
記者会見で鄭欽文は、クイーンズでの経験について次のように振り返りました。
「クイーンズでの経験は本当に良いものでした。芝の大会で準決勝まで進んだのは初めてで、ここ数試合から多くを学ぶことができました。そこからウィンブルドンに入っていけたことは、これまでの年と比べて大きなアドバンテージになったと思います」
さらに、自身のコンディションについても「今は体の状態もより健康で、チームと一緒に良い準備ができました。今年はすべてがうまくいくことを願っています」と語り、肉体面とメンタル面の両方で手応えを感じていることを明かしています。
芝コートで求められる適応力
芝コートは、ハードコートやクレーコートに比べてボールが低く速く弾むため、フットワークやリターンの反応速度がよりシビアになります。強烈なサーブと攻撃的なストロークを持つ鄭欽文にとっても、芝への慣れは簡単ではありません。
クイーンズ・クラブでの複数試合を通じて、ボールの弾み方や滑り方を体で覚えられたことは、データやビデオ分析だけでは得られない貴重な財産となりました。鄭欽文自身が「多くを学んだ」と語る背景には、試合ごとの細かな修正と、芝コート特有のリズムをつかんだ実感があったとみられます。
ナダルを支えたロイグ氏と、新たなチャレンジ
鄭欽文は現在、スペイン人コーチのフランシスコ・ロイグの指導を受けています。ロイグ氏は、男子テニスで四大大会通算22勝を挙げたラファエル・ナダルを、2005年から2023年まで支えてきたことで知られる存在です。
長年トップ選手のキャリアを見てきたコーチの視点は、22歳の若いトッププレーヤーにとって大きな財産になります。芝コートでの戦い方や、グランドスラムを通して戦い抜くためのペース配分、シーズン全体を見据えたピークの作り方など、ロイグ氏から学べる要素は多岐にわたります。
鄭欽文も、ロイグ氏について自分のテニスに新しい要素を加えてくれると感じており、プレースタイルや戦術面での幅を広げる狙いがあります。攻撃的なショットに、ショートポイントやネットプレーなど多彩なオプションが加われば、芝コートでの勝ち筋も増えていくでしょう。
22歳の金メダリストが見せる成長のプロセス
オリンピックの金メダルを手にし、ウィンブルドンで第5シードに入るまでに成長した鄭欽文ですが、芝コートではまだ発展途上の部分も抱えています。その意味で、クイーンズ・クラブ準決勝進出と、そこで得た自信は、単なる一大会の結果以上の意味を持っていました。
トップアスリートが、苦手な条件にあえて挑み、試行錯誤を重ねながら適応していく姿は、スポーツの枠を超えて示唆に富んでいます。結果だけでなく、その過程に目を向けることで、私たち自身の仕事や学びにも通じるヒントが見えてきます。
芝コートでの経験値を積み、コーチとの新体制でプレーの幅を広げようとする鄭欽文が、今後の四大大会でどのような進化を見せていくのか。2026年シーズン以降の戦いぶりにも、引き続き注目が集まりそうです。
Reference(s):
Queen's Club experience boosts Zheng Qinwen's confidence for Wimbledon
cgtn.com








