スペースXのスターシップ、6回目試験打ち上げへ トランプ氏も観覧か
スペースXが開発する大型ロケット「スターシップ」が、米テキサス州ボカチカで今週火曜日に実施予定の試験打ち上げに向けて準備を進めています。再利用ロケット技術の鍵となるブースター回収に挑む今回のフライトには、米国の次期大統領ドナルド・トランプ氏が立ち会う見通しと報じられ、宇宙開発と政治の両面から注目が集まっています。
スターシップ、6回目の宇宙飛行試験へ
米連邦航空局(FAA)の認可を受けた今回のスターシップ試験は、テキサス州ボカチカの発射施設から火曜日午後4時(現地時間、協定世界時では22時)に打ち上げ予定です。大型の再利用型ロケットであるスターシップが宇宙空間まで到達するのは、これが6回目の試験飛行となります。
スペースXはこれまでの飛行データを踏まえて設計や運用を見直しており、今回も再利用を前提としたロケット技術をさらに磨くことが狙いです。スターシップは、人と物資を火星へ送り込むというイーロン・マスク氏の構想の中心にある次世代ロケットシステムで、将来の深宇宙探査の要として位置づけられています。
最大の焦点はブースターの「キャッチ」
今回の試験で最大の焦点となるのが、1段目のスーパー・ヘビーブースターを発射台のタワーに取り付けられた巨大なアームで「つかみ取る」試みです。スペースXはこのアームを「チョップスティック」と呼び、飛行後にブースターを正確に受け止めて再利用することを目指しています。
先月の試験では、初めてブースターの回収に成功したものの、イーロン・マスク氏が後に「危うく大事故になりかねなかった」と明かすなど、余裕のある成功とは言えませんでした。今回の打ち上げでは、その課題をどこまで克服できるかが問われます。
ブースターの「キャッチ」によって、次のような点が検証される見通しです。
- スーパー・ヘビーブースターの姿勢制御と着地精度
- 発射台タワーのチョップスティックアームの安全性と信頼性
- 打ち上げから回収まで一連の運用手順の最適化
現行プロトタイプの「最終試験」
今回のフライトは、現在運用されているスターシップ試験機にとって「最終試験」と位置づけられています。次の世代の機体では、機体前方のフラップ(姿勢制御用の翼)の再設計や、推進剤タンクの大型化、耐熱保護層の改良といったアップグレードが予定されています。
このフライトの結果は、そうした次期機の設計や試験計画にも直接影響を与える可能性があり、スペースXにとって節目となる一日になりそうです。
トランプ次期大統領も現地から見学か
今回のスターシップ打ち上げには、米国の次期大統領ドナルド・トランプ氏が現地で立ち会う見通しだと、複数の報道が伝えています。米連邦航空局は月曜日、要人の移動に伴う一時的な飛行制限を発表しており、同じ時間帯にトランプ氏のフロリダ州の自宅上空で続いていた制限が解除される予定だとされています。
次期大統領が民間企業のロケット試験を直接見守る形となれば、アメリカの宇宙開発政策における民間企業の役割が一段と強まる可能性もあります。一方で、政治の視線が集まることで、スターシップ計画への期待とプレッシャーも同時に高まりそうです。
NASAアルテミス計画にとっても重要な一歩
スターシップは、米航空宇宙局(NASA)が進める月探査計画「アルテミス」にとっても重要な存在です。NASAは今後、月面着陸のミッションでスターシップを活用する計画であり、今回のような試験飛行の成否は、そのスケジュールや設計にも影響を与えかねません。
再利用型の大型ロケットが安定して運用できるようになれば、月だけでなく、将来の火星探査や宇宙インフラ構築のコストを大きく下げることが期待されています。その意味で、テキサスで行われる1回の試験飛行は、長期的な宇宙開発の道筋を占う「実験室」の役割も担っています。
私たちはこのニュースをどう見るか
今回のスターシップ試験は、単なる「ロケットの打ち上げ成功か失敗か」を超えた意味を持っています。新しい技術をどこまで実用レベルに近づけられるか、そして民間企業と国家がどのように宇宙開発を進めていくのかを考えるきっかけになるからです。
私たちが注目したいポイントは、次の3つです。
- 高度な再利用技術が、宇宙へのアクセスの「当たり前」になっていくのか
- 民間企業主導の宇宙開発に、政治や安全保障の視点がどう絡んでくるのか
- 一見遠い世界に見える宇宙ビジネスが、将来の通信・気候観測・資源利用など、日常生活にどうつながっていくのか
テキサスの空で行われるこの試験は、数分から数十分で終わる短いフライトですが、その結果は今後10年、20年の宇宙開発の風景を静かに変えていくかもしれません。
Reference(s):
SpaceX prepares for Starship test launch with Trump expected to attend
cgtn.com








