全米オープン女子シングルス初日、中国勢4人がそろって初戦敗退
全米オープン女子シングルス初日、中国勢に試練
全米オープンテニス女子シングルスの開幕日は、中国のテニスファンにとってほろ苦いスタートとなりました。大会初日に登場した中国の女子シングルス4選手、ワン・シーユー(Wang Xiyu)、ジャン・シュアイ(Zhang Shuai)、ワン・ヤファン(Wang Yafan)、ジュ・リン(Zhu Lin)が、いずれも1回戦で敗れたためです。
スコアだけを見ると「完敗」にも見えますが、試合内容にはそれぞれ違ったドラマと課題がありました。ここでは、今年の全米オープン女子シングルス初日に起きた中国勢の戦いを振り返り、その意味を整理してみます。
- ワン・シーユー:予選を勝ち抜くも、本戦初戦でストレート負け
- ジャン・シュアイ:第16シード相手にストレート負け
- ワン・ヤファン:マッチポイント3本を逃し、逆転で敗退
- ジュ・リン:フルセットの激闘の末に力尽きる
4人全員が初戦敗退、それぞれの試合内容
予選を勝ち上がったワン・シーユー、2年連続の悔しい初戦
もっとも悔しさが残ったのは、予選を勝ち抜いて本戦入りを果たしたワン・シーユーかもしれません。ラトビアの攻撃的なプレーヤー、イェレナ・オスタペンコ(Jelena Ostapenko)に6-4、6-3で敗れ、本戦初戦で姿を消しました。
ワンは予選での連戦を乗り越えてきただけに、本戦でのステップアップに期待がかかっていましたが、これでフラッシング・メドーズでは2年連続の初戦敗退となりました。この悔しさをどう来季につなげるかが、大きなテーマになりそうです。
ベテランのジャン・シュアイ、第16シードに力負け
もう一人の予選通過者であり、36歳のベテランでもあるジャン・シュアイは、スイスの第16シード、ベリンダ・ベンチッチ(Belinda Bencic)に6-3、6-3で敗れました。
経験豊富なジャンにとって、全米オープンは何度も戦ってきた舞台です。それでも、若く勢いのあるシード選手を相手に、長い期間トップレベルで戦い続けることの難しさがあらためて浮き彫りになった試合だったといえます。
ワン・ヤファン、5-3リードとマッチポイント3本からの惜敗
最も紙一重の勝負だったのが、ワン・ヤファンの試合でした。地元アメリカのエマ・ナバーロ(Emma Navarro)と対戦し、第1セットで5-3とリードしながら、そこから巻き返しを許します。
ワンは第1セットで3本のマッチポイントを握りながら取り切れず、タイブレークの末にこのセットを落とします。流れはそのままナバーロに傾き、最終的に7-6、6-3で敗退。ほんのわずかな差が勝敗を分けた、まさに「もったいない」内容でした。
ジュ・リンはフルセットの激闘、最後は体力勝負に
ロシアのアナスタシア・ポタポワ(Anastasia Potapova)と対戦したジュ・リンは、4-6、6-4、2-6というスコアでフルセットの末に敗れました。
第2セットを取り返し、勝負を最終セットまでもつれ込ませた粘りは光りましたが、最後は相手のショットの威力と安定感が上回る形に。スコアからも分かるように、長く激しいラリーが続くタフな試合となり、グランドスラムならではの体力勝負の厳しさが表れた一戦でした。
残るは2人、袁悦とワン・シンユーに託された期待
この4試合が終わった時点で、中国の女子シングルス勢で本戦に残っていたのは、袁悦(Yuan Yue)とワン・シンユー(Wang Xinyu)の2人だけとなりました。
当時の大会スケジュールでは、袁悦が月曜日のナイトセッションで、ワン・シンユーが火曜日に登場する予定でした。初日に4人が敗れたことで、両選手にかかる期待とプレッシャーは一気に高まり、中国のファンの視線も自然とこの2人に集まることになりました。
グランドスラムは「シーズン最後の大舞台」とも呼ばれます。ここで結果を残せば、ランキングだけでなく、自信や来季への勢いにも大きく影響します。初日の悔しい流れを断ち切り、どこまで勝ち進めるかが注目される状況でした。
なぜグランドスラム初戦の壁は厚いのか
今回のように、実力のある選手がそろって初戦で敗れるケースは、テニスでは決して珍しくありません。特にグランドスラムの1回戦には、いくつかの独特な難しさがあります。
- 大会特有のプレッシャー:グランドスラムはポイントや賞金、注目度が他の大会とは桁違いで、選手の精神的負担も大きくなります。
- 予選から本戦への切り替え:予選を戦ってきた選手にとって、本戦の雰囲気や相手のレベルに、短期間で順応する必要があります。
- コートコンディションへの適応:フラッシング・メドーズ特有のハードコートの速さや気候への対応には、時間がかかることもあります。
- ランキング差のある対戦:シード選手や地元選手との対戦では、序盤から相手が完成度の高いテニスをしてくることが多く、一瞬の隙が命取りになります。
ワン・ヤファンのようにマッチポイントを握りながら逆転を許した例は、「技術」だけではなく、「メンタル」と「経験」が勝敗を左右することを端的に示しています。単なる勝ち負けではなく、その裏側にある要因まで見ることで、中国女子テニスの現在地も少し違って見えてきます。
中国女子テニスのこれからに何を期待するか
数字だけを見ると、「4人全員が初戦敗退」という結果は厳しく映ります。ただし、内容に目を向けると、予選を勝ち抜いた選手の健闘や、シード選手相手の挑戦、マッチポイントまで迫る接戦、フルセットの激闘など、それぞれの試合に次につながる要素も見て取れます。
今後、中国女子テニスにとって重要になるのは、次のようなポイントだと考えられます。
- グランドスラムの舞台で、接戦を勝ち切るためのメンタル面の強化
- 予選から本戦までを見据えたシーズン全体の計画づくり
- ベテランと若手がうまく刺激し合える世代間のバランス
全米オープンの初日は、中国女子勢にとって確かに「試練の一日」でした。しかし、シーズンを長い目で見れば、こうした苦い経験も次のステップにつながる材料になっていきます。
グローバル化が進むテニス界で、中国の女子選手たちがどのように自分たちのスタイルを磨き、世界のトップレベルに食い込んでいくのか。今回の全米オープンの結果は、その過程の一場面として、これからの歩みを考えるきっかけを与えてくれています。
来季のグランドスラムの舞台で、今回の悔しさを糧にしたプレーが見られるのか。中国女子テニスの次の挑戦に注目していきたいところです。
Reference(s):
Heartbreak for China as four women's singles players exit US Open
cgtn.com








