国際ニュース:チェス・ワールドカップでウェイ・イーが劇的逆転、決勝進出
インド・ゴア発の国際ニュース:チェス・ワールドカップでウェイ・イーが決勝進出
インドのゴアで開催された男子チェス・ワールドカップ準決勝で、中国のウェイ・イーがロシアのアンドレイ・エシペンコを下し、決勝進出と来年の世界選手権候補者トーナメント出場権を手にしました。世界最高峰クラスの大会での快挙は、日本語で国際ニュースを追うチェスファンにとっても見逃せないトピックです。
- クラシカルの2局は静かな引き分け
- ラピッドのタイブレークで57手の激戦を制す
- 中国勢として2人目の男子ワールドカップ決勝進出、3人目の候補者入り
クラシカルは膠着、勝負はラピッドへ
準決勝はまず、持ち時間の長いクラシカル(通常のルール)2局から始まりましたが、いずれも大きなリスクを避けた静かな展開となり、結果は連続ドローに終わりました。このため、勝者を決める舞台は短い持ち時間で指すラピッドのタイブレークに移りました。
ラピッド初戦でウェイ・イーは黒番ながら要所をきっちり押さえ、引き分けに持ち込みます。続く2局目では白番を握り、57手に及ぶ激しい戦いの末、ついに勝利をもぎ取りました。
55手目まで敗勢、それでも諦めなかった逆転劇
決着局となったラピッド2局目は、終盤までエシペンコが優勢と見られていました。55手目の時点で、盤上ではエシペンコがポーン(兵)を2つ多く持つ、ルーク(飛車に相当)とナイト(馬に相当)のエンディングになっており、多くの観戦者がロシア側の勝利を予想していた局面です。
ところがエシペンコは守勢に回った場面で計算を誤り、自らのルークを十分に守れない形にしてしまいます。この一手が致命傷となり、ウェイ・イーが一気に駒得を奪って逆転。そのまま優勢を逃さず勝ち切り、タイブレークを制しました。
一見「負け」と思われる局面でも最後まで集中を切らさず、相手のミスを逃さないことの重要性を示した一局と言えます。時間に追われるラピッドならではの、スリリングな終盤戦でした。
中国勢として歴史的な一歩
今回の勝利により、ウェイ・イーは男子チェス・ワールドカップの決勝に進出した2人目の中国人選手となりました。これまで同大会で決勝に進んだ中国人はただ一人、2017年と2019年に準優勝したディン・リレンだけでした。
さらにウェイ・イーは、来年の世界選手権候補者トーナメントの出場権も獲得しました。候補者トーナメントは、世界選手権で現王者に挑戦する挑戦者を決める大会であり、出場するだけでもトップ中のトップである証しです。ウェイ・イーは、ディン・リレンとワン・ハオに続き、候補者トーナメントに名を連ねる3人目の中国人となります。
中国のチェス界にとっては、ディン・リレンに続くスターの台頭をうかがわせる朗報であり、アジア全体の競技レベルの高さを示す結果とも言えます。
決勝はシンダロフと対戦、今後の注目ポイント
ウェイ・イーは今大会のトーナメント表に残っていた選手の中で最上位シードでもありました。その彼がたどり着いた決勝の相手は、ウズベキスタンの若手ジャヴォヒル・シンダロフです。決勝戦はインド・ゴアで11月24日から26日にかけて行われる予定で組まれており、多くのファンがこの顔合わせを楽しみにしました。
今回の結果を踏まえた、今後の注目ポイントは次のとおりです。
- ウェイ・イーが来年の世界選手権候補者トーナメントでどこまで勝ち進むか
- ディン・リレン、ワン・ハオに続き、中国勢が世界タイトル戦線で存在感を強めるかどうか
- エシペンコやシンダロフを含む若手有力棋士たちが、今後どのように互いを刺激し合っていくか
静かに始まり、ラピッドで一気に火がついた今回の準決勝は、トップレベルのチェスが持つドラマ性と、わずかな判断ミスが勝負を分ける厳しさを改めて浮き彫りにしました。国際ニュースとしてのインパクトだけでなく、「考えることの面白さ」を教えてくれる一戦でもあったと言えるでしょう。
Reference(s):
China's Wei edges Esipenko to reach final at Chess World Cup in India
cgtn.com








