SpaceX Starship試験飛行、ブースター回収を見送り 理由と狙い video poster
2024年秋、米宇宙企業SpaceXが超大型ロケットStarshipの最新試験飛行を行い、打ち上げ自体は成功したものの、注目されていたブースターの空中キャッチはあえて見送られました。再使用型ロケットの要となる試験で何が起きたのか、分かりやすく整理します。
ブースターはなぜ海に着水したのか
今回の試験飛行は米テキサス州から行われました。当初は、打ち上げ後にブースターを発射施設へ戻し、巨大な機械アームで受け止める「キャッチ」が計画されていましたが、打ち上げから約4分後、この試験項目は中止されました。
SpaceXのダン・フオット広報担当者によると、ブースターをキャッチするための条件がすべて満たされなかったため、フライトディレクターはブースターに帰還指令を出さなかったと説明しています。ただし、具体的に何が問題だったのかは明らかにされていません。
キャッチ試験を見送った結果、ブースターはメキシコ湾への着水に進路を変更し、中止決定からおよそ3分後に海上へ落下しました。2024年10月の試験飛行で巨大アームによるキャッチに成功していただけに、今回は安全側に振った慎重な判断が際立つ形となりました。
Starshipは地球をほぼ一周しインド洋へ
ブースターがメキシコ湾へ向かった一方で、上段のStarship機体(内部は空)はテキサスから打ち上げられた後、メキシコ湾上空を越えて地球をほぼ一周する軌道に乗りました。宇宙空間ぎりぎりをかすめるように飛行し、最終的にはインド洋上で制御された形で破壊される計画で、デモ飛行全体は約1時間を想定していました。
今回の飛行経路は、2024年10月の試験飛行と基本的に同じです。ただし、打ち上げ時刻は変更されました。前回が早朝の打ち上げだったのに対し、今回は午後遅い時間に打ち上げることで、地球の反対側でもStarshipの降下の様子を日光の下で観測できるようにしたとされています。
新たに試された3つのポイント
SpaceXは、前回から飛行経路を大きく変えない一方で、機体側の試験項目をいくつか追加しました。主なポイントは次の通りです。
- 宇宙空間でのエンジン再点火:軌道から帰還する際に欠かせない、宇宙空間でのエンジン点火が新たな目標に加えられました。
- 耐熱防護の実験:機体の一部では、あえて耐熱タイルを外し、将来の回収メカニズムが使えるかどうかを確かめる実験が行われました。
- 次回に向けたアップグレード:SpaceXによると、次の試験飛行に向けて、さらに多くの改良が計画されています。
月と火星を見据えた一歩ずつの前進
Starshipは、現在運用されているロケットの中で世界最大かつ最も強力な機体であり、SpaceXと米航空宇宙局(NASA)は、この機体を使って宇宙飛行士を再び月へ送り、将来的には火星探査にもつなげたいとしています。
そのため、ブースターのキャッチや耐熱防護の検証といった一つ一つの試験は、単なる派手なショーではなく、長期的な宇宙輸送システムの設計を詰めるための地道なプロセスだといえます。今回、ブースターの回収を見送った判断も、条件が整わない中で無理をしないという、データ重視の姿勢の表れと受け止めることができます。
このニュースから考えたいこと
今回のStarship試験飛行から、次のようなポイントが見えてきます。
- ロケット開発は「成功」か「失敗」かの二択ではなく、試験ごとに細かな目的が設定されている。
- 安全マージンを優先して試験項目を柔軟に変更することは、長期的な信頼性の確保につながる。
- 月・火星探査という大きな目標に向けて、Starship計画は段階的に前進している。
2025年現在、世界各地で月や火星を目指す計画が進むなか、Starshipのような大型再使用ロケットがどこまで実用に近づくのかは、今後の宇宙開発を左右する重要なテーマです。次の試験飛行でどのようなアップデートが盛り込まれるのかにも、引き続き注目が集まりそうです。
Reference(s):
SpaceX launches Starship rocket but aborts booster catch attempt
cgtn.com








