中国National Gamesマスコットに見る国産デザインの台頭 video poster
中国で今年開催される第15回National Games(全国運動会)を前に、マスコットのXiyangyangとLerongrongが早くも人気を集めています。リードデザイナーのLiu Pingyunさんは、これらのマスコットは過去10年で進んだ「国産カルチャーデザインの台頭」を象徴していると語りました。本記事では、その背景と中国の文化クリエイティブ市場の今を、日本語で分かりやすく整理します。
第15回National Gamesを彩るXiyangyangとLerongrong
第15回National Gamesの公式マスコットであるXiyangyangとLerongrongは、発表直後から「親しみやすい」「かわいい」と話題になり、開催前から大会の顔として定着しつつあります。
デザインを手がけたLiu Pingyunさんは、スポーツ番組のインタビューで、これらのマスコットにははっきりとしたコンセプトが込められていると説明しています。
- 日常生活に溶け込むキャラクターであること
- 見た人がすぐに「身近さ」を感じられること
- 生活感のある温かさ、いわゆる「煙火気」(生活の匂い)をまとわせること
華やかなイベントの象徴というだけでなく、会場外の日常にもつながる存在として設計されている点が特徴です。単なる「スポーツのマスコット」という枠を超え、人々の暮らしや感情に寄り添うことが狙いだといえます。
輸入コンセプトから国産IPへ この10年の変化
Liuさんは、この10年ほどで中国の文化クリエイティブ業界が大きく変わったと指摘します。かつては海外で生まれたキャラクターやデザインコンセプトを参考にするケースが目立ちましたが、2025年現在は、地元のデザイナーが独自のビジュアルや物語性を持つキャラクターを生み出し、それが人々に広く受け入れられるようになってきました。
その節目としてLiuさんが挙げたのが、世界的な人気を集めたマスコット「Bing Dwen Dwen」です。この成功が、国内のデザイナーにとって大きな励みとなり、「中国発のキャラクターや知的財産(IP)でも十分に世界と戦える」という意識の広がりにつながったと振り返っています。
今回のXiyangyangとLerongrongも、その流れの延長線上にあります。地元の文化や日常の風景をベースにしながら、誰が見ても覚えやすく、使いやすいキャラクターIPとして設計されている点が特徴です。
2800点超の文化クリエイティブ商品が狙う「感情価値」
今回のNational Gamesでは、大会前の段階ですでに2800点を超える文化クリエイティブ商品が展開されているといいます。文具、生活雑貨、アパレル、小物など、日常的に使えるグッズが幅広く用意されているのがポイントです。
Liuさんは、この大量の関連商品が目指しているのは単なる物販ではなく、「文化と人々のあいだの本物の対話」だと強調します。グッズを通じて大会の記憶や感情を日々の生活に持ち帰ってもらうことで、マスコットや大会そのものに対する感情的な価値が高まるという発想です。
- イベントの一瞬の盛り上がりを、日常に持ち帰れるようにする
- ファンが自分のペースで楽しめる「参加のかたち」を増やす
- 長く愛されるキャラクターIPとして育てていく土台をつくる
こうした設計は、SNSでの投稿や口コミを通じて広がりやすく、National Gamesを超えて中国全土、さらには海外のファンにも届いていく可能性があります。
日本の読者への示唆 ローカル発デザインの競争力
今回のマスコットと文化クリエイティブ商品の展開は、日本の読者にとっても示唆に富んでいます。ポイントは、「国産か輸入か」という単純な対立ではなく、「どれだけ人々の日常と感情に結びつけられるか」という視点です。
中国では、Bing Dwen Dwenの成功を経て、XiyangyangやLerongrongのようなローカル発のキャラクターが、生活の中に入り込むことを前提にデザインされています。そこには次のような問いかけがあります。
- ローカルの文化や生活感を、どうやって普遍的な魅力に変えるのか
- イベント後も人々の記憶に残り続けるキャラクターとは何か
- 「かわいい」だけでなく、どんな物語や価値観をキャラクターに託すのか
日本でも、多くの自治体や企業がマスコットやキャラクターを活用していますが、国際ニュースとして中国の動きを見ることで、自国のキャラクタービジネスや文化発信を見直すヒントにもなりそうです。
第15回National Gamesをめぐるマスコットと文化クリエイティブ戦略は、スポーツイベントの枠を超えて、「これからのローカル発デザインはどうあるべきか」を考えさせてくれる一つの事例だと言えるでしょう。
Reference(s):
National Games mascot designer notes rise of homegrown cultural design
cgtn.com








