世界陸上東京でデュプランティスが世界記録更新 棒高跳びで6メートル30
世界陸上東京でデュプランティスが再び世界記録
2025年の世界陸上競技選手権(東京)の男子棒高跳びで、スウェーデンのアーマンド・デュプランティス選手が6メートル30を跳び、自身の世界記録を更新しました。世界記録更新はこれで14回目。すでに3度目の世界王者となっていたなかでの「アンコール・ジャンプ」が、大会最終盤の夜を大きく沸かせました。
勝負がついた後に始まった「第2幕」
現地時間の月曜日、デュプランティス選手はまず、世界陸上のタイトル争いを制し、東京のスタジアムで3度目の世界チャンピオンに輝きました。競技を終えると、彼は敗れた棒高跳びの選手たちと握手やハグを交わし、お互いの健闘をたたえ合いました。
その後、デュプランティス選手はゆっくりと観客席側へ歩き、スタンドにいる両親や兄弟、フィアンセと言葉を交わしました。普通ならここで一日が終わってもおかしくありませんが、東京の観客はそれで満足しませんでした。
スタジアムが待ち望んだ「アンコール」世界新
家族との時間を終えたデュプランティス選手は、再び助走路へと戻ってきました。まるで満員のアリーナに呼び戻されたパフォーマーのように、観客の期待が一気に高まります。
彼が選んだのは、世界記録となる6メートル30という高さ。試技は3回目、ラストチャンスで成功しました。大会の全種目が終了してから30分以上が経っていたにもかかわらず、5万3千人の観客は誰ひとりとして席を立とうとはしませんでした。
バーが揺れながらも落ちずに残ると、スタジアムは大きなうねりのような歓声に包まれました。デュプランティス選手は、その瞬間までの時間をあえて引き延ばすように、一つひとつの動作にドラマを込め、観客と一緒に世界新記録の瞬間を味わいました。
観客と分かち合う「特別な世界記録」
デュプランティス選手は競技後、「この世界記録を観客のみんなと一緒に楽しめて、見せることができたのは本当に特別だ」と振り返りました。
さらに、同じスタジアムで過去に経験した無観客の試合についても触れ、「前にここに来たときは観客がいなくて、とても不気味で奇妙な感じがした。正直、あまり楽しくなかった」と話し、声援とともに味わう世界記録の価値を強調しました。
東京のスタンドを埋めた観客と共有した今回の世界新は、数字以上に、会場の空気や時間の流れそのものが「記録」となった夜だったと言えそうです。
14回目の世界記録更新が示すもの
今回の6メートル30は、デュプランティス選手にとって通算14回目となる世界記録更新です。棒高跳びという競技は、技術、スピード、しなやかさ、そして精神的な集中力が極限まで求められる種目です。その世界記録を何度も塗り替え続けるという事実は、単なる「好調さ」を超えた継続的な進化を物語っています。
すでに金メダルを手にしながらも、観客の前でさらに高みを目指す姿勢は、多くのファンに「勝負が決まった後こそ、本当のスター性が問われる」という印象を残したのではないでしょうか。
5万3千人が最後まで席を立たなかった理由
その夜のスタジアムでは、大会の他の競技がすべて終了した後も、観客は帰ろうとしませんでした。世界記録挑戦という「物語」の続きを、目撃者として最後まで見届けたいという感覚が共有されていたからです。
スマートフォンで撮影しながら跳躍の瞬間を待つ人、仲間と声をからしてカウントダウンする人。その一体感は、テレビや配信を通じて観るスポーツとはまた違う、会場ならではの体験となりました。
- 3度目の世界チャンピオンが、試合後に世界記録へ挑戦
- 6メートル30のバーを3回目の試技でクリア
- 世界記録更新は自身14回目
- 大会全競技終了から30分以上経過しても、観客5万3千人が残って見守る
SNS時代の「記録」と「記憶」
今回の世界陸上東京大会での世界新は、数字としての記録だけでなく、観客や視聴者の記憶、そしてSNS上の共有を通じて、さまざまな形で残っていきます。
多くの人がXやInstagramなどに動画や感想を投稿し、その場にいなかった人とも体験をシェアしている光景が想像できます。スポーツの大きな瞬間は、いまやスタジアムだけで完結せず、オンライン空間を含めた「共有体験」として広がっていきます。
デュプランティス選手が見せたのは、圧倒的な身体能力だけではありません。「観に来てくれた人に何を残すか」を意識したパフォーマンスであり、スポーツとエンターテインメントの境界を軽やかに越える姿でした。
これからの世界陸上を見る視点
世界記録やメダル争いといった分かりやすい結果に目が行きがちですが、今回の棒高跳びが教えてくれるのは、次のような視点かもしれません。
- 勝負が決まった後の振る舞いに、その選手らしさが表れる
- 観客と一緒に作る「場の空気」もスポーツの一部である
- 数字の記録と、人々の記憶の両方が残ってこそ、伝説になる
通勤時間やスキマ時間に動画のハイライトをチェックする私たちにとっても、こうした視点を持つことで、これからの世界陸上や国際スポーツのニュースが少し違って見えてくるかもしれません。
東京の夜空に描かれた6メートル30の弧は、記録の更新以上に、「スポーツをなぜ観るのか」という問いへの、一つの答えのようにも感じられます。
Reference(s):
Duplantis breaks world record again at World Athletics Championships
cgtn.com








