マカオ特区・趙国威氏が語るNational Gamesとスポーツ戦略の未来 video poster
今週放送されたCGTNのスポーツ番組のインタビューで、マカオ特別行政区スポーツ局スポーツ発展部の趙国威(Chao Kuok Wai)部長が、第15回National Gamesの意義と、マカオの今後のスポーツ政策について語りました。マカオ特区にとって大会は、市民のスポーツ参加と地域のスポーツ発展を一段と加速させる節目になっているようです。
第15回National Games、マカオ史上最大の代表団
今回の第15回National Gamesは、広東省と香港特別行政区、マカオ特別行政区の3地域が共催しました。マカオ特区は、この大会に向けて過去最大規模となる代表団を編成しています。
- 代表団の総人数:600人超
- アスリート:23の競技スポーツと14のマススポーツ種目に出場する400人超
- 第9回National Special Olympic Gamesの代表:約200人
趙氏は、マカオ代表団の規模が過去最大となった背景について「マカオ特別行政区は今回のNational Gamesを非常に重視しています」と強調しました。大会参加そのものが、マカオのスポーツ水準を押し上げると同時に、若い世代にとっての新しい目標やロールモデルを生み出す機会になっているといえます。
市民参加を広げる仕掛け:100のスポーツ活動と無料開放
趙氏が特に力を込めて語ったのが、市民の健康づくりとスポーツ参加の拡大です。今年(2025年)、マカオ特区は公共フィットネスとスポーツ参加を促すために、マススポーツ(一般参加型スポーツ)の活動を大幅に増やしました。
- 今年実施したマススポーツ活動:100件
- 前年の実施件数:61件
- 増加率:64%増
数量を増やしただけではありません。大会期間中には、すべての公共フィットネス施設を無料で開放し、より多くのマカオの人々が気軽に運動できる環境を整えました。仕事帰りや週末に立ち寄れる無料の運動スペースは、スポーツへの心理的なハードルを下げる具体的な施策といえます。
こうした取り組みについて、趙氏は「今後もこの勢いを維持し、さらに多様な活動を通じて住民のスポーツ参加を高めたい」と語り、短期的なイベントで終わらせず、長期的な習慣づくりへとつなげていく方針を示しました。
次の一手:仮設会場と施設アップグレード
マカオ特区は、ハード面の整備にも力を入れています。趙氏によると、今後は次のような施策を進めていく計画です。
- 必要に応じた仮設スポーツ会場の設置
- 既存スポーツ施設の改修・アップグレード
- 大会をきっかけに整備した設備の、日常利用への転換
大規模大会のために整備した施設を、どれだけ日常的な市民利用へと橋渡しできるかは、世界各地の開催都市に共通する課題です。マカオ特区も、第15回National Gamesを一過性のイベントにとどめず、地域の健康づくりとコミュニティの拠点へとつなげていこうとしていることがうかがえます。
57の競技団体が支える多様なスポーツシーン
マカオは面積としては小さな地域ですが、そのスポーツシーンは意外なほど多様です。趙氏によると、スポーツ局の監督下には現在57の競技団体があり、さまざまな種目を支えています。
主な種目として挙げられたのは次のような競技です。
- 武術(マーシャルアーツ)
- ドラゴンボート
- サッカー
- バスケットボール
- 卓球
- 水泳
こうした競技団体を支えるため、スポーツ局は近年、5つの財政支援プログラムを導入しました。競技力の向上だけでなく、イベント運営や育成、普及活動などを総合的に支える仕組みづくりが進められています。
武術の次世代育成とドラゴンボートの国際大会
伝統競技の継承にも具体的な動きがあります。マカオ特区は、武術協会と連携してユース向けの武術学校を共同設立し、若い世代の育成に乗り出しています。これは競技としてのレベルアップと同時に、地域の文化としての武術を次の世代へ受け渡す試みでもあります。
さらに、ドラゴンボートについては、毎年国際招待大会を開催し、国内外のチームを招いています。水辺の伝統行事でもあるドラゴンボートレースを、国際的なスポーツイベントとして発展させつつ、文化としての位置づけも守っていこうとする姿勢が見て取れます。
マカオが目指す「スポーツと公共ウェルネスのハブ」
今回のインタビューからは、マカオ特区が第15回National Gamesを単なるスポーツ大会ではなく、公共の健康、地域コミュニティ、伝統文化の継承を結びつけるプラットフォームとして捉えていることが伝わってきます。
小さな地域であっても、
- 無料開放やマススポーツ活動で裾野を広げる
- 国際大会や伝統競技で個性を打ち出す
- 育成と財政支援で競技団体を支える
といった複数のレイヤーを重ねることで、スポーツを社会全体の活力へと転換していくことが可能になります。
マカオ特区が今後、この流れをどこまで持続できるのか。National Gamesをきっかけにしたスポーツ政策の展開は、都市のサイズにかかわらず、他地域にとっても参考になるケーススタディになっていきそうです。
Reference(s):
Macao SAR's Chao shares thoughts on National Games and future plans
cgtn.com








