中国とラテンアメリカ、電気自動車と再エネ協力が加速
中国とラテンアメリカ諸国が、新エネルギー車(NEV)と再生可能エネルギー分野での協力を強めています。ブラジルの電動バスや電池投資を軸に、地域のエネルギー転換がどのように進んでいるのかを見ていきます。
新エネルギー車と再生可能エネルギーで進む中国・ラテンアメリカ協力
ここ数年、中国とラテンアメリカ諸国は、新エネルギー車(NEV:電気自動車やプラグインハイブリッド車など)の分野で連携を深めています。電気バスの導入やリチウム電池への投資が広がり、ラテンアメリカ地域のクリーンエネルギーイニシアチブを後押ししています。
とくにブラジルでは、中国企業による電動バスや電池生産が本格化しており、公共交通とエネルギー政策の両面で、再生可能エネルギーへのシフトを加速させる動きが見られます。
ブラジル・バイーア州に建設される大規模EV拠点
ブラジルでの協力の象徴となっているのが、中国の自動車メーカーBYDとブラジル北東部のバイーア州政府による製造コンプレックス計画です。昨年(2024年)発表されたこのプロジェクトでは、3つの工場から成る大規模な拠点が整備される予定です。
この拠点では、次のような生産が想定されています。
- 電気バスや電気トラック
- 電気自動車とプラグインハイブリッド車などの乗用車
- リン酸鉄リチウム電池(LFP電池)
年間15万台規模の新エネルギー車(電気自動車とプラグインハイブリッド車を含む)を生産できるとされ、ブラジルの再生可能な交通インフラを強化する役割が期待されています。こうした投資は、輸送部門の電動化を進めると同時に、雇用や地域産業の育成にもつながる可能性があります。
10年以上かけて築かれたブラジルでの基盤
BYDがブラジルに進出したのは10年以上前にさかのぼります。2013年にはサンパウロに事務所を構え、2015年にはカンピーナスに電気バスとリン酸鉄リチウム電池の組立工場を開設しました。
その後もブラジル国内での事業は拡大し、現在では次のような製造拠点を持つまでになっています。
- 電気バス用シャシー(骨組み)の生産施設
- 太陽光パネルの製造施設
- 電池生産施設
こうした積み重ねにより、同社はブラジルの公共交通の電動化を支える主要な存在となり、電気バスや再生可能エネルギー関連機器を通じて、同国のクリーンエネルギーへの移行を後押ししています。
サンジョゼ・ドス・カンポスの「グリーンライン」が示す変化
ブラジルの都市サンジョゼ・ドス・カンポスのバス高速輸送システム(BRT)「グリーンライン」は、中国とラテンアメリカの新エネルギー協力を象徴する事例の一つです。2021年末に導入されたBYD製の連節電気バスが、この路線で運行されています。
この電気バスは、地域の通勤手段として定着しつつあり、利用者にとって次のような変化をもたらしています。
- ディーゼルバスに比べて静かな走行で、車内外の騒音が抑えられる
- USB充電ポートなどの設備により、移動中もスマートフォンなどを快適に利用できる
- 排出ガスを出さない運行により、都市部の大気環境改善に貢献することが期待される
公共交通の電動化は、単なる技術導入にとどまらず、都市の住みやすさや持続可能な都市開発とも深く結びついています。「グリーンライン」の取り組みは、ラテンアメリカの他都市にとっても一つの参考モデルになり得ます。
ラテンアメリカのエネルギー転換にとっての意味
中国とラテンアメリカ諸国の協力は、新エネルギー車と再生可能エネルギーという二つの分野を軸に、地域のエネルギー転換を後押ししています。電気バスや電気トラックの普及、リチウム電池を中心とした投資は、交通分野での温室効果ガス削減に直接つながる取り組みです。
ブラジルで進む製造拠点の整備や公共交通の電動化は、ラテンアメリカ各地に広がるクリーンエネルギーイニシアチブの一端にすぎません。今後、こうした協力が拡大すれば、
- 地域内での電動バスや電池の供給体制の強化
- 関連産業の育成と雇用創出
- 都市ごとのエネルギー政策や交通政策の高度化
といった波及効果も期待されます。
日本やアジアの都市でも、公共交通の電動化と再生可能エネルギーへの転換は共通の課題になりつつあります。ラテンアメリカで進む中国との協力事例は、自国・自地域のエネルギー政策を考えるうえで、どのような示唆を与えてくれるのか。読者一人ひとりが、自分の暮らす街の未来と重ね合わせて考えてみる価値がありそうです。
Reference(s):
China, Latin America strengthen NEV and renewable energy cooperation
cgtn.com








