中国の再使用ロケット最前線 第15回エアショーチャイナの現場から video poster
中国の再使用ロケット計画が加速するなか、中国で開かれた第15回「エアショーチャイナ(Airshow China)」では、複数の宇宙企業が最新のロケット開発状況を披露しました。中国のメガ衛星コンステレーション(多数の衛星を組み合わせた巨大ネットワーク)を支える打ち上げ手段として、国際ニュースの現場でも注目されています。
第15回エアショーチャイナで見えた野心
今回のエアショーチャイナの会場では、中国の宇宙関連企業が再使用ロケットの模型やコンセプト映像を展示し、それぞれの最新技術をアピールしました。いずれの企業も、中国の大規模な衛星ネットワーク計画を支える「主役」の一員になることを目指しており、激しい競争と協力の両方が見て取れます。
出展した企業の多くは、自社のロケットについて「今後数カ月以内の初打ち上げ」を掲げており、技術実証から運用段階への移行を意識した説明が目立ちました。2025年という節目の年に入り、中国の再使用ロケットは研究開発から実用化へと歩みを進めています。
再使用ロケットとは何か
再使用ロケットとは、1回の打ち上げで使い捨てるのではなく、機体の一部または全部を回収し、整備したうえで再び打ち上げに使うロケットです。従来の「使い捨て型」と比べて、コストを抑え、打ち上げ頻度を増やすことが期待されています。
世界の宇宙産業では、再使用ロケットは次のような理由から「ゲームチェンジャー」と見なされています。
- 打ち上げコストの低減:機体を繰り返し使うことで、1回あたりの費用を下げられる可能性がある。
- 打ち上げ頻度の向上:整備と再使用を前提にすることで、短い間隔で打ち上げを行いやすくなる。
- 環境負荷の軽減:部品を再利用することで、廃棄物の削減にもつながると考えられている。
メガ衛星コンステレーションを支える中国の新戦略
今回のエアショーチャイナで各社が強調したのが、「メガ衛星コンステレーション」をどう支えるかという点です。メガ衛星コンステレーションとは、数百〜数千基規模の衛星を軌道上に展開し、一体のシステムとして運用する考え方を指します。
こうした巨大な衛星ネットワークは、広範囲での通信サービスや、高頻度の地球観測などに利用されます。しかし、これだけの数の衛星を計画的に打ち上げ、入れ替え、運用するには、頻繁で安定したロケット打ち上げインフラが欠かせません。
中国の宇宙企業が再使用ロケットの開発に力を入れる背景には、まさにこの「大量・高頻度打ち上げ」の需要があります。メガ衛星コンステレーションを支えることができれば、企業にとっても持続的なビジネス機会につながります。
複数企業が初打ち上げを目指す「近未来」
会場で開発状況を紹介した企業の多くは、自社の再使用ロケットについて初打ち上げの目標時期を示し、「今後数カ月のうちに飛ばす」という意欲を示しました。機体のサイズや設計思想は企業ごとに異なりますが、いずれもメガ衛星コンステレーションへの対応を強く意識している点は共通しています。
中国国内では、こうした新興の宇宙企業と、既存の大型ロケットを手がけてきた企業が、それぞれの強みを生かしながら再使用技術に取り組んでいるとされています。競争が活発になることで、技術の成熟スピードが速まる可能性もあります。
日本の読者にとっての意味
日本でニュースを追う私たちにとって、中国の再使用ロケット開発は、単なる「遠くの宇宙ニュース」ではありません。メガ衛星コンステレーションの拡大は、通信、物流、災害対応、宇宙ビジネスなど、日常生活や産業のさまざまな分野に影響を与える可能性があります。
- 衛星通信サービスの多様化:新しい衛星ネットワークによって、遠隔地でも高速通信が利用しやすくなる可能性。
- 宇宙データの競争:観測データや測位サービスなど、宇宙から得られる情報の質と量が一段と重要になる。
- 産業・技術協力のあり方:宇宙分野での国際協力や競争の構図が、今後さらに複雑になる。
こうした変化を理解するうえで、中国の再使用ロケット計画は、アジア発の宇宙技術と国際ニュースの行方を読み解く重要な手がかりになります。
これから数年の注目ポイント
2025年の今、中国の再使用ロケット計画は「実証から実用へ」の入口に立っているように見えます。今後数年、次のような点に注目していくことで、動向を立体的に追うことができそうです。
- 初打ち上げの結果:各社が掲げる初打ち上げがどのタイミングで実現し、どの程度の再使用回数を達成できるか。
- 回収・再使用プロセス:海上や陸上での回収方法、整備サイクルなどがどこまで効率化されるか。
- メガ衛星コンステレーションの進み具合:衛星の打ち上げペースが計画どおり進むか、サービスとしてどのような形で提供されるか。
再使用ロケットは、一見すると専門的で遠い世界の話に聞こえるかもしれません。しかし、インターネットやスマートフォンが私たちの日常を変えたように、宇宙へのアクセスのあり方が変わることは、じわじわと暮らしやビジネスの前提を変えていきます。中国の動きを手がかりに、「次の10年の宇宙インフラ」をどう捉えるか、静かに考えてみるタイミングに来ているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








