成都ワールドゲームズ、史上最高の大会に 会長が語るその理由 video poster
2025年ワールドゲームズ成都大会が「史上最高の大会」と評価されています。 国際ワールドゲームズ協会(International World Games Association、IWGA)のホセ・ペルレナ会長が、中国の英語メディアCGTNのインタビューで、開催都市・成都を高く称賛しました。本記事では、その発言内容と背景をコンパクトに整理し、国際スポーツの流れを日本語でわかりやすく解説します。
ワールドゲームズとは? IOC公認だが非五輪の競技の祭典
ペルレナ会長によると、ワールドゲームズは、国際オリンピック委員会(IOC)に認められているものの、まだオリンピックの正式競技には採用されていない種目が集まる総合スポーツ大会です。いわば「ポスト五輪候補」の競技が、自らの魅力を世界にアピールする場になっています。
IOCが最終的な五輪採用を決める一方で、ワールドゲームズ側はより柔軟に競技プログラムを更新できます。若い世代の関心や世界的なスポーツトレンドに合わせて、ラインナップを素早く変えられるのが特徴です。
成都大会は「都市からの贈り物」 会長が見た中国の変化
ペルレナ会長は、2025年の成都大会を「贈り物のような開催」と表現し、四川省の省都・成都を「現代的で、清潔で、緑豊かな都市」と高く評価しました。中国の著しい発展を体現する都市の一つとして位置付けています。
会長自身、成都を訪れるのは今回で5回目。80歳となった今も、これまでの訪問の記憶、とくに若い世代のエネルギーと笑顔が鮮烈に残っていると振り返りました。
史上最高といわれる理由:組織力と大胆な開会式
ペルレナ会長が「史上最高のワールドゲームズ」とまで言い切る最大の要因は、成都の組織力です。とりわけ注目したのが、スタジアムの外で開会式を実施するという、従来の枠を超えた挑戦でした。
屋外での開会式は、観客の動線、安全対策、演出機材の設置など、多くの面で難易度が高くなります。当初は「大きな挑戦」に見えたといいますが、結果として「ワールドゲームズの歴史の中でも最もスペクタクルな開会式の一つ」になったと会長は語っています。
会長は、成都がこの経験を通じて「どのような大規模国際イベントでも開催できる能力を示した」として、その運営力を強く評価しました。
若い世代と伝統文化をつなぐ競技ラインナップ
2025年のワールドゲームズ成都大会は、「若者向けの新しいスポーツ」と「地域や文化に根ざした伝統的な種目」のバランスが取れている点も特徴です。
- スケートボードやクライミング、モータ―サーフィンなど、若い観客の関心を集める競技
- 武術(ウーシュー)やドラゴンボートなど、文化的な背景を持つ種目
ペルレナ会長は、とくにカヌー競技の一つであるドラゴンボートについて、「中国で非常に人気が高い」と指摘し、「大会の成功を象徴する競技の一つになる」と自信を見せました。
競技プログラムの更新にあたっては、データ分析会社と連携し、若者の興味や視聴行動などのトレンドを継続的に把握しているといいます。こうした仕組みによって、ワールドゲームズは「常に新しく、時代に合った大会」であり続けることを目指しています。
ジェンダー平等に一歩先行く大会:女性選手が男性を上回る
今回の成都大会のもう一つのポイントは、ジェンダー平等への明確なコミットメントです。4年前、組織委員会と成都側は「男女に平等な機会を保障する」という方針で合意していました。
その結果、今年の大会では女性選手の数が男性選手を上回り、女性が男性より15人多く出場する構成になっています。総合大会で女性出場者が多数派になるケースは今も多くはなく、実務レベルでジェンダーバランスを実現した例として注目できます。
子育てとトップ競技の両立を支える「ベビールーム」
成都大会ならではのユニークな取り組みとして、会長が強調したのが「ベビールーム(託児室)政策」です。乳児を抱える女性選手が子どもを大会に同伴できるようにし、専用の支援スペースやサポート体制を設けています。
この仕組みにより、選手は育児と競技の両立という難題を少しでも軽減できます。家族の事情から国際大会出場をあきらめざるを得なかったアスリートにとっては、大きな前進といえるでしょう。ペルレナ会長は、この政策が広く称賛されているとし、今後のスポーツイベントにとって一つのモデルになると示唆しました。
「一流と二流のアスリートはいない」 会長が託すレガシー
長年にわたりワールドゲームズを率いてきたペルレナ会長は、成都大会を節目として、会長職を退く決断を明らかにしました。「成都なら史上最高の大会になると分かっていたので、このタイミングでバトンを渡すことにした」と語っています。
自身の最大のレガシーとして、会長は次のような理念を挙げました。
- アスリートに「一流」と「二流」は存在せず、ただ「アスリート」がいるだけ
- すべての選手が、五輪と同じレベルの競技環境で戦えるべきである
- どの競技であっても、選手は自国を代表し、国の色を身にまとい、最高の舞台で力を出し切れる必要がある
オリンピック競技に採用されるかどうかにかかわらず、同じ水準の舞台と待遇を提供すること。それが、ペルレナ会長が未来のワールドゲームズに残したい「約束」だといえます。
日本から見る成都ワールドゲームズ:考えたい3つの視点
今回のインタビューは、日本の読者にとってもいくつかの示唆を含んでいます。
- 非五輪競技の可能性:スケート、クライミングなど、日本でも人気が高い種目が、ワールドゲームズを通じて国際舞台で存在感を高めています。
- ジェンダー平等と子育て支援:女性選手が多数派となり、ベビールーム政策を導入する大会運営は、日本のスポーツイベントにとっても一つの参考例になりそうです。
- 開催都市のブランド力:成都がクリーンでグリーンな都市として大会運営を成功させたことは、都市づくりとスポーツビジネスの関係を考えるうえでも重要です。
国際ニュースとしてのワールドゲームズ成都大会は、単なるスポーツイベントにとどまらず、「どのような競技や選手に光を当てるべきか」「都市はスポーツとどう付き合うべきか」という問いを、静かに私たちに投げかけています。
Reference(s):
World Games President: Chengdu hosting event's best edition ever
cgtn.com








