世界204位バシェロがジョコビッチ撃破 上海マスターズで「いとこ対決」決勝へ
男子テニスの上海マスターズで、世界ランキング204位のモナコ出身ヴァランタン・バシェロが、四大大会24回優勝のノバク・ジョコビッチをストレートで下し、決勝進出を決めました。しかも決勝の相手は、フランスのいとこアルテュール・リンダークネシュ。ATPマスターズ1000大会では異例の「家族ファイナル」が実現しようとしています。
- 世界204位・予選上がりのバシェロがジョコビッチを6-3、6-4で撃破
- バシェロはATPマスターズ1000史上、最も低いランキングでの決勝進出
- 決勝はバシェロ対リンダークネシュの「いとこ対決」に
- 体調不良のジョコビッチは敗戦を潔く受け入れ、バシェロを称賛
ジョコビッチをストレート撃破 世界204位の金星
現地土曜日に行われた上海マスターズ準決勝で、26歳の予選勝ち上がり選手バシェロ(世界ランキング204位)が、元世界1位で38歳のジョコビッチを6-3、6-4のストレートで破りました。記録をさらに伸ばす5度目の上海優勝を狙っていたジョコビッチにとって、思わぬ形での敗退となりました。
試合中、ジョコビッチはベンチ横で嘔吐する場面があり、メディカルタイムアウトを複数回取るなど、明らかに万全のコンディションではありませんでした。それでもコートに立ち続けましたが、最後まで流れを引き寄せることはできませんでした。
一方のバシェロは、相手がテニス界を代表するスターであっても冷静さを保ちました。試合後には「まだ現実なのか信じられないような気持ちだ」と興奮気味に振り返り、「相手がジョコビッチだという事実にとらわれ過ぎず、メンタル面をうまくコントロールできたことを本当に誇りに思う」と語っています。
敗れたジョコビッチも、24回の四大大会優勝という圧倒的実績を持つトップ選手らしく、敗戦の理由を自らの体調だけには求めませんでした。バシェロの快進撃について「素晴らしい物語だ」と評価し、「今日は彼のための日だった。より良いプレーをした選手が勝った」と、勝者を称える姿勢を貫きました。
ATPマスターズ1000史上“最低ランキング”決勝進出の意味
今回の結果で、バシェロはATPマスターズ1000大会の決勝に進んだ選手として、史上最もランキングが低い選手となりました。予選から本戦に勝ち上がり、世界のトップ選手が集う舞台で決勝まで到達するケースは、男子テニスでも極めて異例です。
ランキングや肩書が重視されがちな男子ツアーにおいて、世界204位の選手が四大大会24回優勝のスターを破り、大会の主役に躍り出た事実は、多くのテニスファンの固定観念を揺さぶる出来事と言えます。
今大会でのバシェロの躍進からは、次のようなポイントが浮かび上がります。
- 予選から格上との対戦が続く中でも、自分のプレーに集中し続けたメンタルの強さ
- 相手の名前や実績ではなく、その日のプレーの質にのみ意識を向けた姿勢
- 体調不良の相手にも手を抜かず、最後まで全力を尽くす競技者としてのスタンス
「番狂わせ」と片づけてしまうには惜しい、準備と集中力が生み出した結果とも言えそうです。
決勝はリンダークネシュとの「いとこ対決」
バシェロが決勝で対戦するのは、いとこでありフランス出身のアルテュール・リンダークネシュです。リンダークネシュはもう一つの準決勝で、ロシアのダニール・メドベージェフに4-6、6-2、6-4と逆転勝利。これにより、上海マスターズ決勝は「家族対決」となりました。
ATPマスターズ1000クラスの大会で、親族同士がタイトルを懸けて決勝のコートに立つケースはきわめてまれです。世界各地から選手が集まる国際大会で、家族同士が頂点を争う構図は、今大会を象徴するドラマチックな瞬間と言えるかもしれません。
互いの性格やトレーニング環境、プレースタイルを知り尽くしたいとこ同士の決勝は、単なる戦術のぶつかり合いにとどまりません。「家族としての感情」と「優勝への野心」がどのように交錯するのかも、大きな見どころになりそうです。
プレッシャーのかかる大舞台で、どちらがより自然体で自分のテニスを貫けるのか。家族ならではのやりにくさと、互いをよく知るからこその読み合いが、試合の流れを大きく左右する可能性があります。
男子テニスの勢力図に投げかける問い
今回の結果が、男子テニスの勢力図をすぐに塗り替えるわけではありません。しかし、「ランキングや過去の実績が、必ずしもその日の勝敗を決めるわけではない」という、スポーツの根本的な事実をあらためて思い出させる出来事となりました。
長年トップの座を守り続けてきたベテランと、新たな挑戦者たちとのせめぎ合いは、現在の男子テニスを象徴するテーマのひとつです。38歳のジョコビッチがなお最前線で戦う一方で、今回のバシェロのように、ランキングの外から突然大舞台に躍り出る存在も現れます。
今回の上海マスターズ準決勝は、数字や肩書だけで試合の行方を予想することの難しさ、そしてスポーツの持つ予測不可能性を、鮮やかに示したと言えるでしょう。間もなく行われる「いとこ対決」の決勝で、世界204位の快進撃がどこまで続くのか。テニスファンにとって、目が離せない一戦となりそうです。
Reference(s):
Vacherot ousts ailing Djokovic, sets up Shanghai final against cousin
cgtn.com








