GSMA CEOが語る「勝者も敗者も生まないAI」 世界インターネット大会 video poster
世界インターネット大会で、携帯通信業界団体GSMAのジョン・ホフマン最高経営責任者(CEO)が、AIは「勝者と敗者」を生む競争ではなく、倫理を伴う「AI for good(善のためのAI)」であるべきだと語りました。AI開発のスピードが加速する2025年現在、この発言は何を示しているのでしょうか。
世界インターネット大会で語られたメッセージ
ホフマン氏は、世界インターネット大会の場で、CGTNの周一秋(Zhou Yiqiu)氏のインタビューに応じました。その中で、AIを社会のために活用する「AI for good」は、単に便利さや効率を追求するだけでなく、「倫理的なAI」であることが不可欠だと強調しました。
さらにホフマン氏は、GSMAが強く信じている考え方として、AIの分野で「勝者」と「敗者」を生むべきではないと述べました。ごく一部の企業や地域だけが利益を独占し、多くの人や国が取り残されるような形でAIが発展してはいけない、というメッセージだと受け取れます。
なぜ「勝者と敗者」を生まないAIが重要なのか
AI技術は、ビジネス、教育、医療、行政など、社会のあらゆる領域に広がりつつあります。しかし、その恩恵が偏ってしまうと、既存の格差をさらに拡大させるおそれがあります。
たとえば次のような懸念が挙げられます。
- 高度なAIを使える企業や個人と、そうでない側との生産性ギャップが拡大する
- 大量のデータを集められる組織だけが優位に立ち、中小企業や新興国が不利になる
- 学習データに含まれる偏りによって、特定の集団が不利な扱いを受ける可能性がある
ホフマン氏が示した「勝者と敗者を生まないAI」という視点は、こうしたリスクを意識しながら、公平で包摂的な(インクルーシブな)AIのあり方を模索する必要性を指摘していると言えます。
「AI for good」と「倫理的AI」の関係
近年、国際会議やテック業界では、「AI for good」というフレーズが頻繁に使われています。これは、AIを環境問題の解決や医療の向上など、社会課題の解決に役立てようとする流れを指します。
ホフマン氏があらためて「AI for goodには倫理的AIが不可欠だ」と語った点は重要です。どれだけ「社会のため」と掲げていても、次のような点が曖昧なままでは、結果的に誰かを傷つけてしまうからです。
- 誰の利益を最優先しているのか
- AIが間違った判断をしたとき、誰が責任を負うのか
- どのようなデータが、どの目的で使われているのかが透明になっているか
- 少数者や弱い立場の人の声が、設計段階から反映されているか
倫理的AIとは、こうした問いに向き合いながら、技術の設計や運用のルールを整えていく取り組みでもあります。
通信業界からのメッセージとして読む
GSMAは、携帯通信事業者などが参加する国際的な業界団体です。そのトップであるホフマン氏がAIの倫理と公平性を強調したことは、スマートフォンとモバイルネットワークがAIの重要なプラットフォームになりつつある現状を踏まえると、象徴的な発言だと見ることができます。
AIが端末やネットワークの深いところまで入り込むほど、利用者はその仕組みを直接目にする機会が減っていきます。だからこそ、技術を提供する側が倫理や説明責任を重視しなければ、公平性を保つことが難しくなります。
私たちにとっての「倫理的AI」とは
世界インターネット大会でのホフマン氏の発言は、企業や政策担当者だけでなく、AIを使う一人ひとりにも問いを投げかけています。2025年の今、私たちは次のような点を考えてみることができそうです。
- 自分の仕事や生活で使っているAIは、誰の、どんなデータの上に成り立っているのか
- そのAIの使い方は、特定の人や地域を不利な立場に追いやっていないか
- AIの仕組みやリスクについて、周囲の人と話し合う場を持てているか
「AIのゲームに勝者と敗者を生まない」というGSMAのメッセージは、AIとの付き合い方を見直すための出発点にもなります。技術のスピード感に圧倒されがちな今こそ、倫理と公平性という足場をどう築くかが問われているのではないでしょうか。
Reference(s):
GSMA CEO: AI development should not create winners and losers
cgtn.com







