中国のEV充電設備が1,143万基に急増 公共・民間の内訳とインフラ戦略
中国で電気自動車(EV)向けの充電インフラが急速に整備されています。2024年9月末時点で充電設備が1,143万基に達したという最新の政府データは、中国のEVシフトの勢いと、世界の脱炭素競争の一端を示しています。
EV充電設備は1,143万基、前年から約5割増
中国の国家エネルギー当局が公表した政府データによると、2024年9月末時点で国内のEV向け充電設備(充電ポール、充電スタンド)は合計1,143万基となり、1年前と比べて49.6%増加しました。1年間でほぼ1.5倍に近い伸びで、インフラ整備のスピードが際立ちます。
この時点で登録されている新エネルギー車(EVなどを含む)は2,809万台とされており、車2.46台につき充電設備1基という計算になります。数字の上では、概ね「2~3台に1基」の充電環境が整いつつあると言えます。
公共と民間、7割が自宅や企業などの「自家用」
1,143万基の内訳を見ると、およそ333万基が公共の充電設備、810万基が民間の充電設備です。割合にすると、約3割が公共、約7割が自家用という構図になります。
公共充電設備は、街中の急速充電ステーションや商業施設、公共駐車場などに設置されるものです。一方、民間の設備は、マンションや戸建て住宅、企業の駐車場など、特定のユーザーが主に利用するものを指します。
このデータからは、多くのEVユーザーが自宅や職場で充電するライフスタイルを前提にしていることがうかがえます。同時に、都市部では公共インフラも拡充され、外出先での「継ぎ足し充電」も現実的な選択肢になりつつあります。
9カ月で284万基増、利用電力量も2桁成長
2024年1月から9月までの9カ月間で、中国では新たに284万基の充電設備が純増しました。単純計算で、1カ月あたり30万基以上のペースで増えていることになります。
同じ期間にEVなどへの充電電力量は合計666.7億キロワット時(kWh)となり、前年同期比で12.4%増加しました。単に設備数が増えているだけでなく、実際に使われる電力量も2桁成長している点は、EVの利用が着実に広がっていることを示しています。
地方都市や高速道路にも広がる充電ネットワーク
中国の政府機関によると、充電設備のネットワークは高速道路にも広がり、長距離移動を支えるインフラとして整備が進んでいます。都市間を結ぶ幹線道路で充電がしやすくなることで、EVでの長距離ドライブのハードルが下がりつつあります。
同時に、県や町レベルの地域にも充電インフラが広がっています。2024年9月末時点で、こうした地域に設置された充電設備は41.7万基に達しました。大都市だけでなく、地方部の住民や物流にもEV利用の選択肢が広がりつつあることになります。
日本の読者にとっての意味:インフラ先行モデルとして
日本を含む多くの国や地域でも、EVの普及とインフラ整備の「どちらを先に進めるか」が議論になります。中国の事例は、車両数の増加に合わせつつ、充電インフラを前倒しで整備していくモデルの一つとして参考になり得ます。
特に、以下のような点は、日本の政策やビジネスを考える上でも注目ポイントになりそうです。
- インフラと普及のバランス:車2.46台に1基という水準をどう評価するか、どの程度の充電密度を目標とするのか。
- 自家用と公共の役割分担:自宅や企業内の充電をベースとしつつ、公共インフラをどう補完的に配置するか。
- 地方への広がり:大都市と地方の格差を抑えながら、どのようなペースで地方部の充電網を整備するか。
これからを考えるための視点
2024年のデータは、中国でEVを支える「見えないインフラ」が短期間で大きく拡大していることを示しています。2025年以降、この流れがさらに加速するのか、それとも質の向上や運用効率化に重心が移っていくのかは、今後の注目点です。
EVや新エネルギー車をめぐる国際競争は、車そのものの性能だけでなく、充電ネットワークや電力システムを含む「エコシステム」全体の競争へと広がっています。日本からこうした動きをウォッチすることは、自国のエネルギー政策や産業戦略を考えるヒントにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








