エジプト発・女性eスポーツの新星 Velvet と Names が語る道の切り開き方 video poster
男性中心とされてきたプロeスポーツの世界で、エジプト出身の女性選手 Hadeel 'Velvet' Abouelftouh と Asmaa 'Names' Thabet が、静かに、しかし着実に新しい道を切り開いています。中東・北アフリカ地域のチーム Falcons Vega MENA に所属する2人は、最近のインタビューで、プロまでの道のりや、女性eスポーツのこれからについて率直に語りました。
情熱がプロへの道をつくった
2人に共通する出発点は、子どもの頃からの「ゲームへの純粋な好き」という思いです。2025年現在、eスポーツは世界的な産業へと成長しましたが、その根っこにあるのは今も一人ひとりのプレイヤーの熱量です。
Velvet「ゲームは娯楽を超えたスキルと判断力の勝負」
Velvet は、自身のゲームとの向き合い方を「単なる娯楽ではない」と表現します。彼女にとってeスポーツは、スキルと瞬時の判断力、チームとしての意思決定が試される場です。
この「戦略的な深み」が、彼女をプロの道へと駆り立てました。同じタイトルをプレーする人たちの間でしか共有できない感覚や理解があり、それこそがトップレベルを目指す特別さだと感じているといいます。
Names「女性もプロとして戦える」
一方 Names の原動力になったのは、「女性もプロとして戦える」という強い信念でした。彼女にとって忘れられない瞬間は、自らの国を代表して世界の舞台に立ったときの誇りだと振り返ります。
自分のプレーが国を背負うという経験は、プレッシャーであると同時に、次のステップへと背中を押す力にもなりました。Names はその感覚が、今も日々の練習と競技への集中を支えていると語ります。
「震える手」から始まったプロのキャリア
もちろん、プロへの道のりは順風満帆ではありませんでした。Velvet はシーンに飛び込んだ当初を「震える手で始めた」と表現します。男性中心のフィールドに、自分が本当に通用するのかという不安は小さくなかったはずです。
それでも彼女は、高い目標と「やってみないと分からない」という覚悟を持って前に進みました。結果がどうなるかは分からなくても、一歩踏み出すことでしか見えない景色がある──そのことを体現しているようです。
偏見にはパフォーマンスで応える
eスポーツに限らず、男性が多数派を占める業界に女性が入っていくとき、偏見や懐疑的な視線は避けがたい現実です。2人はそれをどう乗り越えてきたのでしょうか。
Names は「ひたすら上達に集中し、この分野で自分の実力を証明することに努めた」と語ります。周囲を納得させる一番の方法は、言葉ではなく結果だと考えたからです。
2人が示してきたスタンスは次のように整理できます。
- 周囲の評価より、自分の成長指標に焦点を合わせる
- チームメイトや対戦相手には、プレーを通じて信頼を築く
- 批判や疑念は「燃料」に変え、練習のモチベーションにする
こうした積み重ねの先に、2人は徐々に周囲の尊敬と信頼を獲得していきました。
中国の女性eスポーツへの敬意と友情
Velvet と Names は、自分たちの地域だけでなく、世界各地の女性eスポーツの動きにも目を向けています。特に中国の女性eスポーツの発展ぶりには強い印象を受けているといいます。
組織面での手厚いサポートや、多くの女性選手が活躍している点を高く評価しており、「女性プレイヤーがここまで多く、しっかり支えられていることに驚いた」と感じたといったニュアンスがうかがえます。
すでに彼女たちは、中国のチーム TLG の選手たちと個人的なつながりも築いており、プレゼントを贈り合うなど、国境や文化を越えた友情も生まれています。競技を通じたこうした交流は、アジアや中東・北アフリカ、欧州など、地域をまたいだeスポーツコミュニティの広がりを象徴していると言えるでしょう。
「プレイヤー以外の仕事」にも女性の席を
2人が見据えているのは、自分たちのキャリアだけではありません。eスポーツ業界全体で、女性が活躍できるポジションをどう増やしていくかにも強い関心を持っています。
Velvet と Names は、女性の役割は選手に限られるべきではないと考えています。具体的には次のような領域で、より多くの女性が活躍できる環境が必要だと訴えます。
- チーム運営・マネジメント
- 大会や配信の制作・進行
- 動画や記事などのコンテンツ制作
- 実況・解説(キャスティング)
そのうえで Velvet は、「同じようなリソースとチャンス、そして『ここに自分の居場所がある』と思えるだけの可視性が必要だ」と強調します。自分と似た背景を持つロールモデルが画面の向こう側にいることは、次の世代にとって強い励ましになるからです。
見えることが「チャンスの感覚」をつくる
「あの人みたいになれるかもしれない」と思えるかどうかは、多くの場合、その人がどれだけ世の中に「見えているか」に左右されます。だからこそ2人は、女性選手やスタッフにスポットライトを当てることの重要性を繰り返し語っています。
画面の向こうに女性キャスターやコーチ、アナリストがいること。チームの公式コンテンツに女性スタッフが登場すること。そうした一つひとつの積み重ねが、「自分にもチャンスがある」と感じられる土台になるという視点です。
読者への問いかけ:あなたにできる一歩は何か
2025年の今、eスポーツはもはや一部のマニアだけの世界ではなく、世界中の人々が関わる大きな文化になりつつあります。その中で、女性が安心して挑戦し、実力を発揮できる場をどう増やしていくかは、多くの国や地域で共通のテーマです。
Velvet と Names のストーリーは、「先駆者」だけの特別な話ではありません。観戦するファンとして、SNSで声を上げる人として、あるいはゲーム業界を目指す当事者として、私たち一人ひとりにもできることがあります。
- 女性選手やスタッフの活躍を見つけたら、積極的に共有・応援する
- オンライン上での差別的な言動を見過ごさず、健全なコミュニティづくりに協力する
- 自分の職場やコミュニティで、多様な人が参加しやすい仕組みを考えてみる
エジプトから世界へと飛び出した Velvet と Names がそうであるように、誰かが踏み出した一歩は、必ずどこかで別の誰かの背中を押します。あなたの一歩が、次の世代の「自分にもできるかもしれない」という感覚につながるかもしれません。
Reference(s):
Falcons players Velvet and Names talk forging path in women's esports
cgtn.com







